006 深刻なハンター不足に才蔵が雲隠れ
文字数 1,524文字
「よくわかんないけどさ、難儀そうだよねぇ、これから当分の間は?」
「ひきこもっても、女天狗とバフォメットがウザヤバそうだ。家が五〇メートルと離れてないから、深夜だろうが早朝だろうが気が向いた時に押しかけて来て、アパートの迷惑なんかかまわずに、ドアや雨戸をバンバン殴りながら罵りたい放題だなおそらく」
「それは確かにモンスターだよねぇ」
「やれやれだよなぁ。変にエコらず、せめて二階部屋にしとけばよかった、オレが支払うんじゃないんだし……」
「籠城ヒッキーなんて慧斗っぽくないよ~。いっそのこと、全部が勝手に片づくまで逃げちゃえばいいんじゃない? 手伝うのはお安い御用だよボク、これも袖擦れ合う以上に奇絶な何かの縁だしさ」
「いや、そこまでの縁でもないだろ──」
が、アレルの申し出から照壬は一筋の光明となりそうな一案に思い至る。
「ンン? どしたの、何かひらめいちゃったみたいだけど」
「イヤ。だけど、完全に収拾がついちまうくらいの期間、怒る気も失せて逆に心配になるまで逃げおおせるってのはアリかもな……」
「でしょでしょ?」
「……祖父サマの猟友会仲間に、ガチ山の奥深くでイノシシやクマも撃ってる筋金入りハンターがいるから、そこへ弟子入りでもしちまおうかな?」
「エ~ッ。いくら山生活が性に合ってるんだとしても、何で話がいきなりガチのハンターに弟子入りなんて奥深くまでイッちゃうのさ? 慧斗は見識が狭い世間知らずで遊楽しないんじゃなく、根がストイックなの?」
「別に……てか、変に勘繰るのはやめてくれ。オレだってフツウに遊ぶし楽もしたいし、あわよくば楽しちまうし」
「ン~、先月契約したてのスマホの利用状況を見る限りだと、ボクにしたら、慧斗のは遊楽に入らないんだよねぇ。知らないことを調べるばっかなカンジで、そこからゲームやエロや完マスへと、のめり込んで溺れる様子がまるで見知できない~」
「このドスケベ坊ちゃまがっ、案の定そういう情報の盗み見で人のプライヴァシーを侵害していやがったわけだな」
「いや~、でもそう指摘されてもピンとこないくらいフツウに見れちゃう情報なんで許してよぉ。ボクがドスケベなのは認めるし、聞いてくれたら何だって包み隠さずうち明けちゃうからさっ。さぁどうぞどうぞ、ボクのどんなドスケベ話が聞きたいぃ?」
剽 げて目を輝かせるアレルに、照壬は呆れるのもバカらしくなる。
「……ったく。だからエロとかには手を出せないんだ、それこそ魔そのものだろ。ダークなサイトに誘 かれて、ランサムやウィルス感染に遭っちまったらスマホを買い替えられないし……同じく経済的理由で、課金しないと愉しめないゲームもムリ。カンマスってのは知らんけど、どうせ如何わしいんだろうから、のめり込んだり溺れるような余地も余裕もありゃしないな」
「如何わしくないよぉ、完全マスターの略だもんたぶん。何かを実際に所有したり、テクを磨くのはムリでも知識的に極めることさ。それなりにコストはかかちゃうけど結局は」
「てか、オレにはカネを注ぎ込む遊楽ってだけで如何わしいけどな。だから、アレルの如何わしさプンプンな世話にはなれないな」
「エ~ッ、そんなぁ」
「……うん。好さげだよな、ハンターに弟子入り。押しかけちまえば場所が場所だけに、そう易易とは追い返されないはずだし、オレは巷でのさばり返る魔物より、山の獣を相手にする方が無難だろうからな」
「それ、ブチギレてブッ斃 しちゃっても、問題や犯罪にならないから?」
「……ま、そう言うことかな……」
「それにさぁ、なんだか変に自信もありげに聞こえちゃう。もしや慧斗の祖父サマも猟友会に所属してるハンターでもあって、慧斗もさ、その手伝いとかで心得があるとかなの?」
「ひきこもっても、女天狗とバフォメットがウザヤバそうだ。家が五〇メートルと離れてないから、深夜だろうが早朝だろうが気が向いた時に押しかけて来て、アパートの迷惑なんかかまわずに、ドアや雨戸をバンバン殴りながら罵りたい放題だなおそらく」
「それは確かにモンスターだよねぇ」
「やれやれだよなぁ。変にエコらず、せめて二階部屋にしとけばよかった、オレが支払うんじゃないんだし……」
「籠城ヒッキーなんて慧斗っぽくないよ~。いっそのこと、全部が勝手に片づくまで逃げちゃえばいいんじゃない? 手伝うのはお安い御用だよボク、これも袖擦れ合う以上に奇絶な何かの縁だしさ」
「いや、そこまでの縁でもないだろ──」
が、アレルの申し出から照壬は一筋の光明となりそうな一案に思い至る。
「ンン? どしたの、何かひらめいちゃったみたいだけど」
「イヤ。だけど、完全に収拾がついちまうくらいの期間、怒る気も失せて逆に心配になるまで逃げおおせるってのはアリかもな……」
「でしょでしょ?」
「……祖父サマの猟友会仲間に、ガチ山の奥深くでイノシシやクマも撃ってる筋金入りハンターがいるから、そこへ弟子入りでもしちまおうかな?」
「エ~ッ。いくら山生活が性に合ってるんだとしても、何で話がいきなりガチのハンターに弟子入りなんて奥深くまでイッちゃうのさ? 慧斗は見識が狭い世間知らずで遊楽しないんじゃなく、根がストイックなの?」
「別に……てか、変に勘繰るのはやめてくれ。オレだってフツウに遊ぶし楽もしたいし、あわよくば楽しちまうし」
「ン~、先月契約したてのスマホの利用状況を見る限りだと、ボクにしたら、慧斗のは遊楽に入らないんだよねぇ。知らないことを調べるばっかなカンジで、そこからゲームやエロや完マスへと、のめり込んで溺れる様子がまるで見知できない~」
「このドスケベ坊ちゃまがっ、案の定そういう情報の盗み見で人のプライヴァシーを侵害していやがったわけだな」
「いや~、でもそう指摘されてもピンとこないくらいフツウに見れちゃう情報なんで許してよぉ。ボクがドスケベなのは認めるし、聞いてくれたら何だって包み隠さずうち明けちゃうからさっ。さぁどうぞどうぞ、ボクのどんなドスケベ話が聞きたいぃ?」
「……ったく。だからエロとかには手を出せないんだ、それこそ魔そのものだろ。ダークなサイトに
「如何わしくないよぉ、完全マスターの略だもんたぶん。何かを実際に所有したり、テクを磨くのはムリでも知識的に極めることさ。それなりにコストはかかちゃうけど結局は」
「てか、オレにはカネを注ぎ込む遊楽ってだけで如何わしいけどな。だから、アレルの如何わしさプンプンな世話にはなれないな」
「エ~ッ、そんなぁ」
「……うん。好さげだよな、ハンターに弟子入り。押しかけちまえば場所が場所だけに、そう易易とは追い返されないはずだし、オレは巷でのさばり返る魔物より、山の獣を相手にする方が無難だろうからな」
「それ、ブチギレてブッ
「……ま、そう言うことかな……」
「それにさぁ、なんだか変に自信もありげに聞こえちゃう。もしや慧斗の祖父サマも猟友会に所属してるハンターでもあって、慧斗もさ、その手伝いとかで心得があるとかなの?」