風が伝えた愛の歌  鬼無里 涼様作

文字数 1,277文字

【あらすじ引用】
故郷を失い、追われる身となった一人の青年。ずっと孤独な逃避行を続けてきた彼はある日、洞穴で不思議な少女と出会う。
少女は自分を『かえして』くれる人を探すというが⋯⋯。

1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと)
洞穴で不思議な少女と出会うとあることから、主人公の青年はずっと放浪の旅をしているのだろうか?
行くあてもなくさまよい続ける彼は、ある少女と出逢うことで逃げるだけではなく、何らかの目的を持って旅をすることになるのではないかと想像する。果たして”自分を『かえして』くれる”とは一体どんな意味なのだろうか?

2 物語は(どのように始まっていくのか?)
全てを失った青年が、死ではなく生きろと言われて見知らぬ場所に飛ばされた(?)ところから始まるようだ。
本編に入るとモノローグにて彼のいる場所がどんなところで、現在の状況や境遇などについて語られていく。
その先で、彼はある少女と出逢うのだった。

3 世界観について
”長剣と、剣鉈と呼ばれる大きめの重いナイフ”を主人公が所持していることから、ファンタジーだと思われる。
回想により、彼の境遇が詳しく語られていく。(ネタバレになってしまうのでここに書くことはできないが)

4 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。
・二人が出逢った理由に何か意味があるのではないか?
・曖昧な目的で旅をしていた主人公は、少女に出逢うことで確かな目的を持ち始める
・彼にあるのは”意味”を突き止めることなのではないか?
・伏線の回収の仕方
・情景描写がとても丁寧
・主人公の性格が分かりやすくブレない

5 お奨めしたい部分
元は一章で完結だったようだ。ある日襲撃に遭い故郷を追われた主人公は、自分が”選ばれた”理由を”探して”何年も旅を続ける。
そして旅の先で少女に出逢う。彼の人生は彼女の人生に深く作用することとなる。展開の展開の速い作品であり、結末から始まっているように感じる。一章で完結していたのだったとしたら、その理由も納得である。しかし、この物語には先がある。つまりここからが本当の始まりなのかもしれない。
全てを失ってしまった青年がある少女と出逢い、守りたいものが出来る。人は守るべきものが無ければ無謀にもなれる。しかし、守るべきものがあれば、その人の為に強く生きることを望む。強い生命力を感じる作品である。主人公は果たして目的を遂げることができるのであろうか?

6 物語のその先を想像して
012 御者まで拝読
主人公の目的は”選ばれた理由”を突き止めることだった。
少女の目的は”自分をかえしてくれる”人を探すこと。
恐らくこれは一章で目的を遂げているのではないかと感じる。
ただし、まだ主人公の故郷を奪った”真の敵”には出逢っていない。
彼女との旅の終焉はその”人物の目的”や”意味”を知ることではないだろうか? 
それは主人公自身もまだ知らないことなのではないだろうか。
この先、腕輪の秘密と彼の為すべきことが明かされていくのではないかと想像する。

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