第四十九話、目標
文字数 1,146文字
ドルフは軍を二つに分け、牧場跡に残るものと、アリゾム山攻略の部隊に分けた。
オラノフは兵を六百ほど連れアリゾム山に向かった。千三百ほどの兵が牧場跡近くに残った。残った千三百のドワーフは少し見通しのいい高台で野営し防御柵を張り巡らせた。水は近くの池から取った。食糧は少し切り詰め、何人か近くの森に鹿をとりにいかせた。
リボルは牧場跡に作った物見櫓からドワーフの兵の動きを見ながら言った。
「わかっている。アリゾム山の兵のことを思えばそんなことは言っていられない。その通りなのだが、それでもな、許せ、そう思ってしまったのだ」
レマルクが生きてここにいれば、戯れ言として話を合わせてくれただろう。
「さて、どうしたものか。まだ千三百のドワーフがいる」
「守りを固めて、国軍を待つというのはどうでしょうか」
「やつらはドワーフの援軍を断つためにいる。放火に忙しいそうだ。使者が来てそのようなことを言っていた」
「では我らだけで対処するしかないということですね」
「いや、実はいい知らせがある。早馬が来た。サロベル湖のリザードマンと共闘することが決まったそうだ」
「リザードマンですか。それは心強い。フエネ平原に籠もるドワーフを叩くと言うことですね」
「そうだ。フエネ平原に残してきた兵とリザードマンが協力してフエネ平原のドワーフを倒せば、喉に刺さった骨が取れる。その後、ドワーフの王が率いる千三百の兵を倒せばいい」
「ではそれまで、守りを固めればいいと言うことですね」
「問題はアリゾム山だ。フエネ平原側の兵が増えたのなら、こちらにも余力が出てくる。援軍を出して、背後から、アリゾム山に向かったドワーフをたたくこともできる」
「しかし、援軍を送っても、アリゾム山に向かったドワーフが反転してくる可能性もあります。そうなると、ドワーフ王の兵と挟まれることになります」
「それを防ぐためには、この牧場跡が出て、ドワーフと野戦と言うことになるか」
「背後を突くのは無理でも、援軍をアリゾム山の砦に送ってはどうでしょうか」
「そうだな、何人か送るか。レマルクの下にいた歩兵の隊長がいただろう。少し頼りないが、あいつに任せよう。我々はフエネ平原の戦の決着が付くまで守りを固めればいい」
「スプデイルですね。わかりましたそのように手配します」
スプデイルは歩兵を五百ほど引き連れ、ドワーフの兵を迂回しながらアリゾム山に向かった。その中には、ゴプリとプレドの二人もいた。
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