第6章 第12話
文字数 794文字
栗栖先生が病室から出て行った後、不思議そうに首を振りながら看護師が俺たちに話しかけてくる。
「あの先生、こんなに喋るの初めてみたわよ… 高校の後輩だからって、あなた達と面識あった訳じゃないんでしょ?」
「はあ。この病院来て、初対面ですね。」
「ほんっとに無口で目つき悪くて態度悪くて。腕は優秀なんだけどねー」
「腕? って、先生は内科が専門じゃないんですか?」
「ううん。外科の先生なのよ。駿河君を手術したのも、栗栖先生。当初予想された時間よりずっと早く終わらせたのよ。」
「へえ。そうなんですか…」
「ま。腕のいい外科医にまともな人はいないって言われてるからー なんちゃって」
「… 面倒見もいいですよね、何気に。ま、コミュニケーション能力が伴えば、名医と呼ばれる様になるかも、ですか?」
「うわ… キミ本当に高校生?」
これ以上喋るのはやめておこう。そう誓う。
しつこく菊池穂乃果とのことを聞き出している駿太を引き摺って病室から出る。駿太は不貞腐れながら、
「お前はいいよな。ミヅキちゃんいるし。んだよ洋輔… いつの間に穂乃果と…」
「そーゆーお前は、狙ってる子いないのか?」
「んー、いねえわ。もーすぐ受験だし。いーわ俺、大学デビューで。」
ドキッとする。そういえばこの駿太も受験日前にインフルエンザに罹り一浪を余儀なくされ、その後の人生は惨憺たるものとなるのだった。コイツのインフルエンザは防げるのだろうか…
「駿太。手だけはしっかり洗え。学校でも、予備校でも。いいな!」
「は? なんでいきなり…」
「え… いや… 風邪流行ってるだろ、洋輔にうつすわけいかねーだろ?」
「あーなる。そーな。うん。風邪引いたら洋輔の見舞い来れなくなっかんな。よし。今日から俺は手洗い王になる。川越一の手洗い王に!」
その王位はどうでもよいが、その意識が受験日まで続くことを祈ると同時に、今後しつこく言い続けていく事を決心する。
「あの先生、こんなに喋るの初めてみたわよ… 高校の後輩だからって、あなた達と面識あった訳じゃないんでしょ?」
「はあ。この病院来て、初対面ですね。」
「ほんっとに無口で目つき悪くて態度悪くて。腕は優秀なんだけどねー」
「腕? って、先生は内科が専門じゃないんですか?」
「ううん。外科の先生なのよ。駿河君を手術したのも、栗栖先生。当初予想された時間よりずっと早く終わらせたのよ。」
「へえ。そうなんですか…」
「ま。腕のいい外科医にまともな人はいないって言われてるからー なんちゃって」
「… 面倒見もいいですよね、何気に。ま、コミュニケーション能力が伴えば、名医と呼ばれる様になるかも、ですか?」
「うわ… キミ本当に高校生?」
これ以上喋るのはやめておこう。そう誓う。
しつこく菊池穂乃果とのことを聞き出している駿太を引き摺って病室から出る。駿太は不貞腐れながら、
「お前はいいよな。ミヅキちゃんいるし。んだよ洋輔… いつの間に穂乃果と…」
「そーゆーお前は、狙ってる子いないのか?」
「んー、いねえわ。もーすぐ受験だし。いーわ俺、大学デビューで。」
ドキッとする。そういえばこの駿太も受験日前にインフルエンザに罹り一浪を余儀なくされ、その後の人生は惨憺たるものとなるのだった。コイツのインフルエンザは防げるのだろうか…
「駿太。手だけはしっかり洗え。学校でも、予備校でも。いいな!」
「は? なんでいきなり…」
「え… いや… 風邪流行ってるだろ、洋輔にうつすわけいかねーだろ?」
「あーなる。そーな。うん。風邪引いたら洋輔の見舞い来れなくなっかんな。よし。今日から俺は手洗い王になる。川越一の手洗い王に!」
その王位はどうでもよいが、その意識が受験日まで続くことを祈ると同時に、今後しつこく言い続けていく事を決心する。