第八十八話、和平案(最終話)

文字数 543文字

 ガロムは自ら先頭に立って、泥と焦げた森の中、道を探し、泥の上に木材を敷き、馬車が通れるようしにした。二千の兵と食糧や物資を詰めた馬車が移動した。


「やっと抜けそうだ」


 焦げ付いた森と汚泥が途切れ、草原が見えた。

 草原には人間の兵がいた。


「そりゃそうだよな」


 ガロムは武器を構えた。


 

 ペックスは、ドワーフの援軍が森を抜けようとしていると報告を受け、バリイ領の騎馬隊と国軍の騎馬隊すべてを東にまわした。プロフェン、バナック、カルデは、騎馬隊を率い、二千五百のドワーフを足止めした。


 人間側の使者が牧場跡のドルフの元へ訪れた。

 一時休戦となった。


「悪くない条件だ」


 使者が持ってきた和平案を見たあとドルフはつぶやき、それをムコソルに渡した。


「ええ、二、三交渉し直さなければならない点がありますが、悪くはありませんね」


 ムコソルは和平案を食い入るように見つめながら答えた。相当数の年数、賠償金を支払わらなければならないが、避難場所やアリゾム山の採掘権、ドワーフが求めているものが含まれていた。

「ソロンが、この和平案に関わっているそうだ」


「そのようですね」


 和平案には書かれていないが、領主からの手紙に書かれてあった。


「いい友を持った」


「ええ」


「これで終われる」


 ドルフは顔を両手で覆った。


 了


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ドルフ

ドワーフの王

ムコソル

ドルフの側近

ロワノフ

ドワーフの王ドルフの長男

ダレム

ドワーフの王ドルフの次男

ドロワーフ

ハンマー使い

メロシカム

隻腕の戦士

トンペコ

ドワーフの軽装歩兵部隊の指揮官

ミノフ

グラム


ジクロ

ドワーフの魔法使い

呪術師

ベリジ

グルミヌ

ドワーフの商人

オラノフ

ゴキシン

ドワーフの間者

部下

ノードマン

ドワーフ部下

ヘレクス

カプタル

ドワーフ兵士

ガロム

ギリム山のドワーフ

ハイゼイツ

ドワーフ

ドワーフ


マヨネゲル

傭兵

マヨネゲルの部下

ルモント

商人

メリア

秘書

バリイの領主

イグリット

アズノル

領主の息子

イグリットの側近

リボル

バリイ領、総司令官

レマルク

副司令官

ネルボ

第二騎馬隊隊長

プロフェン

第三騎馬隊隊長

フロス

エルリム防衛の指揮官

スタミン

バナック

岩場の斧、団長

バナックの弟分

スプデイル

歩兵指揮官

ザレクス

重装歩兵隊大隊長

ジダトレ

ザレクスの父

マデリル

ザレクスの妻

 ベネド

 副隊長

ファバリン

アリゾム山山岳部隊司令官

エンペド

アリゾム山山岳部隊副司令官

デノタス

アリゾム山山岳部隊隊長

マッチョム

アリゾム山山岳部隊古参の隊員

ズッケル

アリゾム山山岳部隊新人

ブータルト

アリゾム山山岳部隊新人

プレド

サロベル湖の漁師

ピラノイ

サロベル湖のリザードマン

ロゴロゴス

リザードマンの長老

リザードマンの長老

リザードマン

ルドルルブ

リザードマンの指揮官

ゴプリ

老兵

シャベルト

学者

ヘセント

騎士、シャベルトの護衛

パン吉

シャベルトのペット


ソロン

シャベルトの師、エルフ

ルミセフ

トレビプトの王

ケフナ

内務大臣

 ケフナには息子が一人いたが三十の手前で病死した。孫もおらず、跡を継ぐような者はいない。養子の話が何度もあったが、家名を残すため、見知らぬ他人を自分の子として認めることにどうしても抵抗があった。欲が無いと思われ、王に気に入られ、内務大臣にまで出世した。

外務大臣

ヨパスタ

オランザ

財務大臣

ペックス

軍事顧問

トパリル

情報部

モディオル

軍人

カルデ

軍人

スルガムヌ

軍人


人間

兵士

ダナトリル

国軍、アリゾム山に侵攻。

モーバブ

ダナトルリの家臣。

国軍伝令


兵士

兵士

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色