第16章(3)

文字数 6,320文字

 小春たちは3人でローミックの狭すぎる事務所を訪問していた。開発中のシステムを実地で触りつつ、システムの使い易さをその場でディスカッションし、細かい修正事項に繋げていくためだ。
ほほう、こう指定すると……。
 タブレットを操る小雪が、マンガ吹き出しのなかをタッチペンで囲むようにして指定した。すると、その箇所の日本語が、画像上で英語に置き換わった。
おお、すごい! これホントにすごいよ!
といっても、AIが勝手に判別して画像翻訳をかけてくれるわけじゃなく、本当に重要な部分はなんと人力だからね〜、たはは。
それでもトライアスが取り組むのは、人類最先端のAI事業だ。間違いなく私たちは世界にAI企業として認知されるに違いない。
どうだ使い勝手のほうは? 一連の流れを試してみて、調整したほうがいい部分があれば言っておいてくれよ。
じゃあ色々言ってもいいですか。画像をアップロードする画面なんですけど、今はファイル選択しかできないですよね。でも出版社から渡される画像はこのサーバーに格納されているので、フォルダを開いてすぐ画像をここにドラッグして――。

 小春は指摘を続け、川上はその内容を紙に書き殴った。メモの内容は文字なのかどうかわからないほど煩雑で、小春には読み取れなかった。それに続いて千景が、実際の操作をしてみせながら、川上に要望をぶつけていった。

 一通りメモを取っていた川上がうなずく。

細かいことは色々あるようだが、どれも大した修正じゃねーな。1週間もあれば丸っと吸収できる。本番用のサーバー構築作業ももうすぐだし、事業はそろそろ着手できるだろう。
頼んでからまだ1ヶ月ですよ! 超早い!
そりゃ、うちはマンガビューワー関連とか既に開発済みなものが多かったからな。業務システム系も、うちが過去に開発したものをちょっと弄っただけだ。今回の対応は主に、マンガ画像と翻訳出力箇所の擦り合わせだぜ。
頼りになります、色々な対応本当にありがとうございます!
へっ、そういう仕事だからな。

 柄にもなく川上は照れた風だった。

 普段は他の大人たちを避けるようにするはずの小雪が、ざっくばらんな川上にはだいぶ慣れた様子で口にする。

それにしても、この恐ろしく狭い空間はなんとかならないのか? 弁天町のうちの事務所のほうが本当は狭いはずなのに、こっちのほうが散らかっているし物が積まれていたりで、ずっと狭く感じるぞ。どうしようもないオフィスもあったものだな。
いいんだよ、こんなんで。オシャレなオフィスなんざ俺の柄じゃねーし、オフィスを綺麗にしたところで一文の得にもならねえ。

 人様の会社に対して小雪の失礼な指摘だったが、当の川上のほうも社会的マナー意識は希薄で、気にも留めない風だった。川上はただの一度もサラリーマンを経験したことがないし、誰かの下で働いたこともないため、上下関係の意識も薄く、小雪や小春を下に見ている様子もない。それにシステム仕様を日常的に突き詰めている仕事柄か、ストレートな物言いを好み、小雪くらいの直接的な表現に違和感もないようだった。これらは謙虚さというより、一般常識の欠如といったほうが近しい表現になるだろう。

 川上はローミックのエンジニアたちとも、上司と部下というより、親方と職人といった仲間内という意識で経営しているようだった。世間がIT企業として想像するイメージはどこにもなく、昔ながらの土木建築会社といった趣さえあった。

