第五十一話、リザードマン参戦
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鹿が何頭かとれた。血を抜き、内臓の処理をし、肉を塩水に漬けた。火事から逃げてきたのか、鹿は簡単にとれた。バター焼き、豆と煮込み料理、肉に香草をまぶしパイ生地に包み即席の石窯で焼いた。ドワーフたちは舌鼓をうった。
火が放たれ三日ほど経っているがギリム山周辺の火事は衰えるそぶりを見せない。ドルフとムコソルは食事をしながら話をしていた。
二万のドワーフが一度にアリゾム山に移り住むという計画も考えたが、二万のドワーフが暮らせるような場所も食糧もなかった。アリゾム山を制圧し、話し合いに持ち込み、半年ぐらいかけ、移住する計画だった。
敵も対応してきている。
火が落ち着くのを待つか、オラノフがアリゾム山を落とすのを待ってもいい。
リザードマンにミスリルの槍を送り味方にならないかと誘った。
簡単なことではないな。ため息をついた。
リザードマンは部隊を三つに分けた。体の大きな者二百、中ぐらいの者二百、小柄な者百、計五百の軍を派遣することに決めた。小柄な者はまだ若いリザードマンで、戦の経験を積ませるために連れてきている。その中には、プレドの友であるピラノイも入っていた。
装備はまばらで、鎧を着ている者の方が少なかった。体の大きなリザードマンは、木製の、戸板のような大きな盾を左に、右には長槍を持っていた。
リザードマン達はザレクスの陣に訪れた。
ベネドとプロフェンは挨拶をした。
ジダトレはサロベル湖にて、リザードマンと合意を交わした後、ザレクスの陣でリザードマンを待っていた。領主の息子であるアズノルは報告をするため領主の館に帰った。
ルドルルブは鼻腔を少し広げた。十五年ほど前、サロベルの警備隊長であったジダトレはリザードマンと共に貴族の屋敷を荒らす盗賊を捕まえたことがあった。