作品紹介:魔戒戦隊エクスロア

文字数 3,163文字

【作品概要】

魔界より〈魔帝バアル〉が、その魔手を人間界に忍び寄らせていた事を誰も知る由もなかった。
彼が率いる〈エルサタン〉は、悪魔や怪物によって構成された邪悪な私兵軍団である。
狙いは、悪夢の邪文書〈グリムワール〉の完成。
人間の心を邪悪や絶望に染め上げた時、その〈魂〉は〝漆黒の記録書〟と化して〈グリムワール〉の新たなページへと追加補完されてしまうのである。
はたして、その完成の先に〈魔帝バアル〉は〝何〟を目論んでいるのか……。
いずれにせよ、とてつもない〈邪悪〉を企てているのは明らかであった。

しかし、これに対して立ち向かう怪物戦士達がいた!
己が身〈怪物〉と化しながらも〝人間〟として戦う異形戦士達がいた!
彼等は〈魔戒(まかい)戦隊(せんたい)〉を名乗り、今日も人知れず怪異を斥けるのである!
主導権逆転を虎視眈々と目論む〈内在魔魂〉という危険要素を(はら)みつつも、それを〝人間の心〟にて組み敷きつつ……。

これは、新たなる怪奇伝承〈魔戒戦士(エクスロア)〉の物語である。
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【解説】
凰太郎戦隊第六作目『魔戒(まかい)戦隊(せんたい)エクスロア』です。
〝魔:怪物〟を〝戒める〟という語呂合わせで〝魔戒(まかい)〟と名付け、また『ロア:民俗伝承』に『エクス:EX』を接頭語と据えて『エクスロア』です。
まず、この『ロア』は『フォークロア』の意味であり『土着民俗伝承』を広義的に指すのですが、これには『人狼伝説』や『吸血鬼伝説』といった『怪奇伝承』も含まれます。
次に『エクス』ですが……ぶっちゃけカッコイイから据えましたw
例えば『勇者エクスカイザー』とかで据えられてて「カッコイイ響きだな」と常々思っていたのですが『何の略語』かはよく分かっておらず、漠然と『特別』とかを意味するのかな……と。
ところが今回調べてみたら全然違った(しかも命名後というw)。
これは『EXAMPLE』の略で、意味は『手本』とか『模範』とか『標本』とか……まあ『見て理想系に在るもの』という意味合いですよね。
命名してから「あちゃあ……やっちまったか?」と思ったりもしましたが「まぁ〈正義の手本〉と広義解釈すれば成立するかな」と逃げ発想w
ところが『戒め』という意味もありまして、偶然にも『魔戒』の『戒』と被るという奇跡が!
まあ、この場合の『戒め』は『戒める』ではなく『(当人が)見せしめ』の意なので、方向性的には微妙に外していますし、良いイメージでもありませんがwww
そうなると、やはり独自の広義解釈(苦しい言い訳)で〈正義の理想像となる伝承怪物〉という意味になりますね。

本作の大まかな構想は、実は『妖滅(ようめつ)戦隊(せんたい)カルマージャ』誕生期まで遡ります。
つまり『カルマージャ』が〈日本妖怪〉をモチーフにしていた事から「対比的に〈西洋妖怪〉の戦隊ヒーローも作りたいなぁ」と(共演も見越して)。
ですが(デジ絵ビギナー当時の私的に)作成には相当な手間とデザイン模索が予想できたので流して〈西洋妖怪〉関連の要素は〈妖滅(ようめつ)ハンター ヴァンシング〉に集約する形で負わせたのですね。
また〈和↔西洋〉という文化対比は〈魔法ファンタジー〉に転化して『幻装(げんそう)戦隊(せんたい)エルファンサー』へと負わせたという裏背景もあります。
しかしながら、やはり〝違う〟んですよね……〈西洋妖怪〉と〈ファンタジーモンスター〉では。
うん〈怪奇〉と〈ヒロイック〉では、同じ〈怪物〉を扱っても全然違う。
そうしたフラストレーションが晴れなかった事と、ボチボチ〈凰太郎戦隊〉のシリーズ拡張に馴れてきた事もあって、遂に着手しました。

