第22章(2)
文字数 7,017文字
22時、弁天町オフィスでお茶を飲みながら、小春と千景はニュースプレスを見遣っていた。ニュースプレスは以前、起業家イベントのときに取材クルーが千景を囲んで、美人すぎる起業家として扱おうとしたことがある有名ニュース番組だ。
小雪が大衆デビューを飾ったばかりの今日、さっそくニュースプレスから22時の生放送での出演申込が入ったのである。だから玄七郎を付人として連れ立ち、小雪はテレビ局に入っていた。番組にライブで小雪が出演しており、玄七郎のほうは控え室またはスタジオ隅で放送が終わるのを待っているはずである。
小春がチェックすると、当然のごとくネットはリアルタイムでお祭り騒ぎとなっていた。
SNSでは激しく小雪を叩く人もいたし、逆に小雪を支持している人々も少なからずいた。尤も、賛成・反対以前に、生放送を無理やり打ち切ったニュースプレスに対する怒りや不信感が渦巻いていた。ニュースプレスは報道番組として最高視聴率を誇るだけに、元々批判も多く集まっており、今回の成り行きに便乗した猛烈な叩きが加速化しているようだった。
そのとき小春のスマホが振動し、ビデオチャットの着信が入った。小雪からだ。
着信に応じると、画面に小雪が顔を覗かせる。その後ろには玄七郎の姿があった。どうやら控え室から掛けてきたらしい。
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