第四十二話、災害対策
文字数 1,478文字
ソロン達は領主の館の一室を借り、ギリム山噴火の被害とその対策をさぐっていた。
ヘセントは言った。
数年間まともに作物が育たないという話もある。ソロンは暗い顔をした。
「ああ、その通りだ。噴火している間は、火山灰が長期間空を覆うことになる。そうなると、日が当たらなくなり気温も下がる。植物の生育は著しく悪くなる。そうなってくると、この辺り一帯の農地が不作となり、食料の輸入も難しくなってくる」
ヘセントは顔をゆがめた。ヘセントは騎士ではあるが貧しい家の出だ。食うものが無い、きつさをよく知っている。
シャベルトは言った。
「そうだ。あの辺り一帯はどうやったって、噴火の被害を受ける。小さな村なら何とでもなるが、エルリムぐらいの町になると、いつ起こるかわからない噴火のために避難するというのは難しい。今のうちに住人を強制的に退去させ、帰る場所を無くし、避難場所を用意するのは正しい判断だ」
ヘセントは言った。
ソロンは頭を下げた。
ヘセントは少し戸惑った。エルフという種族は、気位が高いと聞いていた。素直に謝るとは思っていなかった。
シャベルトは言った。
シャベルトは肩をすくめた。
ソロンは頷いた。
それがわからないから困っているんだ。シャベルトはそう思った。
ヘセントは情けない声を出した。
ソロンは立ち上がった。