Save Us From Dream

文字数 2,161文字

メイルストロム 様作

あらすじ引用
人口百人にも満たない小さな村で過ごす亜人種の女性、紫蘭。たった一人の大切な家族である病弱な娘と2人慎ましく生活していたある日の朝、彼女は不思議な夢に目を覚ます。
それはまるで誰かの記憶を覗き見た様なもの、夢として処理するにはあまりにも陰惨であったそれは先触れだったのかもしれない。

この日を境に動き出した運命の歯車。

突如として崩壊する日常、無慈悲にも奪われた大切な存在。自らの住む世界の残酷さに打ちのめされて傷だらけになった身と心、そこに射し込んだのは一筋の光。

これは手にした奇跡の代価を払う為の旅路。
旅路の果てに何が待っているのか、代価を払い終えた彼女に訪れる運命とは何か。


──可能であれば見届けて欲しい。

【簡単なあらすじ】
ジャンル:現代ファンタジー
旧人類が魔物と戦うために亜人種を作り出し、再び地上で暮らす日を夢見た世界で繰り広げられる物語。

ある夢を見た日、主人公の暮らす村は突如、魔物の大群に襲われる。夢の通りではなかったが主人公は夢と同じように大切なものを失うのだった。一方その頃、ある姉妹もまた絶望していた。彼女たちが再び出逢う時、物語は新たな展開を見せていく。

【物語の始まりは】
ある人物の後悔の記憶から始まる。それは主人公が見た夢でもある。憎しみからは、憎しみしか生まれないということを改めて感じる始まりだ。
虐めとは些細なことから始まりエスカレートしていくものだと思う。彼らは人工的に生み出された亜人種であり、人間とは少し違うのかも知れないが人間としていることは変わらないと思われる。人は自分と異なるものを受け入れられないものなのだ。それは弱いからなのかもしれない。夢の中の人物は、もしかしたら罠にはめられ、このような末路を辿ったのかも知れない。しかし、主人公に何故このようなメッセージを残したのだろうか? 
主人公と彼女の繋がりとは?

【舞台や世界観、方向性】
魔物と呼ばれる未知の生命体、そして魔素と呼ばれる特異物質の存在する世界である。主人類は、魔物に打ち勝つため亜人種を作った。
3話になると視点が変わるのでこの物語は群像劇だと感じた。
混沌とした世界。魔物たちと闘う為に生み出された亜人種たちの生活は生半可なものではない。常に恐怖や命の危機に晒されていたことが物語を読み進めるにつれて明らかになっていく。
この世界には亜人種といっても1種類ではないらしい。段々と明かされていく世界の謎の部分がとても興味深い。

【主人公と登場人物について】
身体の弱い一人娘と暮らす亜人種の女性が主人公である。この世界には魔物が存在しており、両親も夫も魔物に殺されている。
主人公はどうしてこんなにも、と思ってしまうほど大切なものを奪われていく。そして大きな運命を背負っているのだと感じた。
この物語は、ある姉妹の視点からも紡がれていく。彼女たちもまた、何かを背負い縛られているように感じる。恐らく主人公の謎も彼女たちの謎も、いずれは明かされていくのだろう。

【物語について】
夢の後、違和感を覚えながらも、いつもの日常から始まっていく。主人公はいつもそうしているのだろう。娘と朝食をとったのち、仕事へ。しかしこの日はいつもと違っていたのだ。この日を境に彼女たちは、様々な非日常に遭遇していく。村への魔物の襲撃がターニングポイントだったのではなか?
失ったものもあれば手にしたものもある。ただ、平穏な日々はもう訪れることはないのだろうと感じた。それほどに彼女たちは過酷な世界に居る。そして新しい出会いと新たな展開。もしかしたら、段々と主要人物が主人公の元へそろって(集まって)いくのかもしれない。

【良い点(箇条書き)】
・この世界で生きる者たちの必死さが伝わって来る。
・旧人類は魔物を倒させるために亜人種を産み出した。もし、この世界がほのぼのしていたなら、そこにリアリティを持たせることは難しい。つまり、この物語では常に危険と隣合わせであることが表現されており、リアリティを持たせていると感じた。
・休む間もなく訪れる戦いの日々。この物語では主人公達以外の亜人種がどんな種族なのかについても語られている。彼らが必然で造られたことが伝わって来る。
・世界観や物語の設定が細かく、独創的である。
・面白い世界観だと感じる。
・常にヒヤヒヤ、ドキドキさせられる物語である。
・展開の予測がつかないので、先がとても気になる。
・戦闘描写も凄いが、心理描写が丁寧で共感を覚えやすい。

【備考】17話まで拝読
【見どころ】
17話までの時点ではまだ序盤だと思われる。一部難しい部分もあるが、世界観に独創性を持たせており、とても興味深い物語である。
主人公のみた夢は、予知夢なのかそれとも虫の知らせなのだろうか? 
嫌な夢をみたその日、主人公は大切なものを失うこととなる。この物語は複数の視点から語られる群像劇であり、それぞれが背負っているものが違っている。主人公は大切なものを失い一旦村を後にするが、奇跡を手にいれ村へ戻るのだ。ここからが本当の始まりなのかもしれないと感じた。
手に入れた奇跡の対価とは? 果たして彼女たちはどんな末路を辿るのだろうか? 過酷な世界で対価を払うために生きる主人公の行く末を、その目で是非確かめてみてくださいね。お奨めです。
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