060 同時性か類似相関かウザキャラはテンプレ
文字数 1,991文字
照壬の意識のレイヤーがさらに一層ブチギレたその瞬間、照壬の左手にあったлсДが勝手に飛んで、悪党の横っツラをブチのめし荷車から跳ね落として、また照壬の左手に戻った。
それは、当の照壬でさえも実感しきれぬ終いの一瞬も一刹那、もしくは、一弾指の間のことで、照壬自身の度肝をブチ貫きブッ魂消させた。
途端に、ブチギレ全開モードも収束‐終息してしまい、照壬は腰がぬけたかのようにその場でへたり込む──。
そうこうする内に、自分がのしおおせた悪党のほか、二人も荷車の前後でしっかりと昏絶していることを確認したヴォロプが「ガチでやるじゃないのテルミ。てか、結構見なおしちゃったかも~」と、お得意のアキンボー・ポーズで荷車の上から言ってよこす。
「……てか、そんなオチョクリはあとだ、早いトコ悪人たちを檻へブチ込んじまわないと。悪足掻きされたら面倒だし」
「なら、それはアタシに任せて、前にいるコたちをどうにか正気づかせてちょうだい。正体を口走られちゃってるアタシでは、何をやっても脅かすだけにしかならないからぁ」
「……了解。とりあえず、荷車につながれている鎖を斬れば落ち着けるんじゃないかな?」
「じゃぁ、お願いねっ」
ほいやりと莞爾 むや否やヴォロプが動きだしたため、照壬も気を取りなおして立ち上がり、ノキオ面を横にズラしながら、荷車の前へえりえりと向かった──。
「……あの、助けてくれてホントに感謝するわ。私はオブラィ・ジング。キミは、テルミと呼ばれていたわよね、この土地のコなの?」
やって来る照壬に気づいてそう言葉をかけたのは、一番手前につながれた人素族の女子。
あらためてその顔を見て、照壬は矢庭に動転することになる。
その女子、乱れた茶髪とすり汚れた異風の服装から、それまで気づきもしなかったものの、あのお節介クラス委員‐指神綺と瓜二つであった。
「え、えーと、違いま~す。ワタシはニーアポリに帰る途中で~……てか、山を越えている最中に、こんな顔をしたオピのノキオに頼まれただけです~、ガチにマジで」
なぜか、日本語が達者でも堪能とまではいかない外国人のステレオタイプ口調になった照壬は、横ッチョ被りのノキオ面を頻りに指し示すオーヴァーアクションもとってしまい、自分でどんどん混乱しつつも確実に凹んでいく。
「そうだったの? オピに……祈りはトリウネやクレエイタスではないにしろ、でも、しっかりと届いてくれたのね。本当によかった……」
「……てか、あんたたちが監禁されていた場所って、植物が生えていなかったんじゃないのかな? だからオピも、なかなか気づけなかったんだと思うんだけど」
混乱よりも凹みが勝って、落ち込み気味なのがニュートラルな自分をとり戻す照壬だった。
「……えぇ。確かに、そんなカンジだったと思う」
「やっぱな。とにかく鎖を斬るからチョット待ってくれ、てか……その、ほかの人たちは大丈夫かな? オレ、女子の相手は得意じゃないんで、何をどう言えばわかってもらえるのか、見当もつかないんだよな」
「はい? ……けど、ならその大きな剣は振らない方がいいかも。特に変身しちゃってる人虎族のコや、高ぶりすぎてる人犬族の一人を、変に動揺させてしまいそう……」
そこへタイミングよく、荷車の後部から木箱檻を下しにかかりだしていたヴォロプが「テルミ、これを使ってよ。後ろの奴が持ってたの」と、鍵束を投げてよこした。
「お~サンキュ。さすがはヴォロプだな」
「フォーねっ、三級じゃなく、もうスグ一級の二級だもの当然でしょ。そのコを解放したら、あとは、そのコにやってもらえば?」
ヴォロプに何を言い出されたのかがわからずに眉根が寄ってしまう照壬だが、サンキューがこの世界の言葉ではないことにピンときて、照壬は「さすがヴォロプ……」と呟いたあとは、唇を硬く結んで、オブラィ・ジングの首に嵌められた鉄環をはずす鍵探しに集中する。
通した紐で束ねられた鍵は一〇個で、結局ほとんどを試した八個目が合ってくれた。
「感謝するわ……漸く助かったカンジ……」
「……手間どって悪かった、あとはお願いしてもいいかな?」
「ええ……でもキミ、ホントにニーアポリの人?」
鍵には、開く鉄環を示す文字が入っていることに途中から気づいたオブラィ・ジングは、それを判読できず終いだった照壬に、明らかに不審を懐いた表情も向けていた。
「……てかオレ、実は物凄いドフォーでな。まともに言葉が話せないし文字も読めないんだ。だから、気にしないでくれ」
「……そうなの? それはサーリグ……」
