魔王国の宰相 

文字数 2,431文字

佐伯アルト 様作

あらすじ引用
ある日突然異世界の魔王城へ転移させられた青年、エイジ。彼は成り行きの末、魔王に認められて魔族の国の宰相(さいしょう)、すなわち国家の運営においてのトップを担う立場で、異世界生活を送ることとなる。
 チート級の強力な能力に恵まれ、その強大な力を振るいつつも、失敗や挫折を経験しそれを乗り越えていく。努力と試行錯誤を重ねて魔王国の宰相として異世界を生き抜き、現代の知識や異世界の道具に知恵、魔族達の力や魔術を用いて、魔族の国を発展させていく異世界転移物語。

【簡単なあらすじ】
ジャンル:ハイファンタジー
誕生日の翌日、主人公は目が覚めたら真っ白な世界にいた。彼をそこに呼んだ者が言うには自分には”異世界に行く権利”が与えられたらしい。そこで自分の欲しいスキルや装備を受け取った彼は、冗談で言った”いきなり魔王城に飛んでもいいくらい”という言葉が受理され、いきなり魔王城に飛ばされたのであった。初っ端からピンチに陥る主人公、どう切り抜ける?!

【物語の始まりは】
魔族の国にて宰相をしている主人公の日常から始まっていく。何故、人間である彼が宰相という地位についたのか? 話は一か月前の誕生日に遡る。24歳の誕生日。例年通り誕生日を誰かから祝ってもらうということもなく、残業をし日付の変わる少し前に帰宅した。その日、日常と違ったのは母からの祝いのワインを嗜んでから眠ったことだろうか? それとも妄想のせいだったのだろうか? 次に目覚めた時、彼は真っ白な世界に居たのである。これから彼にどんなことが起きるのだろうか?

【舞台や世界観、方向性】
魔物や魔法、魔族の存在するファンタジー世界が舞台。
主人公は現世で死亡したのではなく、異世界へ行く権利を与えられ、転移した。
この世界では、魔法と魔術は明確に異なる。

〈用語補足〉
宰相とは?……総理大臣のこと、もしくは参議を中国風に呼んだ語。
中世から近代初期にかけて、主に英国以外の欧州の君主の政務を補佐した廷臣の通称。(Wikipedia調べ)

【主人公と登場人物について】
主人公は魔王城に転移してしまった為、周りにいるのは魔王を始めとした魔族
ばかりである。幹部は人型が多いようで、スキルのお陰か会話には困らないようだ。魔王は会社で言うところの上司にあたるが、全体的に堅苦しい感じはなく、テンポのよい会話で進んでいく。主人公が砕けた話し方をすることも関係しているのではないかと思われる。仰々しい雰囲気の物語ではない。

【物語について】
真っ白な世界で目覚めた主人公は、明晰夢だろうと分析し歩き出すことにした。予感が当たったのか、突然石造りの建造物が現れる。そこで彼は”神に選ばれた”と告げられる。異世界へ行く権利が与えられたのだ。欲しいスキルと装備を受け取った彼は、何気なく呟いた”いきなり魔王城に飛んでもいいくらい”という冗談を真に受けられて、魔王城に飛ばされてしまったのだった。

しかも飛ばされた先は、玉座であろうか? いきなりのピンチ。彼はこのピンチを切り抜けるために、自分の能力や宰相がどんなものであるかを説明し、宰相として自分を推薦したのである。どうやら彼らの状況はひっ迫しているらしく、この案は受け入れられることとなるのだ。しかしこの時点ではまだ信頼関係が出来ているわけではなく、主人公が彼らにとって敵ではないという程度。
翌日、幹部たちとの顔合わせを済ませ、いよいよ彼の異世界での生活が始まっていくのだった。

【良い点(箇条書き)】
・異世界での生活を楽しんでいる雰囲気が伝わって来るので、以前の現実世界に未練が無いということにリアリティを持たせていると感じられた。
・主人公が生活していくのは、現実世界とは全く異なるファンタジー世界。もちろん現実世界とは異なることが多い。その為、彼の知りたい欲求を叶えると同時に世界観の説明になっている。かなり詳しく描かれていると思う。
・ファンタジーや異世界ものと言うと、主人公が”世界の主役”という立場のっものが多い。例えば勇者だったり、魔王だったり、実は何かの鍵を握っていたりと。この物語では主役級の立場とは異なり、魔王を支える役割となっている。それでもキーマンであることは確かだと思う。

【備考(補足)】21ページ目まで拝読
【見どころ】
魔王視点というものは見かけたことがあるが、そもそも魔族らしさとは何だろう? と考えさせられる物語である。主人公は個性的な人物だが、職場に一人はいそうなタイプの人物でもある。それはどういうことかと言うと、親しみやすいかどうかは人によるとは思うが、”日本人の気質、民族性”を持った人物だという印象ということだ。
それに対し、魔王は凄く丁寧に話す人物(魔族?)だなと感じた。職場で例えるなら社長というよりも、教育係に近い印象である。どっしり構えて、部下に任せるよりも、丁寧に説明や指導をしてくれるタイプ。主人公は努力家だが、素質もあるようで物事がかなり順調に進んでいく。

この物語は主人公が魔王側に革命を起こしていく、という珍しいスタイルである。彼の話し方などにより、国会のような堅苦しさよりもサークルのような和気あいあいとした雰囲気を持つ(実際に和気あいあいとしているかは別として)。そんな彼が、実力を見せつけ魔族たちと親交を深めたり、共に戦ったりしながら信頼関係を築いていく。人間サイド側からの物語を読んで、ご都合主義だなと感じる人には、面白く感じる物語なのではないだろうか? 
その内容は様々で、戦争に関することもあれば身近な掃除に関することもある。種族が違うことで感覚の違いもあるだろう。そういう部分にもスポットがあてられている。読了部分ではまだ、主人公が正式に宰相に就任したばかりである。これからどんな問題が彼を待ち受けているのだろうか。それをどんな方法で乗り越えていくのだろうか? 
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