15話 レオンと悪夢の幻
文字数 2,480文字
どこまでも高く続く黒い螺旋階段、先が見えない広い床、黒い龍の装飾の細い柱。
レオンは薄暗い部屋にいた。
ふと、誰かがゆっくりと近付いているのに気付いた。
レオンに近付く人影。
それは、血だらけになり、片足を引きずり、目が充血し、肌が赤く腫れ上がったノエルだった。
走り出すレオン。
リースリット、シャルルもまた、全身が血で真っ赤に染まっていた。
助けを求めようとしているのか、走るレオンに手を伸ばすがバタッと倒れてしまった。
壁をぐるっと見るが、床はどこまでも続き、無造作に置かれた柱が邪魔をして部屋全体を見る事ができない。
なぜここにいるのか、そもそもここに来る前どこで何をしていたのか、何故か何も思い出せず頭の中は困惑ばかり。
何かを振り払うかのように、無茶苦茶に走るレオン。
そんなレオンを螺旋階段の遥か上から見下ろす影があった。
リオンは呟きながらレオンを見つめる。
やがて、彼の持つ槍ネーバル・ハルバードも黒くなり、全身から強力な力を出す。
自分の意思を持ち、確かな記憶を持つ強い者でない者には記憶を消し、精神的苦痛を与える幻を見せる……
どうですか?あなたの知っている者は傷つき倒れ、痛々しい姿であなたに助けを求める……
リオンは、ネーバル・ハルバードと共に螺旋階段から飛び降る。
自分の体よりも大きいその槍に乗り、滅茶苦茶に走り回るレオンをめがけてものすごいスピードで落ちる。
まるで空中から地上にいる獲物を串刺しするように。
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ファミリア。
レオンを探すシャルル達は、ノエルの言葉に驚いていた。
飛空挺のある町マギアルクラフトへ向かおうと意気投合するノエル達。
近くの木に隠れる、ドローンのような形をした謎の機械に気付く者はいない。
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マギアルクラフト。
酒場。
執事らしい服を着た男性と、銃をカチャカチャといじる青年がいた。
ドローンのような機械はそっと離れ、ノエル達よりも先にマギアルクラフトへ飛んで行った。