016 あまねく共通エチケットだったりぃ?
文字数 1,986文字
「……よくわかりませんけれども、ディアブラリフェインではそうなのです」
「いや……ふと、こっちの方が秩序やモラルって言うか、人としての道義がちゃんと弁えられてるカンジがしただけ」
「そうですか。捕捉しておけば、植物では人の全身を模して、さらにはそれを分離させて動けるようになる種はオピを含めわずかです。そこは、部分的に人の動きを模せると言うべきでした。無論オピでも、樹齢が三〇〇年を超える洽聞 からの志気がなければムリだとは思いますけれども」
「……食虫植物に口を閉じたり小手招くのがあったかも? けどとにかく、ここではそうなんだと呑み込むしかないよな。変に違いすぎて、心腹に落ち止まってくれる解釈なんてしきれやしないし」
照壬はлсДを突き立てなおすとともに、頭をふって意識もリセット。
「やはり納得できませんか? いきなりはムリだろうとは思いますけれども」
「てか、なんか樹齢にこだわりをカンジさせるのは、はるかに年上なんだからオレにもっと敬意をはらえっていう婉曲的な催促でしょうか、ノキオ様?」
「いえ、そんなことはありません。年端もいかぬテルミの尾籠さなど、樹齢三二七年一六三日のワタクシには物の数ではありませんので。むしろ今、わずかに敬語づかいをされただけで寒気を催してしまいました。なのでお気づかいなく、テルミはこれまでどおりの言葉づかいで結構、と言うよりそうしてくださった方が心地行きます」
「そ? まぁこれが素のオレだしな。でも既に尊敬の念はかなり懐いているからヒネないでくれよ、てか、ノキオはこの先も何千年と健在そうだから、人で換算すればオレとタメの関係でもいいんじゃないかな? 老けだすには早いって」
ノキオもここで、聞き開ききれないテルミの言葉つきは丸ごと呑み込んでしまうしかないと悟了する。
「……一向にかまいませんけれども。渇きが癒され容認もできたのでしたら、そろそろワタクシを信用もして斬り離してはいただけませんか?」
「そうだな……当然ノキオのことはもう充分信用しているんだけど、もう少し、あと三、四センチ浮き出してから斬った方がよくないかな? 特に脚は、今斬ったら細すぎだって、体を支えられそうにないぞ。斬るなんてスグだから、ギリギリまで待った方がいい。意地悪や勿体つけて言っているんじゃない、一応は誠意からの忠告だから」
「……そうですか。けれどもその三、四センチとは具体的にどれくらいでしょうか? ワタクシの知る単位ではありませんので、示していただければ、それを目指してこれからの頑張りにも層一層の精魂を傾けられるでしょうから」
「まぁこれくらい、だけどな──」照壬は親指と人差し指を軽く広げた左手をノキオへ見せた──「てか、手先がまだ全然じゃないか、指がないと不便だろ?」
「……ですね。……ハァ~、本当にギリギリになりそうです……テルミ、今晩からワタクシに登って枝の上で夜を明かしてください。そうすれば、興味をもったデヴィルキンたちから荷物を奪われず、イタズラもされずに済みますので」
「それはどうもだけど、興味をもったって、オレにか?」
「ええ、おそらくは初めから。今も距離をとってこちらを窺い続けていますが、気にすることはありません。テルミがワタクシの友人であると判断されるまでのことです、そうなれば逆に助けになってくれることもあるでしょう」
「……悪いな、何から何まで。オレにも、一刀両断のほかにしてあげられることがあればいいんだけどな。てかノキオ、前にも人の形になって動き廻ったことはあるのか? オレが半端に使える剣術とかでよければ教えるぞ」
「初めてなので是非教えてください。……そうですね、できれば基礎も基礎から、どう動けば歩けるのか? などからお願いしたいのですけれども」
「そこからかガチで? ン~わかった、何とかしてみるしかないな。……ノキオは理屈からの方がいいカンジだから、まずはオレの動きと説明でイメトレから設定場面毎に脳内シミュレーションだな、てかノキオは一体どこで考えているんだ?」
「……さぁ? もう白状させていただくしかありませんけれども、テルミの話す言葉にはワタクシの知らない単語や言いまわしが多多ありますので、先ほどからほぼ考えての受け答えはしていません。そもそも人族と植物の思考の仕方の違いなど知りませんし」
「そ? ならその都度言ってくれよイチイチな。樹齢三〇〇年超えの
「それではテルミ、今の言いまわしは避けた方が身のためですよ。人種‐種族に関係なく、特に若い女性たちから呆れられるだけだと思いますので」
「……そ? ン~、これはオレがいた所ではダジャレと言ってだな、若い内なら呆れられるオヤジギャグまでにはならなかったんだよなぁ」
