第十四話、寄り道
文字数 1,503文字
シャベルトは寄り道をしていた。
ヘセントは、何度目だろうか。道ばたでしゃがみ込むシャベルトに言った。二人はシャベルトの師であるソロンに会うため、グリオム山をのぼっている道中である。
「しかし、なかなか見られないのだよネズミ蠅取り蜘蛛が巣を作っているところなんて、この子達は、動物の死骸に巣を作るというとても珍しい性質を持っているんだ。そのためにネズミを毒で殺して、そこに糸で巣を作って蠅を捕るんだ。おかしいと思わないかい。ネズミを捕れるのにネズミは食べないで蠅を食べるって、おかしいと思わない? 思うよね。人間だったら、豚を育てて、殺して、寄ってくる蠅を食うようなもんだよ。変だよね。効率悪いと思うよね。気になるよね。変だよね」
シャベルトはヘセントに顔も向けず、ネズミの死体に糸を張る蜘蛛を見ながら話した。
おまえが一番変だと、ヘセントは正直に思った。
熱心に見つめた。
ヘセントは言った。
シャベルトは背を向けたまま言った。
説得しようと、息を吸った時、ヘセントはシャベルトの頭上に乗っているノコギリリスのパン吉と目が合った。パン吉は、こうなっちまったら、もうだめだよ。そんな仕草をした。
ギリム山、ドワーフ王の部屋で、ドワーフの王ドラムと、腹心のムコソルが話をしていた。
扉が開いた。
ロワノフはドルフの長男である。
二名の衛兵が部屋に入ってきた。
二名の衛兵は戸惑った顔をした。
二名の衛兵は困った顔をした。
ムコソルが言った。
二名の衛兵は戸惑いながらも王子であるロワノフをつれ牢屋に入れた。
王は筆をとった。