『紺碧のミシマ』

文字数 1,437文字

紺碧のミシマ ~ホームレスだったけど異世界へ行ってロボットになったので俺は自由に生きる~

田中 様作

【あらすじ引用】
不況の影響でリストラされホームレスとなった青年、三嶋健太郎。
彼は、疫病に罹り次に生まれ変わったら、怪我とも病気とも飢えとも無縁な頑丈な体を強く望みながら亡くなった。

その後、目覚めた彼は青黒い装甲を纏ったロボットとして洞窟にいた。
自らの死に気付いていない健太郎は、それを熱に浮かされて見る夢だと勘違いしたまま、取り敢えずその夢を楽しむ事にした。

【物語は】
ある疫病の蔓延により不況の煽りを受けリストラされた主人公。頼る相手もなく、ホームレスとなる。しかも、運悪く疫病にかかり生涯を閉じた。彼は病床で、次に生まれ変わったらケガや病気、飢えと無縁な体に生まれ変わりたいと望んでいた。そして、目を開けたら洞窟に。そこで何故か二回食われるという経験を⁈

【物語の魅力】
主人公は、自分が亡くなったことに気づかづ、夢が叶ったことにも気づかない。現状を楽しむことにした主人公であったが、どういうわけか身体が言うことを利かない。度々自分の意志に反して暴走(?)するのが面白い。
移動しているうちに、ある人物へ遭遇。ロボットになった主人公は、どうやら会話は出来ないようだ。そこで、ジェスチャーや文字で会話を試みるのだが。
夢と思い込んでいるせいか、かなり伸び伸びとしている。心理描写が丁寧かつ、面白くつい笑ってしまう。だが、ただ面白いだけではなく、シリアスな部分もある。

イラストもついていて、可愛いなと思う部分もあれば、こわっ!と思わず溢してしまうイラストもあり。全体的にコミカルで、主人公の自分自身の性能に対するツッコミが面白い。

【登場人物の魅力】
ブラック企業で、人に仕事を押し付けられていた主人公。リストラに合い、その後も不憫な人生となり、一生を終える。次に目を開けたとき、ロボットになって居た。夢だと思い込み、夢を楽しみ始める彼。ホームレスの頃の憂いは、夢だと勘違いし洞窟を探索していくうちに、跡形もなくなっていく。
彼を明るくしたのは、新しい身体だけではない。ある出会いも関係しているようだ。話しが進むにつれ、どんな性能があるのか、分かって来る。ロボット自体が面白い。

笑いだけではなく世界観が分かってくると、一緒に洞窟から出るのに同行した人物の境遇も分かって来る。主人公は、少しずつ彼女との絆を築いているように感じる。この先、どんな風に物語が展開されていくのか楽しみである。

【物語の見どころ】
ホームレスだった主人公は、自分が既に亡くなっていることを知らずに夢だと思続け、ロボットとして新しい人生を思いっきり楽しんでいく。しかし、彼の心は人間のまま。優しい心を持ち、偏見を持たず少しずつ新しい世界に馴染んでゆく。彼の人間らしいところが彼の良さであり、物語の良さなのではないだろうか。
彼はこの世界で生きていく中で、自分が受けた苦しみを、一緒に旅する女性に重ねる部分がある。それは、今を楽しんでいる主人公の、憂いの部分だ。
笑ってしまうところは多いが、しっかりとしたヒューマンドラマである。

彼は新しい世界で生活している中、自分が異世界に転生したことにいつか気づくのだろうか?
この物語は読了部分で、はラストまでの展開の想像がつかない。
一体どのようなラストを迎えるのだろうか。
是非、あなたもお手に取られてみませんか?
笑いあり、切なさあり、そして心温まるエピソードも満載の素敵な物語。
お奨めです。
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