第八十七話、撤退
文字数 1,282文字
アリゾム山山頂は未だ落ちていなかった。狭い一本道はカプタルが一人で死体を積み上げ、堀のある斜面は四十人ほどのドワーフが交代で守っていた。その斜面で、ダナトリルの兵はじりじりと近づきながら、矢を放っていた。
攻めあぐねているダナトリルの軍の背後の山林にドワーフがあらわれたという報告があった。
ダナトリルは不満げな顔をした。
背後の斜面に五百ほどの兵を配置している。
兵が報告した。
ダナトリルはファバリンを営舎に通した。胸元に包帯が見え、顔色は悪く、息苦しそうであった。
ファバリンはかすれた声で話した。エンペドに命じて、煙玉や弓を使いドワーフを足止めしている。
ダナトリルは二人のやり取りを困ったような顔をしてみていた。
兵が飛び込んできた
ダナトリルは青ざめた。
モーバブはファバリンに詰め寄った。
ファバリンは悪びれた様子もなく答えた。
笑った。
モーバブはファバリンをにらみつけた。
別の兵があらわれ言った。
モーバブは言った。
ファバリンは肩をすくめた。
ダナトリルは兵を山のふもとまで下げた。