第八十話、ダレムとドロワーフ
文字数 1,026文字
フエネ平原のドワーフの砦は、包囲されていた。人間とリザードマンの兵がゆっくりと近づいていた。
矢を警戒して、ダレムとドロワーフはわずかに残った石の壁に身を隠していた。
フエネ平原の砦に、生きているドワーフは、ドロワーフとダレムだけになった。
怪我をしていて動けなくなったドワーフは、ダレムが殺した。どのみち長くはもたないもの達だった。先に死んでもらうと、語りかけながら殺した。
ダレムは最初から、ここを守りここで死ぬと決めていた。だからこそ、兵をすりつぶすような戦いができた。ドロワーフがなぜここに残ったのか、わからないが、それを聞いたところで意味が無いような気がしていた。
重装歩兵が盾を構え近づいてきていた。その後に大型のリザードマンの部隊、騎馬隊もいる。
ドロワーフはハンマーを肩に担いだ。
丘の斜面を二人は並んで歩いた。
戦った。
ダレムとドロワーフは死んだ。
ダナトリルはファバリンとの会談を無視して、兵を進めた。ダナトリルにとって、アリゾム山山岳部隊は、味方とは言いがたい存在だった。
会って、こちらのもくろみを悟られる恐れがあった。それならば、最初から、勝手に動いた方がいいと判断した。
ペックスは、東で森を焼いていた千二百の国軍のうち、千を呼び戻した。西にいるリボル率いるバリイ領の兵二千と合流し、牧場跡に立てこもる千百のドワーフを攻めることにした。フエネ平原でドワーフの砦を攻めていたザレクスとリザードマンは、ハイゼイツ率いるドワーフの援軍に対応するため、北上し、ジダトレと合流した。プロフェンは騎馬隊を率い、南下しリボルと合流した。
ダレムとドロワーフが戦死したという報を聞いたドワーフの王ドルフは、人払いをし一人営舎に籠もった。