天魔の契約  

文字数 2,231文字

HiraRen様作

あらすじ引用
類稀な魔力と剣術の才能を持っていたヴァンは、資格試験に落ちまくり実力を発揮できず、天使資格の取得を諦めてしまう。
天界で天使になれないと悟ったヴァンは自由と冒険を求めて人間界へと堕天するが、地上界も学歴や資格や免許が必要で行き詰ってしまう。貧乏学士として生活をしていたヴァンに地獄の女王リリスと天界の大天使イズアルが現れ、"天魔の契約"によって人間界を作り直すことを宣言する。
冒険に特化した才能を持っていたヴァンは、自らの力に気づき、地獄の女王と天界の大天使の身勝手な契約を破棄させるために剣を取る。

人間界と天界、地獄をつなぐ50の階層をヴァンは単独で攻略していく。
そこで"天魔の契約"を理解し、天界の神々と地獄の魔物たちが作り出した伝説の武具を手にする。
一方で混乱を極める地上界のならずものたちを懲らしめて街を救ったり、助けた少女に惚れられたり、悪徳な情報屋に付きまとわれたり……。

地獄の女王リリスの君臨する50の階層を単独で登り、地上界の破滅をたったひとりで止めようとする
落第天族の物語――!!

【簡単なあらすじ】
ジャンル:異世界ファンタジー
ある日、貧乏学士として何とか生活していた主人公は、授業に遅刻しそうになっていたところをある男に呼び止められる。そしてお金の代わりに彼に魔法を教えることに。筋の良い彼は、鹿をしとめることに成功。話をしながら食を共にしていたところ、世界に異変が起きるのだった。

【物語の始まりは】
大家から家賃を払ってくれと催促される場面から始まっていく。トラブルが重なり授業に遅刻しそうになった主人公は近道を選び、ある男性に呼び止められたのである。主人公は彼に金をちらつかせ、魔法の心得を教えてくれと頼まれ、「いくらだ」と聞き返したのだった。

【舞台や世界観、方向性】
魔法は誰にでも使えるものではない。
開拓が進み、魔物が討伐されつくした後の世界。冒険者は剣を置き、農作業に勤しむ時代。学業に就くことができるのは金持ち。貧乏ながら、主人公は勉学に身を打ち込んでいた。
良い職業と収入を得るためには学歴と資格が必要だが、それにはそれなりの費用が必要。
人間界には、主人公以外にも堕天した天族が数多くいるようである。

【主人公と登場人物について】
主人公は貧乏な学士。彼に魔法の心得を教えてくれと頼んだブレダとの会話によって、彼が堕天使であることが明かされていく。
彼は人と一緒に行動することが苦手である。その一つとして、人間を信頼できないという理由があるのではないだろうか。

【物語について】
魔法の心得を教えてくれと頼まれ、金と引き換えに主人公は魔法の使い方を講義する。その内容から世界観やこの世界での魔法の使い方などが明かされていく。彼は物覚えが良く、鹿を仕留めることに成功する。そんな彼と食を共にしながら話をしている時、異変は起こったのである。

天地は逆転し、人間界を再生しようとする。だがそうなってしまうまでにまだ猶予はあるようで”抗議ある者は我らのもとへ来い”という言葉を聴き、主人公は”地獄の女王リリス”の元へ向かおうと決めたのだった。しかし二週間経っても主人公はまだ、地獄の門へ向かうことが出来なかったのである。
そんな彼であったが、軍部のある市場で傭兵団の集会で様々な出会いを果たす。団長は良い人柄の人物に見えたが、天族や魔族に敵意を向ける者、また逆に共に戦おう! と仲間として熱意を向ける者などがいた。そして主人公はそこで自分と同じ天族では? と思える人物に遭遇するのである。
この物語は、単に人間界の平穏を共に取り戻そうという、物語ではない。今まで人とコミュニケーションを取ることができず、他人を信頼することが出来なかった主人公が、勇気ある一歩を踏み出し心身ともに成長していく物語なのだと感じた。

【良い点(箇条書き)】
・単に上階を目指していくような物語ではなく、主人公が色んな人々と関わり成長していく物語である。
・登場人物の名前の明かし方がドラマチックである。
・全てが時間として直結しているわけではなく、一話括りのものもある。
・魔族や天族というと特別な存在というイメージがあるが、人間界で静かに暮らしたいという者もいて、本来なら個人個人違う生き物であり、多様性があるものではあるが、そういう部分に独創性を感じた。
・世界観の明かし方、説明の流れが分かりやすい。

【備考(補足)】24ページ目まで拝読
【見どころ】
初めの頃は、コミュニケーションが苦手で自分自身に自信もないように感じていた。しかし段々と話が進むにつれ、強くなっていく。
人に声をかけることも苦手とし、集団行動を苦手としていた彼は、バトルメイド・ツムギを倒したことがターニングポイントととなるはずだった。しかし、その時団長を助けなかったことが人間によって責められてしまう。人を信じようとした彼の扉が再び閉まったかのように思えた。だがそれから暫く後なのか、ある仲間たちを守ろうとする姿も見ることができる。良い出会いばかりではないが、それでも前向きに生きて戦っているように感じた。
恐らくこれより後に単独で地獄の女王リリスの君臨する50の階層を目指すことになるのだろう。どういいう経緯を得て、一人で登ることになるのだろうか? そしてこの世界を救うことはできるのだろうか?
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