＃２０ 【阻止不可能】ノンストップ！異世界暴走待った無し！！！
文字数 7,779文字
アーリー城付近にある温泉付きの宿屋、
「つるてかの宿」に入って行ったジャック達。
ジャック達は、男部屋と女部屋に分かれてくつろいでいた。
――男部屋。
古風な宿屋だからか、畳や素朴な布団、木でできたテーブルのある旅館のような部屋だった。
わお！意外！
勇輝さんシャンパンって言ってたし、高そうなコート着てるからベッドじゃないとダメかなって思ったけど…
まぁベッドってイメージがあるのはわかるけどな！布団はいいぞ？ベランダに干した布団を敷いて寝てみろ！
たいようのにおい♪(子供のような声)
確かにオレ達はこのつるてかの宿にチェックインした！ああしたさ！間違いない！男女に分かれて入ったはずだ！
だが、相棒のコータローがいない！
代わりに変な奴がいる！！そうだろう！？
出てきたな怪しい奴め！！
お前、誰だ！！！
実はこの世界、自分の姿を自分のイメージした姿に変わる事があるんだけど、いつもの格好じゃアレだから変えてみようと思ったんだ！
でも失敗しちゃってこの通りってわけだよ！
オレ、変身！
かつてのジャミ子そっくりの姿になったジャックに、勇輝とコータローがジリジリと迫る。
なんだ〜？うるさいなぁ……
さて、まんじゅう食うかな！温泉まんじゅう美味いんだよなぁ♪
＊＊＊＊
――数十分後。
露天風呂。男湯。
勇輝、コータローはタオルも持たず、ジャックはタオルで前を隠している。
※アイコン（服）はそのままです。
コータローは、滑った勢いで男湯、女湯を隔てる壁に激突。
気を取り直して、男３人仲良く並び、イスに座って体を洗うことに。
いやさ、カマかけてたって言えばそうなんだけど、相棒、さっき◯パンダイブしただろ？
オレの正体は高校生！！五智谷高校２ーＡ！乾光太郎(いぬい こうたろう)！！はははーーー！！
ああ、紹介しよう。せっかくだから胸の先っちょに名前つけてるんだ！
my name is ポンポンチェリー！
アメリカ産、天然エキス１００％！
永遠のチェリーボーイズさ！
アウト！！
てかそんな所に名前つけるの、流行ってるの！？
あっそういえばリサさんにも名前あったんだっけ……
ありがとうございます！
それにしても勇輝さんとコータローさん、本当にガッカリしてましたね！
人間の男性というのは混浴、という言葉が嬉しいんですねぇ……。
人間について勉強になりました♪
まぁまぁ。
でも、さくらさんセクシーな体してるの羨ましいな。
そういえばあの２人、Ｐカップがどうのこうの言ってたわね……まったく、実際どれくらい大きいか知らないからあんな事言えるのよ……
さくらは…そうねぇ…Ｆ辺りかしら？
えええっ！？ボボボクは別に……！
お、お先に出まあああああす！
ちょっと待ちなさいよ♪
あなたも結構あるじゃない、羨ましいわ♪
ゔゔん。
目覚めなさい！！！闇ジャック！！！
ジャックさん、おはようございます！
今日からあなたは「ソルブラダーク」の幹部！手始めに我々が好きなものを言ってごらんなさい！
んん！よろしい！
何事も３つのキーワードで己を語る！素晴らしい！！
では次の試験です。コータローさん、さくらちゃんの"アレ"を温泉に関係するもので例えてみて下さい、ナンパするように。それをジャックさんが同じように――
great!!!
