第八十話、ダレムとドロワーフ

文字数 1,026文字

 フエネ平原のドワーフの砦は、包囲されていた。人間とリザードマンの兵がゆっくりと近づいていた。

 矢を警戒して、ダレムとドロワーフはわずかに残った石の壁に身を隠していた。

 フエネ平原の砦に、生きているドワーフは、ドロワーフとダレムだけになった。

 怪我をしていて動けなくなったドワーフは、ダレムが殺した。どのみち長くはもたないもの達だった。先に死んでもらうと、語りかけながら殺した。

 ダレムは最初から、ここを守りここで死ぬと決めていた。だからこそ、兵をすりつぶすような戦いができた。ドロワーフがなぜここに残ったのか、わからないが、それを聞いたところで意味が無いような気がしていた。


「そろそろ行くか」


 重装歩兵が盾を構え近づいてきていた。その後に大型のリザードマンの部隊、騎馬隊もいる。


「おう」


 ドロワーフはハンマーを肩に担いだ。

 丘の斜面を二人は並んで歩いた。

 戦った。

 ダレムとドロワーフは死んだ。








 ダナトリルはファバリンとの会談を無視して、兵を進めた。ダナトリルにとって、アリゾム山山岳部隊は、味方とは言いがたい存在だった。


「よろしいので、情報だけもらって、利用するというやり方もありますが」


「いいのだ。会えば逆に動きにくくなる」


 会って、こちらのもくろみを悟られる恐れがあった。それならば、最初から、勝手に動いた方がいいと判断した。


「では、いかがいたしますか」


「まずは拠点作りだ。アリゾム山山岳部隊が燃やした建物があっただろう。そこを目指そう」


「頂上の砦ですね。そこは、ドワーフが五十人ほど集まっているようですよ」


「そうか、五十人か。無理に戦う必要性もないし、別のところに拠点でも作ろうかな」


「しかし、我々は土地勘がありません。別のところと言っても、どこに作ればいいのかわかりません」


「それも、そうだな、ドワーフとはいえ、五十人程度なら、何とかなるだろう。こっちは千人いるんだし」


「では、そのように」








 ペックスは、東で森を焼いていた千二百の国軍のうち、千を呼び戻した。西にいるリボル率いるバリイ領の兵二千と合流し、牧場跡に立てこもる千百のドワーフを攻めることにした。フエネ平原でドワーフの砦を攻めていたザレクスとリザードマンは、ハイゼイツ率いるドワーフの援軍に対応するため、北上し、ジダトレと合流した。プロフェンは騎馬隊を率い、南下しリボルと合流した。


 ダレムとドロワーフが戦死したという報を聞いたドワーフの王ドルフは、人払いをし一人営舎に籠もった。


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登場人物紹介

ドルフ

ドワーフの王

ムコソル

ドルフの側近

ロワノフ

ドワーフの王ドルフの長男

ダレム

ドワーフの王ドルフの次男

ドロワーフ

ハンマー使い

メロシカム

隻腕の戦士

トンペコ

ドワーフの軽装歩兵部隊の指揮官

ミノフ

グラム


ジクロ

ドワーフの魔法使い

呪術師

ベリジ

グルミヌ

ドワーフの商人

オラノフ

ゴキシン

ドワーフの間者

部下

ノードマン

ドワーフ部下

ヘレクス

カプタル

ドワーフ兵士

ガロム

ギリム山のドワーフ

ハイゼイツ

ドワーフ

ドワーフ


マヨネゲル

傭兵

マヨネゲルの部下

ルモント

商人

メリア

秘書

バリイの領主

イグリット

アズノル

領主の息子

イグリットの側近

リボル

バリイ領、総司令官

レマルク

副司令官

ネルボ

第二騎馬隊隊長

プロフェン

第三騎馬隊隊長

フロス

エルリム防衛の指揮官

スタミン

バナック

岩場の斧、団長

バナックの弟分

スプデイル

歩兵指揮官

ザレクス

重装歩兵隊大隊長

ジダトレ

ザレクスの父

マデリル

ザレクスの妻

 ベネド

 副隊長

ファバリン

アリゾム山山岳部隊司令官

エンペド

アリゾム山山岳部隊副司令官

デノタス

アリゾム山山岳部隊隊長

マッチョム

アリゾム山山岳部隊古参の隊員

ズッケル

アリゾム山山岳部隊新人

ブータルト

アリゾム山山岳部隊新人

プレド

サロベル湖の漁師

ピラノイ

サロベル湖のリザードマン

ロゴロゴス

リザードマンの長老

リザードマンの長老

リザードマン

ルドルルブ

リザードマンの指揮官

ゴプリ

老兵

シャベルト

学者

ヘセント

騎士、シャベルトの護衛

パン吉

シャベルトのペット


ソロン

シャベルトの師、エルフ

ルミセフ

トレビプトの王

ケフナ

内務大臣

 ケフナには息子が一人いたが三十の手前で病死した。孫もおらず、跡を継ぐような者はいない。養子の話が何度もあったが、家名を残すため、見知らぬ他人を自分の子として認めることにどうしても抵抗があった。欲が無いと思われ、王に気に入られ、内務大臣にまで出世した。

外務大臣

ヨパスタ

オランザ

財務大臣

ペックス

軍事顧問

トパリル

情報部

モディオル

軍人

カルデ

軍人

スルガムヌ

軍人


人間

兵士

ダナトリル

国軍、アリゾム山に侵攻。

モーバブ

ダナトルリの家臣。

国軍伝令


兵士

兵士

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