第3章 第12話

文字数 729文字

「意外と…… やるじゃん…」
「うん、したたかだあ……」
「あの星野さんが…… ミヅキちゃんが…… 呪いを…」
「ま、まあそれだけケイの事……」
「てか、それウチらに、人に言うか?」
「みづきちゃん、正直過ぎ。でもー」
「いやー、いいじゃんミヅキちゃん! 表裏無いわー おい見習えそこの二人。」
「は? 死ね。」
「凄いよ。他人にそこまで話せるって。私はムリだよー」
「ケイがマジで惚れちゃうの、なんとなくわかるわー。な。」

 洋輔がニッコリと俺に微笑んでくる。
「で。ケイはみづきちゃんの事、いつから?」
「それは、やっぱ二年前の受験……」
 洋輔の笑顔に絆され危うくありのままを話してしまいそうになる。しまった、なんて言おう…

「じゃなく、二年前くらいから気にはなってたよ。ただちょっと近付きずらいかなって。本ばっか読んでたし俺なんか眼中ない、って思ってたわ」
「そんな事、ない!」
「ちょ、みづき、落ち着けって」
「いーよ、ミヅキちゃんー」

「ハハハ… で、三年になってこうしてクラス一緒になったよな。成績、特に国語と社会がすごかったじゃんコイツ、だから下心なしでマジ勉強法とか教えてもらいたくてさ、まあそんな感じで声かけて。そんで予備校も一緒だったし。」
「なんか…… みづきちゃんの作戦、的中じゃん… 恐ろしい子…」
「う、ウチもちょっとやるかそれ…」
「… そんで、まあ予備校とかで帰り一緒になったりして話してるうちに、まあ、なんか、そんな感じ! これでいいかっ?」

「で。初めてのキスは?」
「「まだだよっ!」」

 完璧な俺と水月のハモリに驚きと疑いの目が集まる。あれ…… なんか別のテーブルからも同じ視線を感じるーー

 サッと見回すと、俺らの周りのテーブルの客が、一斉に目を逸らした。おい……
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