当初のコンセプトは『バトルフィーバーJ』の〝人面型路線〟で、次作『電子戦隊デンジマン』以降基礎デザインとなる〝ゴーグル顔〟にはしない意向でした。
私自身が〝人面型〟が好きなのもありますが、何よりも〈西洋妖怪(殊にビッグ4)〉はダイレクトな人面が多い感じがしたので(ドラキュラとかフランケンとかミイラ男とか)「巧く落とせば〈人面ヒーロー〉として成立した上にデスマスクっぽい怪奇印象にもなるかな?」と化学反応を期待したからです。
ところが最初の〈吸血鬼〉をデザインしたところ、どうしても〈デビルマン〉を想起させる印象になりリテイクの試行錯誤……その中で目部を外したら意図せず〝カラーゴーグル〟になり、それがカッコよかった(難点〈デビルマン〉の酷似印象からも脱却出来ましたしね)。
そこで路線変更して、結局は〝(広義的な)ゴーグルタイプ〟となったのです。
ま、最終的には〝独創性を感じさせてカッコイイ〟というのが最優先となるのが〝正解〟だと思うので……。

しかし、その反面、物語コンセプトは『デビルマン(TV版)』になってしまいましたねw
というか〈魔界〉や〈悪魔〉をバックボーンと敷けば、そうなる。
もうひとつの雄『アクマイザー3』だって、基礎ストーリープロットは『デビルマン』だもの。
これは言い訳がましくも映るんですが……変身ヒーローの成立背景には『同郷型』とも呼べるタイプが在ります(殊に〈昭和ヒーロー〉や〈石ノ森ヒーロー〉には多い)。
つまり『本来は敵組織の一員だったのが裏切者と化して正義の味方になる/だから敵怪人と同コンセプトの異形や戦闘能力が備わっている』という型ですね。
代表的なのは言わずもがな『仮面ライダー』ですが、他にも『サイボーグ009』『人造人間キカイダー』『ロボット刑事K』『タイガーマスク』『ジャイアント・ロボ』『大鉄人17』etc……それを〈魔界〉絡みでやれば〈魔界の裏切者〉となるのは必然なのです。
ついでに脱線ながらに記せば『デビルマン』は『タイガーマスク』のスタッフによって制作されましたから〈裏切者ヒーロー〉として〈デビルマン〉は〈タイガーマスク〉の拡張発展型で〝元祖〟ではありません(おそらく〝元祖〟は『サイボーグ009』)。
ま、それも含めて……要するに肝となるのは『物語/世界観/キャラクター』等の〝見せ方〟ですよね。
そこで差別化認識されれば〝成功〟かな……と。
実際『デビルマン』と『アクマイザー3』は各々支持されているでしょう?(コンセプトは丸被りなのに)
だから『魔戒(まかい)戦隊(せんたい)エクスロア』らしい独自性のある世界観が築ければいいな……と考えております。

また、当初は純然に『妖滅(ようめつ)戦隊(せんたい)カルマージャの西洋妖怪版』として作られましたが、次第に本作品独特の性質も付加されました。
それが〝内在魔魂との共存〟です。
原点〈妖滅(ようめつ)戦隊(せんたい)カルマージャ〉は〝潜在している妖怪本質を表層化させた変身〟でした──つまり〝あくまでも当人〟というスタンダードタイプです。
一方で〈魔戒(まかい)戦隊(せんたい)エクスロア〉は〝憑依魔魂は別人格として内在している〟という形であり、ともすれば〝対話〟すらあります(この辺の感覚は〈憑依型ウルトラマン〉や〈仮面ライダー電王〉とかを連想すれば把握し易いと思います)。
しかしながら〈魔魂〉は〝魔性〟……基本的には友好的存在ではありません。
眼前の利害一致に助力する場合もありますが、心底には〝主導権逆転〟の悪意を秘め、その好機を虎視眈々と狙っている危険な爆弾です。
そうした不信要素を百も承知で(はら)みつつも〝人間の心〟で組み敷いて戦い続ける──それが〈魔戒(まかい)戦隊(せんたい)エクスロア〉の〝スーパーヒーローとしての異質性〟と言えます。

ちなみに本作製作は『姫麗(きれい)戦隊(せんたい)アイレジナー』とまったくの同時進行という地獄でした。
何故か両戦隊が同時期に着想され、製作され、拡張されていったという……凰太郎戦隊でも初めての製作経緯です。
とはいえ、若干『姫麗(きれい)戦隊(せんたい)アイレジナー』の方が着手が早かったので、カウントとしては『姫麗(きれい)戦隊(せんたい)アイレジナー(凰太郎戦隊第五作品目)』『魔戒(まかい)戦隊(せんたい)エクスロア(凰太郎戦隊第六作品目)』としています。
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