14話 ラブリー天使!煌ちゃん☆
文字数 3,262文字
見た目はイケイケホスト。心はエンジェル。
これなーんだ?
煌ちゃんのお仕事はとっても簡単!
時には優しく、時には厳しく、恋する人間を後押しするぜ!
その名はボストン。
異世界で一緒に旅をするオレ達の中、ダイヤモンドのように輝くガール、ミス・未来に恋をし、見事に砕け散った哀れな子羊。
え?()をつけなくていいのかって?
モーマンタイ、モーマンタイ。
この声は画面の前のあなた達にしか聞こえてないから安心するザマス。
さ、口調が定まらないおてんば天使の物語、はじまりはじまり…☆
****
――ムルムル。
冒険者ギルドを後にした未来達は、せっかくジョブになったからと武器屋と防具屋を見ていた。
ゴラゴラン殿、彼は大丈夫かな?
一体何があったのだろう…随分顔色が悪くなっているが…
それなら問題ないさ。彼に任せてあるからな。
あぁ、"彼"…いや"彼女"だったかな?
オレの名前は煌ちゃん。
ボストン君、ラブリン☆チョリーッス!
う〜ん、ボストン少年、ノリが悪いなぁ…
ほら、画面の前のみんながお手本を見せてくれるようだ。カメラ目線になってごらん?
じゃあみんな、ボストンきゅんに届くように大声で言うんだ。
恥ずかしい人はスマホかパソコンのマイクにイヤホンをつけてやってみよう。
きっと「通話してるのかな?」って思われるだけだからモーマンタイ!
いくぞ?せーの……
ラブリン~~~~~?
……
ん〜声が小さいなぁ…
いくら最新話を書くのが遅くなったからといっても、オレのハートをキャッチしてくれないと~
2人は――
おっ!ツッコミできるじゃないか!いいぞ、ボストンきゅん!
オレも止めてくれないとパネェー事になるかと思ってヒヤヒヤ――
放っておいてよ……
ボクの事なんて構わなくていいんだよ…
いいんだよ、もう終わったんだよ……
みんなに気付かれないように居なくなろうとしてたのになんで追いかけてきたんだよ……
放っておいてくれよ……
あのなぁボストンきゅん、そういうわけにはいかねーのよ。
まぁ、オレの正体は言えねーけども…
恋する人間を後押しするラブリー天使きららちゃん、今回の相談者はボクでしょ?相談したつもりないんだけど…
あり?聞こえてた?
ははは!まぁでもモテモテランク★3だし許してちょんまげ!
『ま…まままさか口に出てた…!?マズい…煌さんは一見女の子に興味無さそうだけど、ノリの良いキャラ!昨日なんて紋三郎さんの質問に『好みのタイプは未来っち』って言ってたし、いざ恋のアドバイスを聞こうものなら手取り足取り教えてくれそうなイメージ…!ボクの予想だけど、モテモテランクは★3つ!』
そんなビビんなよ。オレもボストンきゅんも仲間だろ?
オレはそう思ってたんだけど、嫌われちゃったかね?
ノ、ノー!そんなことないよ!
ボクも仲間だと思ってる!ボクも仲間でいたいと思ってる!
なら、かっこつけないでいいし、落ち込まなくていい。
そのまんま、普通でいてくれればいいのさ。
オレだけじゃない、未来っちもひなちんも瑞希パイセンも、みんなそう思ってる。
女王ってかっこいいと思うぜ!
オレ達、パイセンに似合う武器選んでくるから、よろしく!
(オレ達って…!なななんでボクまで!?うわぁ、瑞希ちゃんすごい怒ってるよ…!)
変なの選んだら激辛カレー食べてもらうから。
…未来の分もお願いね。
――”なんでだろう”、そう思ってるな?ボストンきゅん。
いいかい?瑞希パイセンも未来っちも、そんな気にしてないのよ。
未来っちに関しては、元気がないように見えたけどビックリしただけだと思う。
ボストンきゅん、未来っちの事好きだろ~?ひざまくら、どうだった?