清掃のプロ中のプロである私からすれば、このような乱雑な場所は度し難い。
失礼を承知で言うんですけど、こんな風にしてても仕事に困ってないのは素直にすごいですよね。
誤解しているかもしれないが、うちは依頼の大半を断ってるんだ。見てくれで判断してくる企業は相手にしなくていい。むしろ貧乏会社くらいに思わせとけ。
一見すべてが貧乏会社に見えますよね? ワザとやってたりするんです?
ワザとなんて面倒なことしてねーよ。興味がないだけだ。
コンピューターエンジニアリングに特化しまくった人たちって機械と会話できるんだよね。だから人間社会の物事にあんまり頓着しなくなる。私程度じゃ、全然そんな境地には至らないけどね。
機械と会話……。
否定はしない。どう思われようが構わん。俺と、俺の仲間が楽しく生きられるなら、他は心底どうでもいいぜ。
うちの居候が、ローミックさんはその辺の有名企業よりずっと信頼性が高い会社のはずだって言ってました。突然ですみませんけど、勉強のためにBSを拝見させてもらうことって……できませんか?
BS? そんなものに興味があるなんて珍しいお嬢ちゃんがいたものだな。いや……そういやアンタも経営者だったか。水無月さんは桜丈ホールディングスの人なんだろ? だったらサイバーゼックに確認すれば、うちのBSなんていつでも見られるぜ。まぁいいや、最新のがあるからちょっと待ってろ。
わ! ホントに銀行預金がこんなにある!
これはすごい。とんでもなく安全性が高い会社ってこと、一目瞭然ですね。
アホ吐かせ。この程度は普通の範囲だ。俺の周りの経営者連中なんざ、BS上の純資産が数十億単位なヤツだって珍しくないんだぜ。それに比べりゃ俺なんて雑魚よ。
そういう謙虚さも、ここまで成功して、すっかり安定してしまっているからこそ言えるんだと思います。ローミックさんって月商どのくらいですか?
月3500万くらいな。
ということは、銀行預金額は月商換算だと……えっと……。
約13.3ヶ月分。
月商の13.3ヶ月分の銀行預金! 月商の3ヶ月分以上、安全性チェック確認!
あ?
純資産6億4300万円確認! 土地・建物なし確認!
だから何だよ?
この有価証券1億1000万円のうち、6800万円はトライアスへの出資分ですよね?
そうだが?
他も問題なし確認! 純資産に偽りなし確認!
これは絶対普通の中小企業じゃないですよ。ローミックさん事務所もこんなで、エンジニアさんたちの人件費以外は何も固定費がない会社でしょうから、世の中で最も潰れづらい会社なのは間違いないです。
何だあ? うちの経営分析をしにきたのか? ありがたい教えを聞いてる暇は、俺にはないぜ。
この無形固定資産というのは何だ?
うちが作って、うちが権利を持ってるソフトウェア関連な。まぁ正直、俺もそれが記載通り本当に5000万円なのかよくわからん。そうなっているから、そうなっている。それ以上は知らん。
おかしいだろう? なんで借入がこれしかないんだ?
どういう意味だ? 借入1400万円ってのは日本政策金融公庫からで、別に借りなくてもよかったんだが、うちの税理士から勧められてな。
これだけの地力があるなら、もっともっとカネを借りるべきだ。そのカネを投資に突っ込み、会社を大きくしなくてはならない。歴戦の経営戦士として名を馳せる私が見るところ、ローミックはBS規模30億円くらいまで拡大の余地がある。
いや俺なんざ運用なんて何も知らんし……。この前も個人のFXで1000万円吹き飛ばして、俺個人はほとんどスッカラカンなんだよなぁ……。
ダメなヤツだ。うちのオヤジよりずっとダメだ。今すぐ銀行から10億借りてこい。その金でビルを買え、五反田でいい。
俺がそこまで言われなきゃならねーのは、なんでだぜ……?
ローミックは、サイバーゼックから資本を入れてるんですよね? こんなに良い会社なのに、他社から資本を入れたのは何でですか?
