035 稀有ケケレツな二人のビミョ~なズレは
文字数 1,773文字
「いいって、新品でも売り尽くしセールで買った物だしな。レインコートも、登って来る人影が見えたり、麓に近づいたら、出してまた羽織ってくれよな。あれは、内側からの通気性がバツグンな最新素材のいいヤツなんだから」
「まぁね~、マイラン貴族の正礼装よりツヤツヤで軽そうだったけど、アタシの好きな色じゃないんだもの。ファーナ色とかミラル色がよかったのにぃ」
「知らんけど、まぁそもそも買った祖父サマが着なくてもらったヤツだからな、だけど一応形見なんで大切にしてくれ。表側は水を溜めて運んだり、盥代わりにして水浴びもできちまう優れモノの防水性能らしいしな」
「……フォ~なのテルミは? そんな大切な物を、出会ってスグのワタシなんかにあげちゃうなんて」
「フォー? 何だそれ、四って意味じゃないよな?」
「モォ、ほとんどフツウに通じてるのにチョットしたトコが面倒ねイチイチ。フォーリスよ、えっとね、頭の中に空気しか入ってないんじゃないの? ってこと」
「バカって意味か、なら大当たりだな」
「え~っ、大当たりなのぉ……」
「てか、オレの持物全部がもはや祖父サマの形見なんで問題ない。ヴォロプが早く帰りたいって気持もよくわかるから、なるたけ目立たず厄介事にならないようにする配慮だ。ボムバーナとバレたら面倒なんだろ? オレもディスロケーターだとバレたくないからな、お互い様の助け合いだ」
「……わかったわよ。けどよかったの? たくさんの物を置いて来ちゃって」
「まぁしょうがないし、あれは、この森のデヴィルキンたちへの贈り物だな。ノキオの枯れ絶えた分身を、丁重に片づけてくれるらしいから。それに、この世界にもある天然素材でガンバれば、同じようにつくれる物しか置いて来ていないしな」
「フーン。本当のフォーじゃなさそうでよかったぁ」
ヴォロプは、路標の脇で地面から程好い高さで露出する大岩の上に下ろしていたバックパックのファスナーを開き、一度仕舞ったジャージの下を引っ張り出しながらのオチャラカし。
「……なんだ、穿きなおすのかよ素直に? ホント意外すぎで、ビックリだよな」
「お互い様の助け合いでしょ。ホントにテルミの目に毒が回っちゃったら、治せるかどうかわからないし」
「……そ」
どうにもビミョ~に調子が狂って、フォーな返しをするくらいなら、しない方がまだマシとの思いから、照壬の口も重くなる。
「このバックパックって言うのも、大きいのに凄く軽いし背負い易くて楽だけど、自分で使わなくていいの? アタシがそっちみたく薄ケットーで荷物を包んで抱え持ってもいいのよ。それなら慣れてるし、テルミの荷物の方が多くて、大剣背負って腰に木剣まで差してるんだから、どんどん辛労くなるはずぅ」
「……てか、オレが、オレのいた世界そのままの格好じゃ、ディスロケーターだと見せつけているようなモノだろ。いざって時には、何とか言いぬけを叩ききれるヴォロプが使った方が無難だっての」
「アラァ、ちゃんと考えてるんじゃなぁい?」
「町に近づいたらバンジーコードに草でも突っ込むし、オレのジーパンも土塗れにするからバレずに済むって。汚い身なりの小僧には目も向けないだろ、こっちでも?」
「エ~ッ、目も向けられないけど、信用もしてもらえないわよ……ねぇテルミ、あなたモネタはもってるの? この国のクラツじゃなくても、同じ価値で使えるロマヌやベティアやホーランとかの金貨や銀貨を?」
「モネタってカネのことか? どれもない。もっているのはウコクバニって国の硬貨っぽいヤツだけ、それも通貨としてちゃんと使えそうなのは五発のみ。ノキオが言うには、一番小さな丸いパンが一個は買えるだろうってさ」
「ハァ~、やっぱりぃ。アタシもあんまりもち合わせてないのよね、パル・ルプス教会がある町までもつかしらぁ?」
「その教会でカネ、てか、モネタが借りられるってことなのか?」
「借りると言うより預けてあるわけ、ワタシの家族がだけど~」
「ふ~ん。銀行みたいなこともやってるわけか、教会ってのもエゲツなさそうだよなぁ……」
「言っておくけど、下った天罰での負傷も治せないんだから」
