050 キレイ事が言えちゃうのも異世界ゆえ
文字数 1,978文字
「なのでウタビィさん、あの人を改心させるためにも、オレは自分の罪を償わないと。オレへの支払いは、全額あの人の療養費に当ててください」
「いいのかい、本当にそれで?」
「ええ。それと、足りなかった場合や、あの人の真っ当になる意欲を確認した上で、買いあげて欲しい情報と言うか、儲け話もあります。聞いてもらえますか?」
先頭を行くウタビィは歩みを止めずにふり返り、ランタンの明かりで照壬の面持を確認。
前へ向きなおってから「エェ、聞きかせてもらうわ。テルミの若さで儲かる話ニャと言うのニャら、間違いなく儲かっていた事実に裏づけられいるはずニャから」と返答。
「まぁ、オレの知識なんて周知の事実でしかありませんからね……さっき御馳走になった食事なんですけど、オレの味覚でもかなり美味しかったんですよ」
「……ニャから?」
「だから、オレの国の人気料理のレシピ、て言うか、つくり方を知る限り教えますから、買ってください。オレ、祖父サマと二人暮らしで育ったので、食事の用意はオレの役目だったんです。それなりに自信もありますから」
「ニャるほど、悪くニャい話ニャわね。あの飲食処の出す料理がニャかニャかの味ニャのも、立ち寄る旅客や他所から来る荷運び人たちがつける文句と、こまかい注文のお蔭ニャのよ。とりわけ山を越えるには、美味しいお酒と食事が、何よりのヤル気の素ニャから」
「それを実感して思いついたんですけど。特にスイーツ系、て言うか、デザートもダメか?」
「……エエ、わからニャい言葉だわね」
「えっと、食後や休憩の時にお茶を飲みながら食べる菓子類のことで、ここで売り出せば、名物になること請合います。央都で小洒落た提供の仕方をすれば、行列必至のはずですし、ウタビィさんへの恩までバッチリ返せると思うんですけど、どうでしょうか?」
「ぅニャ~、いいじゃニャいのっ、この国どころかデアブラリフェインにないお菓子の情報ニャんて! 独占契約する方向で話を進めさせてもらうから、疲れているところを悪いけれど、これから、一つ二つつくって見せてくれニャいかしら?」
「はいっ、わかりました。でも、それで合格したなら、あとは、療養中のあの人に全ての権利を委ねます。ウタビィさんには面倒で申しわけありませんけど、一応あの人がつくって見せなければ、売らない契約にしてもらえませんか?」
「ニャハァ~、そう言うことニャの?」
「はい。自分でつくれて、売れるんだと自覚すれば、悪行で稼ぐ気なんて、なくなるんじゃないかって思うんですよね」
ここでまた会話にヴォロプが「てか、ガチに短絡的ね~。アタシが知る限り、そんな素直にいくようなコじゃない気がしちゃうぅ」と穴言 いで交 ろう。
「……だから、そうした諸諸 込みで、ウタビィさんにかかるだろう面倒を詫びたんだけどな。その分、情報の買い取り額もウタビィさんに任せるし、あの人が悪意地を張るようなら、ウタビィさんの判断で、一つずつ売り出しちまってかまわないし」
「それで私はかまわニャいけれど」
ウタビィが快諾とくれば、あとはヴォロプに噛んで含めるだけ。照壬も弁舌軽らかに丸め込みにかかる。
「これで、強情を続けるだけどんどん損をすることになる。あの人は、そこまで頑愚じゃないと思うんだよな」
「そんなこと、どうしてテルミが言えちゃうのよ? 確かに愚かしくはない、むしろ、すすどそうなコだったけど~」
「……ワイヴァーンを乗り熟す様とか、ふり落とされたあとの冷静な対処とか、動きを見ればすすどさはわかる」
「そんなこと言っても、戻って来たテルミ自体は全然冷静じゃなかったけど~」
「……なんで結局、人は動きでしか評価できないからな。いくら頭の出来が良くたって、話したり、書いたり、体を動かして出力できなけりゃフォーも一緒だ。フォーってのは、つまりは巧く動けないことなんだよな」
「……そ?」
「そ。ヴォロプも、動ける頭の出来の良さってカンジだからな、反論はないはずだろ」
「てか、あるわよ。明日の朝にはもうここを発つんだから、とりあえず買ってもらえたあとはどうするの?」
「……どう、って?」
「一晩じゃ、言の葉にだって残しきれないだろうし。残したとしたって、言葉の意味がわからなければ、食材も調味料もこっちにはないかも知れないでしょ。何よりしっかり眠って疲れをとってくれなくちゃ、アタシの足についてなんか来れないんだからぁ」
この典型的な女子の主観が強すぎる発想が、ヴォロプの美と知性の典型と言える出来の良さに唯一ケチをつけて、唯一がゆえに台ナシにしてしまい、これぞ才女佳人の玉に瑕だと、照壬は生 口惜まざるを得ない。
