#6 【再会】ウメダダンジョン攻略!part.3
文字数 2,497文字
お前のせいだ、と声がする。
彼女もいない、才能もない、冴えない男の声だ。
オレはそいつが嫌いだ。なぜかって?それは……
こんなはずじゃなかった。
あの時声をかけなければこんなことにはならなかった。
オレのせいだ。オレのせいだ。オレの……!
…ミノル…!ま、まだ生きてる!大丈夫だ!グラリオさんに何とかしてもらおう!な、な?まだ生きてるんだからーー
……!!う、嘘だ…!全部でたらめだ!
なぁミノル、そうだろ?ほんとは異世界転生なんてしてなくて!これはただの夢!そうなんだろ!?
もうわかってるんでしょ?
ジャックくん、いや、悠哉君。
ボクはキミに
暗闇の中飛び起きるジャック。
辺りを見渡すが、ミノルの姿はなかった。
ジャックは「よいしょ」と立ち上がると、電気のスイッチを探そうと歩き出す。
すると、少し先に明かりが見える。
暗く、細い道を抜けると、ジャックは目の前の光景に驚いた。
細長い道におでんや焼き鳥の屋台、大衆居酒屋などの店が立ち並び、店の看板には「串カツ」や「餃子」と書かれ、提灯には「ホッピー」と書かれている。
なんだここ…?これって居酒屋、だよな…?
なんでオレ、こんなことろに……
! そうだ!
オレ、グラリオさんに言われてウメダダンジョンに走って…!じゃあここはウメダダンジョンの中!?
ジャックは、ミノルを探すため居酒屋などの店の中に入る。
えーと、お邪魔しま〜す…。居酒屋なんて初めて入ったな…
な、なんだこれ?誰もいないのに料理だけテーブルに置いてある…まるでさっきまで誰かいたみたいだ…
お邪魔しまーすっと…やっぱり誰もいないのか…あ、ビールが置いてある…ビールって美味いのかな?
しかしまぁ…普通に食べ物が置いてあると、お腹すくな…
焼き鳥、餃子、たこ焼き、串カツ…誰もいないし、1つくらい食べても……
え!?え!?
どこから声が…!?だ、誰かいるのか!?
よく見ると、子供用の小さなイスに少女が座っていた。
こんにちは人間さん。
食べものは幻だから、ホンモノじゃないんだよ
【リーシャ】
リーシャ、ヴァンパイア!
"ドレインに特化した魔族"ってお姉ちゃんが言ってたの!人間さんを襲う『ディアス』っていう魔族じゃないから、そんなに怖がらなくてもいいよ?
ヴァンパイア?あ、背中に黒い翼がある…
ええと、う、うん…怖くないよ…
また、何かされるかもしれない。
その恐怖からか、ジャックはまともにリーシャの顔を見ることができず、俯いてしまった。
するとリーシャは、そんなジャックの顔を見てジャックの頭を撫でた。
辛かったよね。悲しかったよね。怖かったよね。もう大丈夫だよ。
――ごめんね、泣いちゃって。オレはジャックっていうんだ。
うわぁ、古そうなテレビだなぁ…白黒テレビなんてばあちゃんの家でしか見たことないや…
あれ?画面がザーッてなってる…さっきはね、外が映ってたんだ。
外って…もしかしてウメダ!?じゃああの子、あの子も観てた!?空を飛んでる女の子!
なんであの子は攻撃を…?
そうだ、異世界人を捕まえるって言ってた…だけど…
悪魔の人?そういえば走っててよくわからなかったけど、もう1人誰かいたような…
悪魔の人はね、帝国っていうところの悪い人間をまとめるリーダーなんだって!この世界に来た人を捕まえて、ちがうものに変えちゃうんだって!お姉ちゃんが言ってたんだ!
グラリオさんが言ってた通りだ…
でも少し違うぞ?捕まえて違うものに変えるってどういう…?
あそうだ、ミノルを知らないかい?女の子なんだけど大きなケガをしてて…
2人は、従業員専用と書かれた扉を開ける。
すると、座敷の部屋にミノルが横たわっていた。
起こしちゃだめだよ!今は寝ていないと、死んじゃうよ!
ミノルを助けて下さい!
こうなったのはオレのせいなんだ!
薬草、ポーション、魔法、なんでもいい!
ミノルを…助けて下さい…!お願いします…!!
ジャックは泣きながら土下座をした。
リーシャは少しびっくりした顔をすると、ジャックの頭を撫でながら優しく微笑む。
もう大丈夫だよ。治癒の魔法をかけてあるから、起こさないでね。
ジャック、よしよし♪
――見つからない?
ダンジョンの中に入れたのでしょう。
ダンジョンは外側も内側もお互いに全てのダメージを無効化する。壊すことは出来ません。
しかし、ダンジョンの出口で待ち伏せすることはできる。
まだ終わってないっていうの?
もういいでしょ?会いたいコがいるんだってば〜。
仕方ありません、後は"あなた"に任せましょう。ではこの中から選んで下さい。
標的はゴラゴラン、ソーマ、七海、シエル、楓、ライカ、ジャックです。
…ヒヒ…いいですねぇ…あなたならそう言ってくれると思いましたよ。
ではお願いしますよ…
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)