第五十九話、戦準備
文字数 1,483文字
ファバリンは、総司令官であるリボルが五百の援軍を送ったという報告をマッチョムから受けた。
マッチョムは答えた。
砦無き今、アリゾム山山岳部隊にとって有利な点は、見つかっていないことだけだ。山に不慣れな兵を入れれば、それだけ見つかるリスクが増えることになる。
副官であるエンペドが言った。
フエネ平原のザレクス陣ではリザードマンの陣形についていくつか試していた。リザードマンの尾打を活用するため、幅を広くとったり、斜陣なども試していた。ドワーフは砦の中に立てこもっているため、それらを試す機会はまだ無かった。
副官のベネドが言った。
ザレクスはいやそうな顔をした。
火はまだ燃えている。雨が降る気配はないが、どこかから迂回してくる可能性もある。
ザレクスは、胸元にぶら下げている妻の肖像画が入っているロケットを触りながらつぶやいた。
人間の兵が、アリゾム山のふもと、オラノフの部隊の背後に陣取ったと聞き、オラノフは百人ほど、兵を山とのふもとに残し、背後からの攻撃に備えた。残りの五百で、アリゾム山を攻めることにした。
オラノフはゴキシンに聞いた。
燃え尽きた砦の中から、焦げた食糧が見つかった。人間は、ゴキシンが砦の食糧に毒を盛ったのではと考え、砦を食糧ごと燃やしたのではないかと、オラノフ達は推測した。
ゴキシンは少し笑った。
辺りを見渡した。木々に覆われ、視界は極端に悪かった。
オラノフは山の中で拠点をいくつか作りながら、斥候の兵を出した。