なっなんでその事知って…!?あああ…聞こえてたんだっけ…!
バーカ。あんなのボストンきゅん見てりゃわかるって。
自分で考察なんていらない、伏線いっぱい貼ってきたーって言ってたろ?
大体、ひざまくらはオレが未来っちに頼んだんだぜ~?
あぁ、アニキ!実はオレ、瑞希パイセンに合う武器を選んでるとこなんス!
で、ボストンきゅんは未来っちのためにかわいい防具…もとい服を選んでるッス!手分けした方がいいと思って!
な、ボストンきゅん?
おお、そうか!
ではボストン君、元気を取り戻したんだな!よかった……!
さぁ~そうと決まればパネェーくれーヤッヴェー(パナいくらいやばい)ラブリーキュートで超キャワイイ服を選ばないとなぁー!
じゃ、ボストンきゅんまた後でなー!アディオス!
……き、煌さんもゴラゴランも行っちゃった…
参ったなぁ、1人で選ぶことになるなんて聞いてないよ…
アイドルに似合う服…らいちゃんに似合う服…う~ん……
あ、これは……いやダメだ…これはネグリジェじゃないか…
こんなの渡したら今度こそ一緒には居られない……
こ、これは…!
(オブラートに包んで言うけど)独身男性を悩殺する例のセーター…!
いわゆる『DT殺すマン』…!いや『DT殺すウーマン』?
なんでこんなものが異世界にあるんだ!?
隣のコレにしよう…うんうん、フリルがかわいい……下着!?
なななんでこんなに過激な服ばっかりなんだ!?
早くこの場から離れ――
ボストン君…どうしてここに…?
ここ、女性用のとこだよ…?
(さ…最悪の展開だ……!こんなタイミングでらいちゃんに会うなんて……!
ボク、まだ謝ってない…!らいちゃんに謝らなくちゃ…!)
…ってかボストンきゅん、なんで女性の下着なんて持ってるんだ…?
あれは事故。
未来に驚いて売り場に戻せなかったみたい。
ってかオレらも売り物の服の隙間から覗いてるけどどう考えても怪しいよなぁ…
ひざまくらした時、ビンタしちゃったから…
ボストン君、ごめんなさい…
い、いや!こっちこそごめん!ごめんなさい!
いきなりあんな事して、怖い思いさせちゃったと思う!
謝っても許してもらえないと思う…!
だからボクは……!
どこかに行こうなんて思っちゃ嫌。
せっかくこうやって出会えたんだもん。みんなと一緒に笑って、いろんなもの見て、冒険して、帰りたい。
瑞希ちゃんも陽菜ちゃんも、ゴラゴランさんも煌さんも末吉さんも、ボストン君もみんな一緒に帰りたいの。
あたしね、嬉しかったんだ。
異世界に来て、クラスタドームで夢だったアイドルになれて、たくさんの人達の前でライブをしてきて、たくさんの人があたしの歌を好きになってくれた。
でもね、あたしを好きになってくれたのはボストン君しかいないの。
でも、あの時はびっくりしちゃったなぁ…
ボストン君、急に好きとか結婚したいとか言うんだもん。
どうしたらいいかわからなかった。
あ、あれはその…!
本当の気持ちで、らいちゃんを支えてあげたいって思ってて…!
でも…!
……さてと、もう大丈夫そうだしパイセンの服選んでくるぜ?
見ての通り、ラブリー天使たるこのオレの出番がなくてもボストンきゅんは自分で立ち上がったんだ。もう大丈夫さ。
パイセン、いつまでもニヤけてないで行くぞ?
そうだ、ボストン君ジョブ診断やってなかったよね?
やりに行こうよ!
悲しいときも嬉しいときもちゃんと、この目で見て、支えていきます。
クラスタのアイドル、星乃未来ちゃんのマネージャーとしてね。
ボストン君……?
ふふ♪メガネ無い方がかわいいよ!女の子みたい!
かわいい?あ、ありがとう!
今のはみんなにはナイショだからね!
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