14話 アルベルト=コア
文字数 2,238文字
モフコット城。救護室。
平和の象徴、"もふもふ"な素材で作られた扉が開いた。
…しずくちゃん、だったね。心配してくれてありがとう。キミのチカラは使わない方がいいと思う。
この人はね、きっと自分の大切な人を守るために戦ったと思うんだ。
いい事よりも悪い事が気になっちゃって。それで、誰かのために無茶をする、そういう人だから。
ルトは、グラリオの頬を優しくなぞる。
――モフコット城。
廊下。
ブツクサ言いながらズカズカと歩くディアスがいた。
――救護室。
まったく、困ったもんだよ。”アイツ”が帝国に行ったと思ったら急に帰ってきて、「救いたい奴がいるんだ」なんて言ってくる。親父もオレも大笑い!あまりに焦ってるもんだからどうしたのかと聞いてみりゃあ……
国中の全てが同じ思想を持っているのにアイツだけは違うことばかり言う!
何が平和!何が卑怯!フン、お前らフィールもオレ達ディアスのための道具に過ぎないんだよ!
****
救護室。
横になったグラリオは目を開ける。
その頰はほんのりと赤くなっている。
一瞬、記憶を取り戻したのかヴェルグを呼ぶグラリオ。
その目には、涙が溢れていた。