024 都合が好すぎるだけに不都合もかなり
文字数 1,678文字
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ノキオが、森の草木ネットワークで見つけ出した木剣をつくるのに適した倒木を、ノキオにまた描き方から教え込んだ地図を頼りに照壬が拾得しに向かう。
見つけたそれは、辛 うじて片手で持てる太さでも、思いのほか長さがあって結構重く、ズルズル引き摺って運ぶしかない。
チョットしたホネおり仕事にはなりながらも、照壬が戻ると、木製とはいえ実際に剣状の武器を握り‐振ってみることができる期待からか、ノキオの人体形隆起は一層の高張りを見せていた。
足も膝下までがしっかりと幹から浮き上がり、充分体を支えられる脹脛や踵の大きさになっていると見て取った照壬は「おぉ~! もう斬ってもいいカンジじゃないかよノキオッ」と、ノキオよりも先にワクつきを露にする。
「……そうですかやはり、そうではないかとワタクシもカンジていたのです」
「でも斬るのは、木刀てか木剣を、仕上げ前までつくっちまってからな。まずは、この拾って来た倒木を細く断ち斬って、オレが慣れておいた方がいいだろうしな」
「はい、いよいよですね。ではワタクシももう一ガンバりしましょう。けれどもなぜ、つくるのを仕上げの前まででやめてしまうのですか?」
「その段階で一度ノキオに振ってみてもらわないとな。握り具合とか気になる箇所の微調整はカッターやヤスリでやるから。荷物には文房具だけじゃなく工具類も幾つか入れてあるんだ」
「カッターとは何ですか? ヤスリは知っていますけれども」
「チョット便利な刃物のことだ、あとで出して見せるけどさ……てかこの倒木、本当にブッ手斬って木剣にしちまっていいのかな?」
「はい、ヨロシクお願いします」
「……てか、これはノキオの仲間の体だったってことだろ? 人間なら遺体から骨を抜きとって武器にするようなものだから、それで、辛労くても見つけた所で短く斬らずに引き摺って来たんだけどな」
「本当にテルミは親切ですね。これは本当にナメているわけではありませんけれども、人族と違い草木にはそうした思いはありませんので御心配なく。朽ち果てて土に還ろうと、細工を施されて武器や道具になろうと、役立つことに変わりはありません。枯れて尚、さらに長い間役に立つ存在であり続けられるなど、植物冥利に尽きると言うモノです」
腕を組んでしみじみと首肯するノキオに、照壬も胸の痞 えがすんがりと下りた。
「そ? ならいいんだけど。それじゃぁ一丁、つくりにかかるか。だけど木刀じゃなく木剣となると、ソードガードを付けるってことだよな……」
「難しい、と言うよりも面倒になるのですか?」
「ン~。まぁとにかく斬ってみて、このлсДがどこまでオレの意思に忠実に従ってくれるのかを把握しないとな。最悪、木片を蔓で縛りつければ、それなりに用は足せるしな」
「……と言いますかテルミ、これまで聞かずにいましたけれども、ワタクシにはその剣に刃がないように見えてしまうのです、本当に斬ることなどできるのでしょうか?」
「ノキオの眼は、瞳も白眼も木目調だけど節穴じゃなく確かだな。この剣自体には刃はないんだ、斬るのは、オレの意思力みたいだからな」
「よくわかりませんけれども?」
「ン~……つまり、この剣はオレの思いどおりに斬ってくれるけど、オレが斬れると思わなければ、豆腐すらたたき潰すだけってことだな。だから、オレが斬れると自信さえもてれば、一振りでソードガードまである木剣に斬れちまう……」
「所謂 魔法剣ではなく、使う者の望みどおりに剣が魔法を使って斬る、というカンジですね」
「あぁそうかも。オレの意思を斬るという行為へ変換する、てか、オレの意思を剣や銃として実現してくれる武器なんだ、おそらく」
ノキオはコクリコクリと頷くも、それが次第に傾いていく。
「……ジュウとは何です? やはり武器の名称でしょうか?」
