054 馬子にも衣装 ⊻ 服は人をつくる
文字数 1,487文字
そのため照壬は、意気込みを強めるとともに、開いた一歩もピョンと跳ねつめた。
「てか。テルミの方はもうすっかり、仕官を目指してるか冒険者を気取ってる、この世界にウジャラケた小ナマイキな剣士っコ風情 よね~」
照壬も、ヴォロプと同じカプトの下は、ウタビィに揃えてもらった多少の荒れ場‐難場に立ち入ったとしても大事ない、軽介甲という初めて身につける旅姿になっている。
なので、気恥ずかしさと照れ隠しで、自らヴォロプの地雷原へと踏み込んでいってしまう。
「しっかしヴォロプは、見た目にも違わず豪快だよなぁ。髪は染めるだけでよかったのに、何もヴォロプまで、バッサリやっちまうことはなかったんじゃないのかな?」
「……いいでしょ別に、心意気よ心意気っ」
「あそこは、染色工場でもあったわけだし、ウタビィさんには髪を痛ませない、プロの知識もあるんだからさ」
「だから何なのっ?」
「……あのワイヴァーン使いに、同情したのか感化されたのか知らんけど、それでワイヴァーン使いが売った髪の毛と交換した上に、ヅラまでつくってもらって被っているんじゃ、本末転倒ってか、紛雑錯綜の理解困窮じゃないかな?」
「ウルサイのっ。テルミの紛雑錯綜しまくった言葉を理解する気はないわ、どうせなら、もっと愉しめる戯れ言を言ってよ。言えないなら、言えるまでムチで打ってあげるけど~」
「……な~んか、Sヤバな女王様になってきてやしないかぁ?」
「知らないけど、アタシ超得意だから。歩いたまま後ろ向きでも、テルミに超ビシバシなんだからっ」
ヴォロプは、カプトの左裾を払い開けて、腰の革鞭を、照壬へしっかり見せつけてから裾を戻し整える。
チラと晒したカプトの中は、やっぱり動き易さから、『トゥームレイダー』のララ・クロフトを思い出させるアドヴェンチャーウェア姿。
なので照壬には、チョットした今日一発目の精神的ダメージにもなっていた。
「……だから、Mヤバ野郎じゃないってのにオレはぁ……」
「まったく。テルミの方が降心できてないのよね全然。ムチでも武器となると高価なのっ、それをアタシから所望したんだし、アタシたちの赤髪は一番高く売れるんだから、対価にするくらい当然だわ」
「……そうなんだ? 降心降心っと……」
「それに加えて、このラァピァまで、いざという時のためにもたされたのよ。その、いざが起こることを、ウタビィが予見してる何よりの証拠じゃない?」
「……まぁ、長い道中になるんだから、予見も何もない気はするけどな……」
「モォ~、ディスロケーターのクセにぃ。用心深いどころか邪推深くないと、あっさり一打ちにされちゃうんだからっ」
「ま。意気込んだところで、オレの頼りなさは揺るぎようもない事実と降心しているんで、ヴォロプまで今からカリカリしてちゃ、逆にヤバいだろってことだよ、いざって時にな」
「……ま。アタシも確かに意気込みだわ、髪をバッサリやった理由の大半は。だけどカルタードの束までつくってくれてたのよ、そう遠くない頃に絶対ヤバいことに見舞われる、そのための備えなのは間違いないわ。旅立ち早早だろうとカリカリもしちゃうのっ」
「へ~、カルタードも高価だったよな? それを束でか……て言うかウタビィさん、ヅラだけじゃなく、そんな物までつくれたのかぁ、さすがノキオのイチ推しだよな」
「まさか、そこまで降心できてなかったとはねっ……ウタビィには、絶対に魔族の血が流れてるわ、つまりは半魔人なのよ」
「……魔族との混血ってこと? 人でも人猫族なんで、こんがらがるよなぁ」
照壬には、ウタビィが歴とした人であることを、やはり降心しきれていなかった。
「てか。テルミの方はもうすっかり、仕官を目指してるか冒険者を気取ってる、この世界にウジャラケた小ナマイキな剣士っコ
照壬も、ヴォロプと同じカプトの下は、ウタビィに揃えてもらった多少の荒れ場‐難場に立ち入ったとしても大事ない、軽介甲という初めて身につける旅姿になっている。
なので、気恥ずかしさと照れ隠しで、自らヴォロプの地雷原へと踏み込んでいってしまう。
「しっかしヴォロプは、見た目にも違わず豪快だよなぁ。髪は染めるだけでよかったのに、何もヴォロプまで、バッサリやっちまうことはなかったんじゃないのかな?」
「……いいでしょ別に、心意気よ心意気っ」
「あそこは、染色工場でもあったわけだし、ウタビィさんには髪を痛ませない、プロの知識もあるんだからさ」
「だから何なのっ?」
「……あのワイヴァーン使いに、同情したのか感化されたのか知らんけど、それでワイヴァーン使いが売った髪の毛と交換した上に、ヅラまでつくってもらって被っているんじゃ、本末転倒ってか、紛雑錯綜の理解困窮じゃないかな?」
「ウルサイのっ。テルミの紛雑錯綜しまくった言葉を理解する気はないわ、どうせなら、もっと愉しめる戯れ言を言ってよ。言えないなら、言えるまでムチで打ってあげるけど~」
「……な~んか、Sヤバな女王様になってきてやしないかぁ?」
「知らないけど、アタシ超得意だから。歩いたまま後ろ向きでも、テルミに超ビシバシなんだからっ」
ヴォロプは、カプトの左裾を払い開けて、腰の革鞭を、照壬へしっかり見せつけてから裾を戻し整える。
チラと晒したカプトの中は、やっぱり動き易さから、『トゥームレイダー』のララ・クロフトを思い出させるアドヴェンチャーウェア姿。
なので照壬には、チョットした今日一発目の精神的ダメージにもなっていた。
「……だから、Mヤバ野郎じゃないってのにオレはぁ……」
「まったく。テルミの方が降心できてないのよね全然。ムチでも武器となると高価なのっ、それをアタシから所望したんだし、アタシたちの赤髪は一番高く売れるんだから、対価にするくらい当然だわ」
「……そうなんだ? 降心降心っと……」
「それに加えて、このラァピァまで、いざという時のためにもたされたのよ。その、いざが起こることを、ウタビィが予見してる何よりの証拠じゃない?」
「……まぁ、長い道中になるんだから、予見も何もない気はするけどな……」
「モォ~、ディスロケーターのクセにぃ。用心深いどころか邪推深くないと、あっさり一打ちにされちゃうんだからっ」
「ま。意気込んだところで、オレの頼りなさは揺るぎようもない事実と降心しているんで、ヴォロプまで今からカリカリしてちゃ、逆にヤバいだろってことだよ、いざって時にな」
「……ま。アタシも確かに意気込みだわ、髪をバッサリやった理由の大半は。だけどカルタードの束までつくってくれてたのよ、そう遠くない頃に絶対ヤバいことに見舞われる、そのための備えなのは間違いないわ。旅立ち早早だろうとカリカリもしちゃうのっ」
「へ~、カルタードも高価だったよな? それを束でか……て言うかウタビィさん、ヅラだけじゃなく、そんな物までつくれたのかぁ、さすがノキオのイチ推しだよな」
「まさか、そこまで降心できてなかったとはねっ……ウタビィには、絶対に魔族の血が流れてるわ、つまりは半魔人なのよ」
「……魔族との混血ってこと? 人でも人猫族なんで、こんがらがるよなぁ」
照壬には、ウタビィが歴とした人であることを、やはり降心しきれていなかった。