大正石華戀奇譚 <桜の章>

文字数 2,228文字

響 蒼華 様作
【作品URL】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/131983875/300494622

あらすじ引用
――私は待つ、いつか訪れるその時を。

時は大正。処は日の本、華やぐ帝都。
珂祥伯爵家の長女・菫子(とうこ)は家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立し、女学校においても友もなく独り。
それもこれも、菫子を取り巻くある噂のせい。
『不幸の菫子様』と呼ばれるに至った過去の出来事の数々から、菫子は誰かと共に在る事、そして己の将来に対して諦観を以て生きていた。
心許せる者は、自分付の女中と、噂畏れぬただ一人の求婚者。
求婚者との縁組が正式に定まろうとしたその矢先、歯車は回り始める。
命の危機にさらされた菫子を救ったのは、どこか懐かしく美しい灰色の髪のあやかしで――。
そして、菫子を取り巻く運命は動き始める、真実へと至る悲哀の終焉へと。

【簡単なあらすじ】
ジャンル:時代小説
舞台は、大正。
主人公は『不幸の菫子様』と呼ばれていた。家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立していた、珂祥伯爵家の長女でありながら。しかし噂を物ともせず、彼女に求婚してくれるものがいた。それは彼女に差した一筋の光であり、望めなった幸せを得るチャンスでもあった。だがその求婚者との婚約パーティで事件が起こる。その事により主人公は命の危機に晒さ、それを救ったのがあやかしだったのだ。果たして彼と主人公との繋がりとは──?

【物語の始まりは】
ある一場面から始まっていく。これにはどんな意味があるのだろうか?それとも彼女の夢なのだろうか? 主人公は伯爵家の長女であり通常ならば、家柄などから幸せな家庭なはずが、”不幸の董子さま”と呼ばれていた。
彼女に関わる者が偶然にも不幸に見舞われるのである。初めは偶然で済まされていたことも、度重なると必然となる。たとえそれが根拠のあるものだと証明されなかったとしても。
まもなくして彼女は”不幸の董子さま”と噂されることとなる。その噂は簡単に広まっていったのだろう。生涯独り身でいることを覚悟しなければならないほど、彼女に近づく者はいなくなったのである。だがそれで終わりではなかった。ある高貴な者が彼女に求婚したのだ。その者との婚約パーティーの日、また事件は起きてしまった。果たして、主人公の運命は?

【舞台や世界観、方向性】
大正を舞台にした作品。あやかしが存在する。
主人公に近づく者に不幸が起きることになった発端は徐々に明かされていく。そしてそれに纏わる物語も存在する。主人公があやかしと出逢うことにより、物語は今までとは違う方向へ進んでいく。

【主人公と登場人物について】
将来を諦めていた主人公に唯一求婚したのは、誰もが憧れる美貌を持った宮家の者だった。自分のせいで他人を不幸にしてしまう主人公は、喜びと同時に憂いも感じていた。何故なら、彼が不幸になってしまうのではと心配していたからである。しかし、帝の許可を得、いよいよ二人は正式に婚約することになったのだ。常に主人公に対し冷たい視線を向ける継母、とても気になる存在である。

【物語について】
自分のせいで不幸が起きたと自責の念に駆られてはいるものの、どんなことが起きたのかについては段々と明かされていく。そんな”噂”をされている主人公は、そのせいで縁に恵まれることはないと思っていた。
しかしそんな噂をものともせず、彼女を心から愛する者がいたのである。屋敷ではイジメにもあっていたようだが、婚約パーティーが行われることとなった日、ある事件が起きてしまう。彼女は一体どうなってしまうのだろうか?

物語は婚約発表のパーティーの日に起きた事件より、新たな展開を迎えていく。主人公の出生の秘密や母の視線の意味。そして彼女の所有する石に纏わる話など、徐々に謎の部分が明かされていく。

【良い点(箇条書き)】
・言葉遣いや表現などにより時代らしさが出ている。
・主人公が孤独であるというのが伝わって来る。
・人間らしさを感じる物語である。
・服装など細かく描写されており、色彩や華やかさも感じることができる。
・謎の部分があり、ミステリーを読んだ時のようなハラハラドキドキ感がある。
・あやかしものである設定が活きている。
・あやかしと主人公が出逢った後の展開に面白味を感じる。
・登場人物それぞれに個性を感じる。
・ラストの想像がつかない。

【備考(補足)】9話まで拝読(10ページ)
【見どころ】
この物語は、はじめは主人公の置かれている立場や境遇から始まっていく。そこから徐々に主人公の周りで起きていることが明かされていくのである。言葉遣いや服装、表現などによりその時代らしさを表現している物語であり、華やかさもある。主人公が過去と繋がる伏線は多数散りばめられており、ミステリーを読む時のような、好奇心を刺激する要素もある。
あやかしという要素が活かされており、びっくりするような展開も待ち受けている。そして特記すべき点として、全ての人があやかしの術にかかっているわけではないということだ。これが意図的ならば、そのこと自体が、物語の結末に深く関わっているのでないか? という想像もできる。あらすじには”真実へと至る悲哀の終焉”とあるので、バッドエンドなのが予想できるのだが果たしてどんな結末となるのであろうか? 
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 主人公の行く先を是非その目で確かめてみてくださいね。 お奨めです。
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