いやうちは言うほど良い会社じゃねーけど……経営が完全に安定したのは15年くらい前にサイバーゼックとの取引が始まってからだぜ。んで、取引が拡大してきたから、サイバーゼックからの提案で少し出資を受けておくことにしてな。その代わり、サイバーゼックは必ず毎月2000万円以上の発注をしてくる約束をした。そして実際、サイバーゼックはそれを守ってる。今じゃ売上の8割以上はサイバーゼックで占めてるぞ。
サイバーゼックとしては、高単価のエンジニアさんを直接雇うより、ローミックを実質傘下にしたほうがメリットが大きいという判断だったんでしょうね。そもそも経験値豊富なエンジニアさんって探して雇えるものじゃないですし、だいたい労働市場であっちこっちに行き来してるエンジニアさんっていうのは微妙だったり……。
ローミックって資本金990万円でしたっけ……。サイバーゼックはどのくらい出資して、持株比率はどんな状況なんですか?
元々うちは資本金100万円だったんだが、サイバーゼックが出資すると決まったときに、俺が590万円、サイバーゼックが300万円を増資したんだよな。それで資本金990万円にした。持株比率はたしか……。
端数を四捨五入すると、川上社長70%、サイバーゼックが30%ですね。
川上社長の持株比率66.7%以上を確認!
お、おう、そんな感じだったな。実際俺が全部決めてるし、サイバーゼックはただの一度も何か言ってきたことがないぜ。
桜丈ホールディングスも、サイバーゼックに対してほとんど関知しないって感じですからね。うちのグループは良くも悪くも関連会社を軒並み放置です。
資本金990万円とかいう半端な数字はどういうことだ? 地球連合ですら資本金は7648万円もあるのだぞ。ローミックなら資本金を5億くらいにして大企業に見せかけるべきだ。
何の意味があるんだよ……。損するだけじゃねーか。
資本金を増やす分には損なんてあるまい。
何も知らねーんだな。まぁ中学生くらいの女子が知らなくて当たり前か。
小雪ちゃん、会社は資本金の額によって、納税額にちょっと変化があるの。
なっ、何!? そうなのか!?
知らなかった。資本金の額ってただの数字で、税金に関係するなんて思わなかったよ……。
この資本金額による納税の変化は日本の場合の話になるんだけど、他国でも会社の規模によってルールが違ったりするケースが多いと思う。その国その国の法制度に応じて、賢く振る舞うよう努めないとね。
具体的には、どんな変化なの? 日本の場合で教えて。
第一のラインは、資本金1000万円より上か下か。
1000万円以下なら、法人住民税の均等割がだいたい年7万円で済むんだよ。だが1円でも上回ると、均等割は毎年18万円くらい課税されちまう。まぁ他にも1000万円未満だと設立2年以内は消費税の特例があったりとかな。内容に応じて以下や未満が混在して少々面倒だが、要するに1000万円を境にして色々と違いがあるって知っとけ。
国のほうも資本金が1000万円より小さい企業は零細と推定するから、公的な支援を比較的得やすかったりするね。
税金負担が年7万円か、年18万円かって、結構大きい違いだね……。資本金額が違うだけなのに……。
そのくらいの差額――年12万円ごときの差を気にする程度なら会社なんてやらないほうがいいって考え方もわかるが、俺はシンプルに払う金額が小さいほうがいいね。
他にも5000万円を境に下請法の適応が変わったりとか、法律の分岐点はまだまだあるよ。ただ1000万円のときよりもっと大きなポイントは、資本金1億円かな。この1億円を境にして、税率がガクッと変わる。
らしいな。俺は1億円のラインは詳しく知らんけど、年商600億ある知り合いの会社は、純資産がそれこそ数十億とうなってるのに、わざと資本金1億円のままに留めてる。1億円が至上だって言ってたぜ。
元々資本金が何百億円や何十億円あったところも、あえて減資して、資本金1億円に引き下げている大企業は結構あるんだよね。税金逃れだって時々話題に上がるけど。
な、なん……だと……? じゃあ資本金は低ければ低いほど得だったりする、のか……?
