1話 オネエと炎の精霊
文字数 1,382文字
ゲノン帝国。剣士のギルドや魔法使いのギルドから腕のある者を脅迫、
または洗脳して無理やり引き抜き、無敵の武力を誇る。
今や世界中から危険視される帝国だが、国民はそんな国だと思われているなど知る由もなく、街並みは平和そのもの。
人もモンスターも平和な日々を過ごしていた。
帝国の研究所にいる科学者、ローランもその1人である。
ジョブはサイエンティスト。昔から研究が好きで、あらゆるエネルギーや生命体を研究してきた経験者だ。
なぜかオネエ口調であることと、研究に熱心すぎるところから”オネエ”や”マッドサイエンティスト”などと呼ばれていた。
ローランには、数十人の仲間がいた。
3年前、研究所から離れた町でモンスターについて研究していたグループのメンバーであり、彼らは突然町の研究所から帝国の研究所に連れてこられた。
帝国の人間から言われたことはただ1つ。
培養液の入ったカプセルを観察し、ランプが赤く光ったらスイッチを押せ。
しかし、そのカプセルには培養液はおろか、白い霧のようなもので中身が見えず、ローラン達は退屈していた。
すると、ズラリと並んだカプセルの後ろから、小人がやってきた。
身体は炎をまとっていて、近くにいると暖かい。見た目はほとんど人間と変わらないが、小さな体でふわふわと宙を浮くことができる。
でも大丈夫。私達はこの国の科学者として、この国の秘密を暴くつもりなの
きっとこの国の悪い奴が襲ってくると思うけど、アタシ達だって魔法は使えるわ。戦って、国を出るの
メルトンの炎は、なんだか嬉しそうに揺れていた。