どまぐれる照壬に、小吹き出しての微苦笑も初披露するノキオだった。
「いや……ふと、こっちの方が秩序やモラルって言うか、人としての道義がちゃんと弁えられてるカンジがしただけ」
「そうですか。捕捉しておけば、植物では人の全身を模して、さらにはそれを分離させて動けるようになる種はオピを含めわずかです。そこは、部分的に人の動きを模せると言うべきでした。無論オピでも、樹齢が三〇〇年を超える
「……食虫植物に口を閉じたり小手招くのがあったかも? けどとにかく、ここではそうなんだと呑み込むしかないよな。変に違いすぎて、心腹に落ち止まってくれる解釈なんてしきれやしないし」
照壬はлсДを突き立てなおすとともに、頭をふって意識もリセット。
「やはり納得できませんか? いきなりはムリだろうとは思いますけれども」
「てか、なんか樹齢にこだわりをカンジさせるのは、はるかに年上なんだからオレにもっと敬意をはらえっていう婉曲的な催促でしょうか、ノキオ様?」
「いえ、そんなことはありません。年端もいかぬテルミの尾籠さなど、樹齢三二七年一六三日のワタクシには物の数ではありませんので。むしろ今、わずかに敬語づかいをされただけで寒気を催してしまいました。なのでお気づかいなく、テルミはこれまでどおりの言葉づかいで結構、と言うよりそうしてくださった方が心地行きます」
「そ? まぁこれが素のオレだしな。でも既に尊敬の念はかなり懐いているからヒネないでくれよ、てか、ノキオはこの先も何千年と健在そうだから、人で換算すればオレとタメの関係でもいいんじゃないかな? 老けだすには早いって」
ノキオもここで、聞き開ききれないテルミの言葉つきは丸ごと呑み込んでしまうしかないと悟了する。
「……一向にかまいませんけれども。渇きが癒され容認もできたのでしたら、そろそろワタクシを信用もして斬り離してはいただけませんか?」
「そうだな……当然ノキオのことはもう充分信用しているんだけど、もう少し、あと三、四センチ浮き出してから斬った方がよくないかな? 特に脚は、今斬ったら細すぎだって、体を支えられそうにないぞ。斬るなんてスグだから、ギリギリまで待った方がいい。意地悪や勿体つけて言っているんじゃない、一応は誠意からの忠告だから」
「……そうですか。けれどもその三、四センチとは具体的にどれくらいでしょうか? ワタクシの知る単位ではありませんので、示していただければ、それを目指してこれからの頑張りにも層一層の精魂を傾けられるでしょうから」
「まぁこれくらい、だけどな──」照壬は親指と人差し指を軽く広げた左手をノキオへ見せた──「てか、手先がまだ全然じゃないか、指がないと不便だろ?」
「……ですね。……ハァ~、本当にギリギリになりそうです……テルミ、今晩からワタクシに登って枝の上で夜を明かしてください。そうすれば、興味をもったデヴィルキンたちから荷物を奪われず、イタズラもされずに済みますので」
「それはどうもだけど、興味をもったって、オレにか?」
「ええ、おそらくは初めから。今も距離をとってこちらを窺い続けていますが、気にすることはありません。テルミがワタクシの友人であると判断されるまでのことです、そうなれば逆に助けになってくれることもあるでしょう」
「……悪いな、何から何まで。オレにも、一刀両断のほかにしてあげられることがあればいいんだけどな。てかノキオ、前にも人の形になって動き廻ったことはあるのか? オレが半端に使える剣術とかでよければ教えるぞ」
「初めてなので是非教えてください。……そうですね、できれば基礎も基礎から、どう動けば歩けるのか? などからお願いしたいのですけれども」
「そこからかガチで? ン~わかった、何とかしてみるしかないな。……ノキオは理屈からの方がいいカンジだから、まずはオレの動きと説明でイメトレから設定場面毎に脳内シミュレーションだな、てかノキオは一体どこで考えているんだ?」
「……さぁ? もう白状させていただくしかありませんけれども、テルミの話す言葉にはワタクシの知らない単語や言いまわしが多多ありますので、先ほどからほぼ考えての受け答えはしていません。そもそも人族と植物の思考の仕方の違いなど知りませんし」
「そ? ならその都度言ってくれよイチイチな。樹齢三〇〇年超えの
木
が、オレなんかに気
をつかうなって」「それではテルミ、今の言いまわしは避けた方が身のためですよ。人種‐種族に関係なく、特に若い女性たちから呆れられるだけだと思いますので」
「……そ? ン~、これはオレがいた所ではダジャレと言ってだな、若い内なら呆れられるオヤジギャグまでにはならなかったんだよなぁ」
どまぐれる照壬に、小吹き出しての微苦笑も初披露するノキオだった。