「ガチでそんなレヴェルかぁ……てか、弓はあるよなこの世界。ならボゥガンは? 弓を横にして付けた簡単な仕掛けで矢を撃つ武器っ」
照壬はわかってもらいたい一心で忙忙と両手を動かし、ジェスチャーでボゥガンの概形、かまえ方から発射までをノキオに伝える。
ノキオが、森の草木ネットワークで見つけ出した木剣をつくるのに適した倒木を、ノキオにまた描き方から教え込んだ地図を頼りに照壬が拾得しに向かう。
見つけたそれは、
チョットしたホネおり仕事にはなりながらも、照壬が戻ると、木製とはいえ実際に剣状の武器を握り‐振ってみることができる期待からか、ノキオの人体形隆起は一層の高張りを見せていた。
足も膝下までがしっかりと幹から浮き上がり、充分体を支えられる脹脛や踵の大きさになっていると見て取った照壬は「おぉ~! もう斬ってもいいカンジじゃないかよノキオッ」と、ノキオよりも先にワクつきを露にする。
「……そうですかやはり、そうではないかとワタクシもカンジていたのです」
「でも斬るのは、木刀てか木剣を、仕上げ前までつくっちまってからな。まずは、この拾って来た倒木を細く断ち斬って、オレが慣れておいた方がいいだろうしな」
「はい、いよいよですね。ではワタクシももう一ガンバりしましょう。けれどもなぜ、つくるのを仕上げの前まででやめてしまうのですか?」
「その段階で一度ノキオに振ってみてもらわないとな。握り具合とか気になる箇所の微調整はカッターやヤスリでやるから。荷物には文房具だけじゃなく工具類も幾つか入れてあるんだ」
「カッターとは何ですか? ヤスリは知っていますけれども」
「チョット便利な刃物のことだ、あとで出して見せるけどさ……てかこの倒木、本当にブッ手斬って木剣にしちまっていいのかな?」
「はい、ヨロシクお願いします」
「……てか、これはノキオの仲間の体だったってことだろ? 人間なら遺体から骨を抜きとって武器にするようなものだから、それで、辛労くても見つけた所で短く斬らずに引き摺って来たんだけどな」
「本当にテルミは親切ですね。これは本当にナメているわけではありませんけれども、人族と違い草木にはそうした思いはありませんので御心配なく。朽ち果てて土に還ろうと、細工を施されて武器や道具になろうと、役立つことに変わりはありません。枯れて尚、さらに長い間役に立つ存在であり続けられるなど、植物冥利に尽きると言うモノです」
腕を組んでしみじみと首肯するノキオに、照壬も胸の
「そ? ならいいんだけど。それじゃぁ一丁、つくりにかかるか。だけど木刀じゃなく木剣となると、ソードガードを付けるってことだよな……」
「難しい、と言うよりも面倒になるのですか?」
「ン~。まぁとにかく斬ってみて、このлсДがどこまでオレの意思に忠実に従ってくれるのかを把握しないとな。最悪、木片を蔓で縛りつければ、それなりに用は足せるしな」
「……と言いますかテルミ、これまで聞かずにいましたけれども、ワタクシにはその剣に刃がないように見えてしまうのです、本当に斬ることなどできるのでしょうか?」
「ノキオの眼は、瞳も白眼も木目調だけど節穴じゃなく確かだな。この剣自体には刃はないんだ、斬るのは、オレの意思力みたいだからな」
「よくわかりませんけれども?」
「ン~……つまり、この剣はオレの思いどおりに斬ってくれるけど、オレが斬れると思わなければ、豆腐すらたたき潰すだけってことだな。だから、オレが斬れると自信さえもてれば、一振りでソードガードまである木剣に斬れちまう……」
「
「あぁそうかも。オレの意思を斬るという行為へ変換する、てか、オレの意思を剣や銃として実現してくれる武器なんだ、おそらく」
ノキオはコクリコクリと頷くも、それが次第に傾いていく。
「……ジュウとは何です? やはり武器の名称でしょうか?」
「ガチでそんなレヴェルかぁ……てか、弓はあるよなこの世界。ならボゥガンは? 弓を横にして付けた簡単な仕掛けで矢を撃つ武器っ」
照壬はわかってもらいたい一心で忙忙と両手を動かし、ジェスチャーでボゥガンの概形、かまえ方から発射までをノキオに伝える。