第五十二話、対応
文字数 2,240文字
フエネ平原に陣を構えるダリムは見張り台の上から人間の様子を見ながら言った。
メロシカムは言った。
ドロワーフは見張り台から身を乗り出した。
木材と石を使い、二メートル程度の壁で周囲を囲んでいる。人を想定して作っている。
戦闘がないあいだ、壁の補強にいそしんでいた。
人間の腕力なら、兜の上から槍でいくら殴られても、平気だが、リザードマンの腕力となると自信が無かった。
ドロワーフは頭を左右に動かした。
ドロワーフはハンマーを振り回す仕草をした。
ドロワーフは言った。
メロシカムは眉をしかめた。
ガロムが言った。風もなく、火が森を静かに呑み込んでいた。
ガロムの部下が言った。国軍は森の街道を重点的に燃やしていた。
白髪のドワーフが言った。
ハイゼイツは鼻をむずむずと動かした。
体を揺らした。ハイゼイツは長年ドルフに使えてきた男だ。少し落ち着きのないところがあった。
伝書鳩を使って連絡は取り合っている。リザードマンが参戦したという話も聞いている。
ハイゼイツは、うろうろとその場を歩き始めた。
ザレクスも、リザードマンの取り扱いに悩んでいた。傭兵として出稼ぎに出ていた者もいるらしく、個々の強さは目を見張るものがあったが、団体での戦闘となると、まとまりがなかった。装備も心許なかった。
しばし悩み、いろいろ使ってみるしかないと結論づけた。
ザレクスは胸元に手を入れ首から鎖でぶら下げているロケットを取り出した。少し大きく、手の平ぐらいの大きさである。ふたを開けると、女の肖像画があった。ザレクスの妻の肖像画である。
にやけた。