では最終試験です！難易度は☆５つ！
ミノルちゃん、オレっちの股間を見てくれ……相棒よりオレっちの方がテカってるだろう？
温泉の効果でつるっつるのてっかてかなんだ！なんならオレっちの剥製を男湯と女湯の真ん中に立ててもいい！
なっ……！？なんということでしょう…！ジャックさんあなたは、まさにソウルブラザーズの真髄を理解し、一体化している！！
合格です！！！
謎の茶番劇によってさらに友情が深まったジャック、勇輝、コータロー。
しかし、女湯の方からはミノル達の声が聞こえない。
コータローは、「まぁ茶番はこのくらいにして……」と呟き、肩まで浸かりながら女湯がある壁の方をボーッと眺める。
ん？なんだ、アレ？
なぁ２人とも、壁に何か黒いものが……
ボインの黒いもの……
じゃなくて！
そうじゃなくて！
……あ、ほんとだ。黒いもの……？
んなっ！？？
こここれはアレだよアレ！あ……あ……！
シーーーーーーッ！
静かにしろバカ！女湯に聞こえたら意味ないだろ！（小声）
よしわかった。
ちょっと指入れてみようぜ？
＊＊＊＊
一方、ここはアーリーナイト城。
２人の兵士が、話していた。
ねぇねぇ、それってウチのことー？
さてと…………ん？
頭の上に葉っぱ……？もしかして人じゃない……？
ふと、少女が歩いているのに気付いたこころ。
少女の頭の上に葉っぱが乗っている。
あっ助けて下さい！
私、怖い人達に連れてこられて……！
全力で走る狸の少女。
そして、空中を猛スピードでふよふよ浮くこころ。
２人は、武器庫へとたどり着いた。
よ……よかった〜……！
カギ空いてたみたいだね……！
【もみじ】
私はもみじです……怖い人達は「このお城の"実験"に使う」って言ってました……
もみじちゃんっていうんだ！かわいいね♪ウチは春風こころ！こころって呼んでね♪
でも、実験って怖いね……
おお落ち着いて！！
とにかく、一緒にいよう？
ウチが案内してあげるから！ね♪
はいっ♪
３人いれば安心です♪
＊＊＊＊
再びつるてかの宿。男湯。
羽目を外しすぎ、いろいろとアウトな男３人組。
それから数十分が経ち、ジャックとコータローは男部屋へ。
１人男湯に残った勇輝は、まだ壁の穴が気になるようで、女湯に誰もいない事を確認すると、穴の前に立ち、腰に手を当てて……
あろうことか、表現しがたいモノを表現しがたい風に擬音付きで揺らし始めてしまった。
一方その向こう側……
女湯では、ミノル、さくら、シャルロットはいなかったものの、まさかの目撃者がいた。
目撃者はメイ、ただ１人。
勇輝は気付いていないが、
なんと、小さな穴は僅かに男湯と女湯を貫通していたのだ。
信じられないモノを見たメイは、"それ"が何なのか困惑していた。
ブ〜ラブ…………ん？なんだ今の声？
おかしいな、この穴小さすぎて向こう側には届いてないはずなのに声がする……。
う、うぅぅ、あ、あれ？ヤバい抜けない……！クッソどうなってんだ……！？
あ、ちっちゃくなった。
ん〜？なんだこれ〜？見たことあるような、ないような……？
どうせヘナチョコだよ！
クッソ早く抜かないとヤヴェー事に……！
慌てる勇輝。
しかし。
うわあああああああああああっ！！
……ん？
しかし悲劇はそれだけでは終わらない。
勇輝の目の前には、タオルを持たず、腕を組むメイの姿があった。
うっひょ…………！？
じゃなかった！！すまんすまん！わ、悪かったああああ！！！
思わず土下座をする勇輝。
体を隠さないメイに目のやりどころが困るが、今はそれどころじゃない。
そうさ。あたしの名前はメイ。言っとくが帝国に喧嘩売んのはやめときな。怪我じゃ済まねぇ。
あたしは乱射が大好きなガンナーでねぇ…
メイド服をヒラリとすりゃ、どんな奴も蜂の巣にして跡形も残さない。すげーだろ？
でけぇ……！
うんうん、そうだろそうだろ。素直な奴は好きだぞあたしは。
……って！いつまで胸見てんだ！
するとメイは、大きなマシンガンを召喚。
勇輝の腹部に向ける。
驚いたか？あたしは遠くにある武器をどこにいても目の前に召喚できるんだ。
さぁ、ラッキースケべタイムは終わった……！あんたの人生もな……！！
変わらねーって言ってんだろ！命乞いかと思ったらそんな事――
（なんなんだよ！？どうなってんだよ！？あたし、こいつの言う事にドキドキしちまってる！初めて会ったのになんで！？どうして！？
これが恋ってやつなのか！？
恋ってすげぇ！恋ってやべぇ！恋って………かっこいい！！！）
オレは……
オレは君の事が好きだ！！！
オレと……！結婚してくれええええ！！！
は……！？
はああああああああああっ！？