「いいって。オレなんかを雇ってくれる善人はボムバーナくらいだから、全ての感謝も、あのヴォロプとオピのノキオにしてくれればいいって。あとの女子たちのことは任せるんで、よろしくな」
そう言い捨てて、照壬は、最後に倒した悪党をブチ込む木箱檻を下す作業に着手する。
それは、当の照壬でさえも実感しきれぬ終いの一瞬も一刹那、もしくは、一弾指の間のことで、照壬自身の度肝をブチ貫きブッ魂消させた。
途端に、ブチギレ全開モードも収束‐終息してしまい、照壬は腰がぬけたかのようにその場でへたり込む──。
そうこうする内に、自分がのしおおせた悪党のほか、二人も荷車の前後でしっかりと昏絶していることを確認したヴォロプが「ガチでやるじゃないのテルミ。てか、結構見なおしちゃったかも~」と、お得意のアキンボー・ポーズで荷車の上から言ってよこす。
「……てか、そんなオチョクリはあとだ、早いトコ悪人たちを檻へブチ込んじまわないと。悪足掻きされたら面倒だし」
「なら、それはアタシに任せて、前にいるコたちをどうにか正気づかせてちょうだい。正体を口走られちゃってるアタシでは、何をやっても脅かすだけにしかならないからぁ」
「……了解。とりあえず、荷車につながれている鎖を斬れば落ち着けるんじゃないかな?」
「じゃぁ、お願いねっ」
ほいやりと
「……あの、助けてくれてホントに感謝するわ。私はオブラィ・ジング。キミは、テルミと呼ばれていたわよね、この土地のコなの?」
やって来る照壬に気づいてそう言葉をかけたのは、一番手前につながれた人素族の女子。
あらためてその顔を見て、照壬は矢庭に動転することになる。
その女子、乱れた茶髪とすり汚れた異風の服装から、それまで気づきもしなかったものの、あのお節介クラス委員‐指神綺と瓜二つであった。
「え、えーと、違いま~す。ワタシはニーアポリに帰る途中で~……てか、山を越えている最中に、こんな顔をしたオピのノキオに頼まれただけです~、ガチにマジで」
なぜか、日本語が達者でも堪能とまではいかない外国人のステレオタイプ口調になった照壬は、横ッチョ被りのノキオ面を頻りに指し示すオーヴァーアクションもとってしまい、自分でどんどん混乱しつつも確実に凹んでいく。
「そうだったの? オピに……祈りはトリウネやクレエイタスではないにしろ、でも、しっかりと届いてくれたのね。本当によかった……」
「……てか、あんたたちが監禁されていた場所って、植物が生えていなかったんじゃないのかな? だからオピも、なかなか気づけなかったんだと思うんだけど」
混乱よりも凹みが勝って、落ち込み気味なのがニュートラルな自分をとり戻す照壬だった。
「……えぇ。確かに、そんなカンジだったと思う」
「やっぱな。とにかく鎖を斬るからチョット待ってくれ、てか……その、ほかの人たちは大丈夫かな? オレ、女子の相手は得意じゃないんで、何をどう言えばわかってもらえるのか、見当もつかないんだよな」
「はい? ……けど、ならその大きな剣は振らない方がいいかも。特に変身しちゃってる人虎族のコや、高ぶりすぎてる人犬族の一人を、変に動揺させてしまいそう……」
そこへタイミングよく、荷車の後部から木箱檻を下しにかかりだしていたヴォロプが「テルミ、これを使ってよ。後ろの奴が持ってたの」と、鍵束を投げてよこした。
「お~サンキュ。さすがはヴォロプだな」
「フォーねっ、三級じゃなく、もうスグ一級の二級だもの当然でしょ。そのコを解放したら、あとは、そのコにやってもらえば?」
ヴォロプに何を言い出されたのかがわからずに眉根が寄ってしまう照壬だが、サンキューがこの世界の言葉ではないことにピンときて、照壬は「さすがヴォロプ……」と呟いたあとは、唇を硬く結んで、オブラィ・ジングの首に嵌められた鉄環をはずす鍵探しに集中する。
通した紐で束ねられた鍵は一〇個で、結局ほとんどを試した八個目が合ってくれた。
「感謝するわ……漸く助かったカンジ……」
「……手間どって悪かった、あとはお願いしてもいいかな?」
「ええ……でもキミ、ホントにニーアポリの人?」
鍵には、開く鉄環を示す文字が入っていることに途中から気づいたオブラィ・ジングは、それを判読できず終いだった照壬に、明らかに不審を懐いた表情も向けていた。
「……てかオレ、実は物凄いドフォーでな。まともに言葉が話せないし文字も読めないんだ。だから、気にしないでくれ」
「……そうなの? それはサーリグ……」
「いいって。オレなんかを雇ってくれる善人はボムバーナくらいだから、全ての感謝も、あのヴォロプとオピのノキオにしてくれればいいって。あとの女子たちのことは任せるんで、よろしくな」
そう言い捨てて、照壬は、最後に倒した悪党をブチ込む木箱檻を下す作業に着手する。