「ガチ? でもまぁどうにかなると思う。なんとそのオレの五発、使うと勝手に補充されるみたいなんだよな、ディスロケーターならではの通力とやらで。さっき見たら、元の数に戻っていたから」
「まぁね~、マイラン貴族の正礼装よりツヤツヤで軽そうだったけど、アタシの好きな色じゃないんだもの。ファーナ色とかミラル色がよかったのにぃ」
「知らんけど、まぁそもそも買った祖父サマが着なくてもらったヤツだからな、だけど一応形見なんで大切にしてくれ。表側は水を溜めて運んだり、盥代わりにして水浴びもできちまう優れモノの防水性能らしいしな」
「……フォ~なのテルミは? そんな大切な物を、出会ってスグのワタシなんかにあげちゃうなんて」
「フォー? 何だそれ、四って意味じゃないよな?」
「モォ、ほとんどフツウに通じてるのにチョットしたトコが面倒ねイチイチ。フォーリスよ、えっとね、頭の中に空気しか入ってないんじゃないの? ってこと」
「バカって意味か、なら大当たりだな」
「え~っ、大当たりなのぉ……」
「てか、オレの持物全部がもはや祖父サマの形見なんで問題ない。ヴォロプが早く帰りたいって気持もよくわかるから、なるたけ目立たず厄介事にならないようにする配慮だ。ボムバーナとバレたら面倒なんだろ? オレもディスロケーターだとバレたくないからな、お互い様の助け合いだ」
「……わかったわよ。けどよかったの? たくさんの物を置いて来ちゃって」
「まぁしょうがないし、あれは、この森のデヴィルキンたちへの贈り物だな。ノキオの枯れ絶えた分身を、丁重に片づけてくれるらしいから。それに、この世界にもある天然素材でガンバれば、同じようにつくれる物しか置いて来ていないしな」
「フーン。本当のフォーじゃなさそうでよかったぁ」
ヴォロプは、路標の脇で地面から程好い高さで露出する大岩の上に下ろしていたバックパックのファスナーを開き、一度仕舞ったジャージの下を引っ張り出しながらのオチャラカし。
「……なんだ、穿きなおすのかよ素直に? ホント意外すぎで、ビックリだよな」
「お互い様の助け合いでしょ。ホントにテルミの目に毒が回っちゃったら、治せるかどうかわからないし」
「……そ」
どうにもビミョ~に調子が狂って、フォーな返しをするくらいなら、しない方がまだマシとの思いから、照壬の口も重くなる。
「このバックパックって言うのも、大きいのに凄く軽いし背負い易くて楽だけど、自分で使わなくていいの? アタシがそっちみたく薄ケットーで荷物を包んで抱え持ってもいいのよ。それなら慣れてるし、テルミの荷物の方が多くて、大剣背負って腰に木剣まで差してるんだから、どんどん辛労くなるはずぅ」
「……てか、オレが、オレのいた世界そのままの格好じゃ、ディスロケーターだと見せつけているようなモノだろ。いざって時には、何とか言いぬけを叩ききれるヴォロプが使った方が無難だっての」
「アラァ、ちゃんと考えてるんじゃなぁい?」
「町に近づいたらバンジーコードに草でも突っ込むし、オレのジーパンも土塗れにするからバレずに済むって。汚い身なりの小僧には目も向けないだろ、こっちでも?」
「エ~ッ、目も向けられないけど、信用もしてもらえないわよ……ねぇテルミ、あなたモネタはもってるの? この国のクラツじゃなくても、同じ価値で使えるロマヌやベティアやホーランとかの金貨や銀貨を?」
「モネタってカネのことか? どれもない。もっているのはウコクバニって国の硬貨っぽいヤツだけ、それも通貨としてちゃんと使えそうなのは五発のみ。ノキオが言うには、一番小さな丸いパンが一個は買えるだろうってさ」
「ハァ~、やっぱりぃ。アタシもあんまりもち合わせてないのよね、パル・ルプス教会がある町までもつかしらぁ?」
「その教会でカネ、てか、モネタが借りられるってことなのか?」
「借りると言うより預けてあるわけ、ワタシの家族がだけど~」
「ふ~ん。銀行みたいなこともやってるわけか、教会ってのもエゲツなさそうだよなぁ……」
「言っておくけど、下った天罰での負傷も治せないんだから」
「ガチ? でもまぁどうにかなると思う。なんとそのオレの五発、使うと勝手に補充されるみたいなんだよな、ディスロケーターならではの通力とやらで。さっき見たら、元の数に戻っていたから」