ただ将棋をして話すだけ

文字数 1,367文字

タケモティー 様作

あらすじ引用
 毎週金曜日、深夜、大学の休憩スペース。僕は師匠と話をしながら将棋を指す。師匠はいつもつかみどころのない女性。何を考えているのか、僕にはよく分からない。でも、将棋が好きなことだけは知っている。
 ゆっくり、穏やかに流れる二人の間の時間。殺伐としない将棋は、こんなにも美しく、愛おしい。
 師匠と僕の将棋の様子をたんたんと描いていきます。対局の描写が中心に描かれることは無いので、将棋を知らない人でも、楽しめる作品となっています。

備考:話ごとであるが日常の一コマという印象。
★どんなことをテーマにした作品なのか?
金曜日の深夜に大学の休憩スペースで高校生の主人公が、大学生である師匠と談話しながら将棋を指している場面から始まっていく。恐らく将棋と互いの好きな二人の日常の一コマである。

【将棋とは?】
戦陣になぞらえ八十一個の区画を設けた盤に駒(こま)を並べ、互いに一手ずつ駒を動かしてするゲーム。(web調べ)

【どんな物語なのか?】
高校生の主人公が大学生と将棋を指しながら、お喋りをしている様子を描いた物語。将棋の手などが出てくるわけではないので、ルールを知らずとも楽しめる。二人は好意を抱いているのか、とても仲良く見える。日常の一コマを綴っており、一ページで一場面という構成。主人公だけでなく、相手の女性からの視点もあり、互いに何を考えているのか? 何を想っているのかなども垣間見ることができる。一場面が500文字前後なので、サクッと読めるところも魅力。その凝縮された場面の中での二人のやり取りには、その先を妄想してしまうものもある。

【好きな所や印象に残ったところなど】
・何故毎週であり、同じ時間なのか?
約束の場面が好きである。しかし、主人公が何故この時間なのかは謎のまま。
・時々明かされていく、師匠の過去や人間関係について。チラッとしか出て来ないのだが、ミステリアスで興味をそそる。
・二人は惹かれ合っているように思えるが、師匠の乙女心(?)に気づかない部分も面白い。鈍感なのも彼の良さなのだろうと感じる。
・一緒に居て楽しそうなのがとてもいい。互いに居心地の良い相手なのだと感じる。変にベタベタしていないのも、良いなと感じる。

*現在129話まで公開中(2021年11月13日現在)
【全体の見どころ】
将棋が分からなくても、ルールが分からなくても楽しめる物語であるのが一番の魅力だと感じた。この物語は群像劇なのだろう。主人公だけではなく、師匠や師匠の過去に関係する人物の視点からも物語は進んでいく。二人が将棋を指す時間はいつも決まって金曜の夜。そして同じ場所で。変わらない日常と変わっていく二人の心理が見どころだと思う。そして少しづつ明かされていく師匠の過去や心理なども面白い(面白味)部分だと感じる。日常の一コマであり、その日印象に残ったワンシーンのようなスタイルであり一話はサクッと読める。一話の文字数としては少ない印象もあるが、凝縮されたワンシーンで余韻も残る。主人公の中で、将棋が師匠とワンセットになっていく心境の変化や、その事に自分で気づかずにしてしまう言動。そこから派生する初々しさなどもほんわかしており、好感が持てる。ハラハラドキドキという感じではなく、応援したくなる物語である。

備考*16局まで拝読。
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