003 リアルという名のゲームでもレア度が
文字数 1,876文字
「……そこまでは全然身近じゃないし、まだまだ先のことだと思っていたけど、こうして身近になっちまうと、もうそこまできていたんだと思うしかないな」
「そう? ならよかったぁ」
「顔や姿から検索して個人を特定するのは勿論のこと、ネットにつながるカメラもスマホのがそこら中で溢れているわけだし、もはや遠隔操作アプリを悪用されたとか騒いでいる場合じゃないんだな……」
照壬のリアクションに、アレル・Э・キーノはニッコリと満足げに頷く。
「まぁそんなカンジでさ。いや~、あの指神綺って女子、実はボクの好みド真ん中ストライクなんだよねぇ。検索をかけてヒットした三二八五人の一人ではあるんだけど」
ニッコリを照れ笑いに変えるアレル・Э・キーノに対して、照壬の眉根は訝しげに寄ってしまう。
歩調にも惑いが入ったが、それで躓きかけたことで元に戻せた照壬だった。
「……意味わからんけど、ストーカーになって遊ぶカンジの、如何わしい新手の情報提供サーヴィスか何かまで利用していたってことかな?」
「アハ……まぁそう、如何わしくはないんだけどさ。とにかく、ヒットした一人一人の様子を順繰りと飽きるまで観賞してくってのが、最近のボクの愉しみでさ、今が偶偶あの指神綺だったわけ。そしたら慧斗が絡んで来たと言うか、絡められて来た。あのコの容姿より断然キミの気質に惹かれちゃって、どうしても話してみたくなったんだよねぇ」
「物好きなこった。てか、それもナメている内に入らないか?」
「入らないでしょガチで敬仰からだもん。だってボクにはあんなことしちゃえる勇気ないよ、あんなキラキラ女子相手に、訓戒じみたことを言い殴ることすらできないしさ」
「……別に、勇気なんかじゃないあんなの。怒りが限界を超えてブチギレただけ、思わず、それまで思っていたまんま体と口が動いちまった。単に辛抱が足りなくて自制心も人並み以下のアホなんだオレは」
「でもさ、ボクには慧斗が物凄く冷静に見えたんだけど、冷徹で冷酷なまでに。フツウ、怒りに任せようが逆に力みで手足が震えちゃってさ、あんな的確に急所を狙いどおりに殴る蹴るなんてできないでしょう? ブチギレたことはボクもあるけどさ、繰り出したパンチがブレブレに逸れちゃって、返り討ちの逆ボッコだったもん」
アレル・Э・キーノが繰り出して見せたパンチは、言葉どおりヘロつき破壊力もゼロに等しく、失笑しそうになるのを照壬はどうにか含み笑いまでに押しコロす。
「それは、相手を尊重しているからだな、人格みたいモノをまだ。オレの中で、それがなくなった奴だから存分に対応できるんじゃないか? 蚊やゴキブリ相手と一緒だ」
「ン~、きっとそこに凄さと敬畏を覚えちゃうのさ。ブチギレても、ボクに超えられないことが慧斗にはやれちゃう。物凄く興味をそそられる気持、わかってもらえないかなぁ?」
何となくではありながら照壬はスポンと合点がいき、小刻みに一頻り頷いた。
「なるほどな。憧れるとか、とりとめのない気持ではなく、オレから何か、自分のウジウジした殻を破るヒントが得られるかもと言うわけか?」
「あぁなるほどね、そうなのかも。まあ、ボクに慧斗の真似ができるなんてことは、全然思ってやしないけど。でも、どうしてクラスメイトを害虫同然に思えちゃうのかなぁ? この時期だとまだ、知り合ったばっかでしょうに。あの二人とはオナチューじゃないんだし」
「……なんか薄らキモいな。そうした個人情報はわかっているクセに、オレの感情的なことは想像もできないのか?」
「そこを索っても、集まった情報から理解をちゃんとするには時間がそこそこかかるから。想像もできるけどさ、ボクは正しく知りたいんだよね。慧斗だって、変に納得されるのはイヤでしょう? 直接聞いちゃった方が誤認識は少ないもん」
「その発想は嫌いじゃない、どうやらあんたの根ッコはオレと同類っぽいな」
「なら名前で呼んでよ~、アレルでもЭでもキーノでもいいからさ。
照壬にはアレル・Э・キーノも小ウザい銀バエも同然なのだが、ミニカーを返すことになるのは惜しいため、とりあえず人と見做しての対応を選ぶ。
「……じゃぁアレル、うち明けるけど至極単純なことだ。あのブッ倒した寺井って奴は、常識的にガマンできるギリのラインをフラつく自己中ゆえの傍若無人さが、オレだけじゃなく周囲からもウザムカつかれていたんだ。さっきラインを完全に越えたから、ガマンをやめたに過ぎない、奴の方からたたき潰されにオレの前へ出て来ただけ」
