第三十話、妥協戦
文字数 2,057文字
ソロン一行は、ドルフの陣に二日ほど滞在した。
帰り際、親書の返信を渡された。
ソロンは顔をしかめた。
ドルフは笑った。
道中、三人は馬に乗り、領主の元へ進んだ。
ヘセントが言った。滞在中、ヘセントは何度かドルフと話をしていた。ドルフはいやそうな顔をしながらも、応対していた。
ソロンはそう言いながらも、およその見当はついていた。おそらく、アリゾム山をねらっているのだろう。昔、ドワーフの鉱夫に、アリゾム山にミスリルの鉱脈があると聞いたことがある。ギリム山のドワーフが戦をしてまで手に入れたいものと言えば、鉱山しかない。ソロンはそう考えていたが言わなかった。人の味方でもないのだ。
シャベルトが言った。
ソロンは少し驚いた。
ソロンは問うた。
「水ですよ。あの辺りは水がいいんです。シロカニやセンベイトカゲなんてのも住んでますからね。水がきれいなんですよ。ミスリルには強力な浄化作用があります。昔から水のきれいなところにはミスリルが取れるって言うでしょ」
ヘセントは笑みを浮かべた。
ヘセントは馬の腹を蹴った。
フエネ平原。
プロフェンは幕舎でザレクスに言った。
ザレクスは言った。重装歩兵隊の大隊長であるザレクスは、フエネ平原に残るドワーフ討伐の指揮を任されている。
ドワーフの兵は、地面を掘り土嚢を木の柵の内側に積み上げ、囲いの守りを強固にしていた。
リボルの軍は、南にいるドワーフの軍へ向かって南下している。
副隊長のベネトが言った。
プロフェンはしばらくごね幕舎から出て行った。
ベネトはため息をついた。
領主のイグリットは金策に走っていた。
武具、兵糧、兵、すべて金がかかる。蓄えていた金はあっという間に底をついた。
イグリットは、応接室に向かった。
五十代前後の白髪の男がいた。最近少し羽振りがいい商人とイグリットは聞いている。
男は名乗った。