「コトノハって、言の葉かな? それはわからないけど、オレとウタビィさんは、いつでも、ほぼどこからでも、ノキオにつながれるってことを失念しちまっているだろ?」
「アァ~ッ……」
「いいのかい、本当にそれで?」
「ええ。それと、足りなかった場合や、あの人の真っ当になる意欲を確認した上で、買いあげて欲しい情報と言うか、儲け話もあります。聞いてもらえますか?」
先頭を行くウタビィは歩みを止めずにふり返り、ランタンの明かりで照壬の面持を確認。
前へ向きなおってから「エェ、聞きかせてもらうわ。テルミの若さで儲かる話ニャと言うのニャら、間違いなく儲かっていた事実に裏づけられいるはずニャから」と返答。
「まぁ、オレの知識なんて周知の事実でしかありませんからね……さっき御馳走になった食事なんですけど、オレの味覚でもかなり美味しかったんですよ」
「……ニャから?」
「だから、オレの国の人気料理のレシピ、て言うか、つくり方を知る限り教えますから、買ってください。オレ、祖父サマと二人暮らしで育ったので、食事の用意はオレの役目だったんです。それなりに自信もありますから」
「ニャるほど、悪くニャい話ニャわね。あの飲食処の出す料理がニャかニャかの味ニャのも、立ち寄る旅客や他所から来る荷運び人たちがつける文句と、こまかい注文のお蔭ニャのよ。とりわけ山を越えるには、美味しいお酒と食事が、何よりのヤル気の素ニャから」
「それを実感して思いついたんですけど。特にスイーツ系、て言うか、デザートもダメか?」
「……エエ、わからニャい言葉だわね」
「えっと、食後や休憩の時にお茶を飲みながら食べる菓子類のことで、ここで売り出せば、名物になること請合います。央都で小洒落た提供の仕方をすれば、行列必至のはずですし、ウタビィさんへの恩までバッチリ返せると思うんですけど、どうでしょうか?」
「ぅニャ~、いいじゃニャいのっ、この国どころかデアブラリフェインにないお菓子の情報ニャんて! 独占契約する方向で話を進めさせてもらうから、疲れているところを悪いけれど、これから、一つ二つつくって見せてくれニャいかしら?」
「はいっ、わかりました。でも、それで合格したなら、あとは、療養中のあの人に全ての権利を委ねます。ウタビィさんには面倒で申しわけありませんけど、一応あの人がつくって見せなければ、売らない契約にしてもらえませんか?」
「ニャハァ~、そう言うことニャの?」
「はい。自分でつくれて、売れるんだと自覚すれば、悪行で稼ぐ気なんて、なくなるんじゃないかって思うんですよね」
ここでまた会話にヴォロプが「てか、ガチに短絡的ね~。アタシが知る限り、そんな素直にいくようなコじゃない気がしちゃうぅ」と
「……だから、そうした
「それで私はかまわニャいけれど」
ウタビィが快諾とくれば、あとはヴォロプに噛んで含めるだけ。照壬も弁舌軽らかに丸め込みにかかる。
「これで、強情を続けるだけどんどん損をすることになる。あの人は、そこまで頑愚じゃないと思うんだよな」
「そんなこと、どうしてテルミが言えちゃうのよ? 確かに愚かしくはない、むしろ、すすどそうなコだったけど~」
「……ワイヴァーンを乗り熟す様とか、ふり落とされたあとの冷静な対処とか、動きを見ればすすどさはわかる」
「そんなこと言っても、戻って来たテルミ自体は全然冷静じゃなかったけど~」
「……なんで結局、人は動きでしか評価できないからな。いくら頭の出来が良くたって、話したり、書いたり、体を動かして出力できなけりゃフォーも一緒だ。フォーってのは、つまりは巧く動けないことなんだよな」
「……そ?」
「そ。ヴォロプも、動ける頭の出来の良さってカンジだからな、反論はないはずだろ」
「てか、あるわよ。明日の朝にはもうここを発つんだから、とりあえず買ってもらえたあとはどうするの?」
「……どう、って?」
「一晩じゃ、言の葉にだって残しきれないだろうし。残したとしたって、言葉の意味がわからなければ、食材も調味料もこっちにはないかも知れないでしょ。何よりしっかり眠って疲れをとってくれなくちゃ、アタシの足についてなんか来れないんだからぁ」
この典型的な女子の主観が強すぎる発想が、ヴォロプの美と知性の典型と言える出来の良さに唯一ケチをつけて、唯一がゆえに台ナシにしてしまい、これぞ才女佳人の玉に瑕だと、照壬は
「コトノハって、言の葉かな? それはわからないけど、オレとウタビィさんは、いつでも、ほぼどこからでも、ノキオにつながれるってことを失念しちまっているだろ?」
「アァ~ッ……」