得に決まってる。資本金は低いままのほうがいい。
それはローミックさんがもう営業とか気にしなくていい会社だから、単純に税率だけで判断しているんだと思いますよ。普通の会社は、会社の信頼性とか広告面とか考えて、少しでも高くしておこうって判断もあるはずです。税金が仮に年50万円多く発生することになったとしても、資本金を高く積み上げれば年50万円分くらいの広告効果や信頼性の演出はできるって考えもあるのでは。
なるほど、そりゃそうだ。うちには無関係だが、その考えも否定はしない。
そんなポイントもあるんだ……。資本金ってBSに影響してくるだけかと思ってたよ……。なんで玄七郎は触れなかったんだろう?
この程度だったらわざわざ帝王学で解説するような話じゃないんじゃないかな? こんな特定の国の法律に依存した話まで解説してたら、いつまで経っても学習は終わらなくなると思うし。あくまで日本の制度ならって話だからねー。国を跨げば、税法に関する実務は全然変わってくると思うよ。
こ、これは研究の余地がありそうだ……。むうう……玄七郎に小馬鹿にされても、やはり今日も図書館で参考図書をチェックするべきか……。
つーかむしろ、何なんだよお嬢ちゃんたちは? こんな知識を知ったところで、学校の試験じゃ出たりしないぜ? お勉強に時間を使ったほうがいいお年頃じゃねーのか?
あっ、いいんですよこの子たちなら。下手な大人たちよりずっと経験豊富で覚悟もありますからね。時々ちょっとした知識をまだ知らないだけです。
まぁ普通じゃねーなってことは分かるが……。
さらに聞いておこうか。ローミックがとんでもなく倒産可能性が低い会社だってことは認めてやろう。だが下請けのローミックにこれだけお金があるということは、サイバーゼックはどれだけ儲けているんだ?
何でそんなに偉そうなんだ……? まぁいい、サイバーゼックは別に儲かってないんじゃねーのか? あのオフィス代だけで幾らなんだよ、バカバカしい。総務だの経理だの人事だの秘書だのと余計な連中も抱えて会社ゴッコに忙しいしな。
渋谷の超一等地で、広告やプレスリリースを散々打ちまくって、派手に人材も抱えてますからね。まぁサイバーゼックみたいな会社だと、そうした見てくれ自体がビジネスモデルなんですよ。そんな会社だと、高い税率なんか飲み込んで、資本金を高く積み上げておくのは広告効果として大事でしょうね。
ローミックみたいに営業とか広報とか抱えないで、事務所にもお金をかけないで、自分たちの専門だけに特化している企業のほうが強いってことが分かるよね。
そんな深いことまで考えちゃいねーけどな。なるようになっただけだ。
それにしたって私は納得がいかないぞ。こんなに余力があるのなら、借入金を増やして投資に回し、BSの構造を美しく整えるべきだ。銀行預金ばかりだと私には逆にリスクにしか思えない。
血気盛んなのはいいけどな、蓄財や野心なんか程々にしとけよ、小さいほうのお嬢ちゃん。どうせな、そう遠くないうちに人類は、AIに取って代わられることは明白だ。こんな仕事をしている俺には手に取るようにわかるんだよ。
異議ありだ! そう言う割に、トライアスに必死で金を突っ込んでこようとしたではないか。私たちに油断させておいて、自分ばかりが儲けたいと見た。
ははは、うちの業界も先行きがないからな。人を雇うこともできなくて、先細りは確定的だぜ。そして近々AIが開発業務をするようになれば、俺たちゃ失業するしかなくなる。未来の人類に期待していないからこそ、稼げるときに稼いでおくことが必要なんだよ。
まだトライアスが稼げるって決まった話じゃないですけどね。
少なくとも手堅い投資なわけじゃなかったと思います。私のお父さんも成功するかどうかは運だって言ってました。
なに、もし大失敗でもしようものなら、俺が育成したAIに人類を滅ぼしてもらうことにするさ。
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登場人物紹介