「そう? ならよかったぁ」
「顔や姿から検索して個人を特定するのは勿論のこと、ネットにつながるカメラもスマホのがそこら中で溢れているわけだし、もはや遠隔操作アプリを悪用されたとか騒いでいる場合じゃないんだな……」
照壬のリアクションに、アレル・Э・キーノはニッコリと満足げに頷く。
「まぁそんなカンジでさ。いや~、あの指神綺って女子、実はボクの好みド真ん中ストライクなんだよねぇ。検索をかけてヒットした三二八五人の一人ではあるんだけど」
ニッコリを照れ笑いに変えるアレル・Э・キーノに対して、照壬の眉根は訝しげに寄ってしまう。
歩調にも惑いが入ったが、それで躓きかけたことで元に戻せた照壬だった。
「……意味わからんけど、ストーカーになって遊ぶカンジの、如何わしい新手の情報提供サーヴィスか何かまで利用していたってことかな?」
「アハ……まぁそう、如何わしくはないんだけどさ。とにかく、ヒットした一人一人の様子を順繰りと飽きるまで観賞してくってのが、最近のボクの愉しみでさ、今が偶偶あの指神綺だったわけ。そしたら慧斗が絡んで来たと言うか、絡められて来た。あのコの容姿より断然キミの気質に惹かれちゃって、どうしても話してみたくなったんだよねぇ」
「物好きなこった。てか、それもナメている内に入らないか?」
「入らないでしょガチで敬仰からだもん。だってボクにはあんなことしちゃえる勇気ないよ、あんなキラキラ女子相手に、訓戒じみたことを言い殴ることすらできないしさ」
「……別に、勇気なんかじゃないあんなの。怒りが限界を超えてブチギレただけ、思わず、それまで思っていたまんま体と口が動いちまった。単に辛抱が足りなくて自制心も人並み以下のアホなんだオレは」
「でもさ、ボクには慧斗が物凄く冷静に見えたんだけど、冷徹で冷酷なまでに。フツウ、怒りに任せようが逆に力みで手足が震えちゃってさ、あんな的確に急所を狙いどおりに殴る蹴るなんてできないでしょう? ブチギレたことはボクもあるけどさ、繰り出したパンチがブレブレに逸れちゃって、返り討ちの逆ボッコだったもん」
アレル・Э・キーノが繰り出して見せたパンチは、言葉どおりヘロつき破壊力もゼロに等しく、失笑しそうになるのを照壬はどうにか含み笑いまでに押しコロす。
「それは、相手を尊重しているからだな、人格みたいモノをまだ。オレの中で、それがなくなった奴だから存分に対応できるんじゃないか? 蚊やゴキブリ相手と一緒だ」
「ン~、きっとそこに凄さと敬畏を覚えちゃうのさ。ブチギレても、ボクに超えられないことが慧斗にはやれちゃう。物凄く興味をそそられる気持、わかってもらえないかなぁ?」
何となくではありながら照壬はスポンと合点がいき、小刻みに一頻り頷いた。
「なるほどな。憧れるとか、とりとめのない気持ではなく、オレから何か、自分のウジウジした殻を破るヒントが得られるかもと言うわけか?」
「あぁなるほどね、そうなのかも。まあ、ボクに慧斗の真似ができるなんてことは、全然思ってやしないけど。でも、どうしてクラスメイトを害虫同然に思えちゃうのかなぁ? この時期だとまだ、知り合ったばっかでしょうに。あの二人とはオナチューじゃないんだし」
「……なんか薄らキモいな。そうした個人情報はわかっているクセに、オレの感情的なことは想像もできないのか?」
「そこを索っても、集まった情報から理解をちゃんとするには時間がそこそこかかるから。想像もできるけどさ、ボクは正しく知りたいんだよね。慧斗だって、変に納得されるのはイヤでしょう? 直接聞いちゃった方が誤認識は少ないもん」
「その発想は嫌いじゃない、どうやらあんたの根ッコはオレと同類っぽいな」
「なら名前で呼んでよ~、アレルでもЭでもキーノでもいいからさ。
あんた
だと、あの二人と同類で、慧斗にとっては害虫あつかいじゃないの?」照壬にはアレル・Э・キーノも小ウザい銀バエも同然なのだが、ミニカーを返すことになるのは惜しいため、とりあえず人と見做しての対応を選ぶ。
「……じゃぁアレル、うち明けるけど至極単純なことだ。あのブッ倒した寺井って奴は、常識的にガマンできるギリのラインをフラつく自己中ゆえの傍若無人さが、オレだけじゃなく周囲からもウザムカつかれていたんだ。さっきラインを完全に越えたから、ガマンをやめたに過ぎない、奴の方からたたき潰されにオレの前へ出て来ただけ」