神々のガラクタ船 (略)

文字数 2,421文字

神々のガラクタ船 ーWater alchemist and the Worldtree’s landsー

猫隼 様作

【あらすじ引用】
「かつて、この宇宙には水が溢れていて、生命体のはじまりも水の中にこそ……」

 数えきれないほどの星の集団が化石となり、空間の大半を岩石が埋め尽くした、遥か未来の宇宙。
 銀河系の集合構造、フィラメントの1つである"世界樹"。それはいくつもの星系国家の集まりであり、絡まり合う無数の枝のような知識ネットワークを共有している大コミュニティ。
偉大な科学者たちが築いた、宇宙で最大の叡知の領域。

 その"世界樹"の、とある田舎惑星で生きていたミーケは、思い出を失った少年。思い出から逃げてきた少女リーザと、今はふたりぼっち。短いけど長い時間を、一緒に生きてきた。

 一方、小国家(アズテア)の姫であり地質学者のザラは、不世出の学者であった母が残した、この宇宙から失われたものに関する不吉な予言を研究していた。
 その研究が、ミーケたちが旅立つきっかけ、そして直接的な全ての始まり。

 伝説の大学者だったらしい変な占い師。古い時代のガラクタ船。失われた物質の研究記録。隔絶されたいくつもの領域。最初の知的生命体。空間を越える神々。水の錬金術師の記憶。
 そして、≪虚無を歩くもの≫。

 多くの出会い、多くの謎、そして恐ろしき敵。
 それは全て、このユニバース(唯一の宇宙)の物語。

【物語は】
遠い昔に水が失われてしまった世界で、記憶を失ってしまったと思われるミーケという少年の境遇から始まる。彼が覚えているのは、水の豊かな地域に暮らしていただろうという記憶のみ。
それも、何処なのか定かではない。確かなのは、この世界において水が貴重であること。そしてこの物語には、水が深く関わっていること。
主人公たちはある日、自分たちの家に宇宙船がやって来ることを知る。その出会いが全ての始まりだったのだ。

【世界観・舞台・物語】
天然の水のない世界。地球が失われた後の世界のようである。
主人公は20年前に倒れていたところをリーザに助けられ、以来二人で暮らしていた。歴の感覚が地球とは違う為、初めは一部難しいと感じる部分もあるが、重要なのは彼らの目的であり、丁寧に説明がなされている為、段々に慣れていく。

ザラという人物から見えてくる”世界樹”について。
世界樹がどんなものなのか?
この物語を理解するのに、一番重要な部分だと思われる。
”世界樹という”言葉のイメージにより、少し世界観を理解するのが難しいかも知れないが、あらすじにイメージを確定する一文がある。

”それはいくつもの星系国家の集まりであり、絡まり合う無数の枝のような知識ネットワークを共有している大コミュニティ”(引用)
作中には”世界樹"にも国家があり、経済というものもあり、時には、ある研究を行いたくても、財力の問題でそれを行えない科学者もいる”(引用)とある。つまりこの大コミュニティの名(総称)を”世界樹”というのだ。

主人公たちは”天然水”を巡り、その研究の為に運命的に引き寄せられたのではないだろうか。そしてその研究こそが、ミーケの失われた記憶に関係しているのではないだろうか?
その部分に関しては、物語を読み進めると段々と分かって来る。
何故水が失われたのか。この物語には謎な部分があり、それが研究という形で明かされていく。事実や想定などを聞いているうちに、ゾッとすることなどもあり、いつの間にか主人公たちと共に話を聞いている気持ちになる。世界観が、研究報告に(レポート)より分かるというのは、とても面白いスタイルだと感じる。

【登場人物の魅力】
この物語は、両視点で進んでいくようだ。冒頭ではまだ分からないが、群像劇なのかもしれない。
恋愛に興味のなさそうなミーケと、複雑な心境のリーザ。この物語の中では、種族(出身)により考え方が違うようだ。
大事な話といわれたことを発端として、考え方の違いなどが語られていく。独特の世界観を持った物語だと感じる。

この物語は1-8までは、世界観や研究ミーケの記憶、リーザの想いなどについて描かれていく。ミーケの素性についての予想が立つまでは、リーザの複雑な心境についても語られておりハラハラしてしまう。この物語の世界観の中で面白いところは”世界樹”の人間というのは”恋愛感情”については疎いという所。つまり科学者であり、恋愛というものに感情が向かないという事だ。これは、恋愛以外に夢中になれるものがある人には、想像しやすい部分なのではないだろうか。”二人の関係がどうなっていくのか?”というところも、見どころの一つだと思う。

【物語に見どころ】
人によっては、序盤が少し難しいと感じるかもしれないが、読み進めるにつれて面白さを感じるタイプの物語である。
”水”が重要なキーワード。世界観については、読み進めているうちに”なるほど”と理解することが出来る。

まずこの物語は、何らかの理由で水が失われ、地球(ジオ)も存在しない未来の話である。そして記憶のないミーケという、主人公の一人は二十年前、リーザという女性に倒れていたところを助けられる。
そこから一緒に生活しているうちに、互いがかけがえのない親友になるが、リーザの方は心に変化が表れ始めていた。
そんな時に、ある一人の研究者がやって来るのだ。このことを期に水についてのある説を知ることになる。
そして記憶のないミーケの”記憶”についてや、彼自身のことについて分かることが出てくる。つまり、物語はターニングポイントの日から始まっていくのである。

果たして、ミーケの記憶に隠されたこととは?
≪虚無を歩くもの≫とは?
少しづつ明かされていく謎と、真実。そして旅立ちの物語。

あなたもお手に取られてみませんか?
この先彼らに一体、何が待ち受けているのだろうか?
ぜひ、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。
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