桜丈 小春(15)おうじょう こはる

「今日から私が桜丈ホールディングス代表取締役社長ってホントなの!?」


イラストやマンガを描くのが好きで、ほのぼの系キャラクターデザインを得意としている。大手新聞社&大手出版社が共催の日本最大のイラストコンテストでは、中学生部門で2年連続の最優秀賞に輝いた。

中学生にしてお小遣い帳をつけるほどの貧乏性。質素倹約、モノは擦り切れるまで使い、中古品を愛用する。趣味は、癒し系イラストを描くこと、古着屋巡り、貯金箱に500円玉を貯めること。

総資産4兆5000億円の桜丈ホールディングス株式会社、代表取締役社長。企業グループとしては日本国内だと50位、グローバル視点なら1000位に入る規模感だが、ホールディングス本体も傘下企業の大半も未公開企業で構成されているのが特色のため、表面上(バランスシート上)の総資産は市場価値を正しく反映していない。

桜丈 小雪(13)おうじょう こゆき

「いずれ歌舞伎町の闇王として君臨するのが、私という存在に課せられた哀しき宿命なのだ」


生まれてこの方ペーパーテストは満点以外をほとんど取ったことがなく、剣道やギターなど幅広い素養もあり周囲からは天才と思われているが、実は隠れて大変な努力をしている。まだ幼さの残る面影ながら誰もが振り向く美貌の少女。まさに才色兼備を地でいく女子に見えるものの、重度の厨二病を患っている。好きなコンテンツは『首領(ドン)への道』。いつの日か新宿区歌舞伎町に影を潜めて暮らし、自分の組を持ちたいと夢想する。

源 玄七郎(67)みなもと げんしちろう

「強いていえば、通りすがりの執事でございます」


桜丈家にやって来て12年目の、長身の自称執事。自分に常に厳しく、他人にも恐ろしく厳しい。

日本有数の格調の高さで知られる五つ星ホテルブランド――ベイグランディアホテルズの創業者にして元代表取締役社長。かつてベイグランディアホテルズは経営に行き詰まり、巨額の負債を抱えて民事再生法を申請したことで連日経済ニュースで取り上げられた。ある意味で名士であり財界有名人。ベイグランディアホテルズは、桜丈ホールディングスの傘下に組み入れられて経営再建中。

水無月 千景(28)みなずき ちかげ

「パワハラで会社訴えてやるぅ! めちゃんこ慰謝料請求してやるんですドチクショー!」


東京大学理学部卒のアラサー。経済産業省資源エネルギー庁に在職経験のある元官僚。桜丈ホールディングスの管理部門に勤めるかたわらで、会社の意向(業務範囲として)で小春と小雪の家庭教師をしている。絶賛婚活中だが程良い相手が見つからず、念のため生涯独身にも備えて最近4500万円で東京の真ん中に中古1LDK49平米を購入した。

桜丈 陸(58)おうじょう りく

「ぼくは当てもなく荒野を彷徨う金鉱堀さ。泥に塗れた地べたで過ごし、何度かグッドラックを引き当てた、それだけのことだよ」


桜丈ホールディングス元・代表取締役社長にして、現・無職ニート。明治後期から続く旧・桜丈財閥の本家筋にあたる四代目。桜丈財閥は繊維産業を中核とした中規模な産業複合体にすぎなかったが、軍需衣料品に経営を過度に依存していたためGHQに目を付けられ、太平洋戦争後の財閥解体で主要企業のすべてを切り離され、いくつかの不動産を残すだけで有名無実化していた。だが陸の代で、手持ちの不動産を担保になりふり構わぬ賭けに出て、急激な膨張を成し遂げた。その規模感は、戦前の桜丈財閥のスケールに比肩する程度にまで戻ったとされ、日本経済界の一つの奇跡と受け止められている。

さも意味深な言い回しをするものの、大して深い意味はない。自らが創り上げたグループの代表を、ある日突然に辞任してしまった。一見自分勝手な引退のように見えて、強引に幕引きしてしまったのには、実は本人の狙いもある。

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