人と竜とのヒストリア【 Ⅰ 】

文字数 1,540文字

藤堂 縁志(Enishi.T)様作

【あらすじ引用】
とある港町の酒場は、いつものように賑わっていた。
主人公の青年”ソル”は、そんな宴をバーテンダーとして過ごしていた。

その夜。何気なく路地裏にゴミを捨てに行ったソルは、奴隷として密輸された1人の精霊種(エルフ)と出会う。

この出会いは”偶然か”…はたまた”必然か”。

黎明を告げる出会いがソルを数奇な運命へと誘った。

【物語は】
ネコの行動を他視点で追うような感覚で始まる。ネコの後を追っていくと、あるバーテンダーのカッコをした長身の男性に出逢う。二人(一人と一匹)は顔見知りのようで、まるで会話が成立しているかのように、青年がネコに話しかけている。視点の流れがとても自然な為、物語に入りやすい。
その後主人公視点で、話は進んでいくことになる。

【世界観・舞台の魅力】
優しい明かりの灯る街をイメージする始まり方が印象的。主人公はそんな素敵な街でバーテンダーをしており、お客さんとの会話などから人に好かれるタイプの人間なのではないかと感じた。そこに生活する人々の服装などは現代的で、想像しやすい。ここに竜とエルフがどのように関わって来るのか、序盤では想像がつかず意外性を感じた。

ワインや料理について学ぶことが多く、丁寧に描かれている印象が強い。来店客の話は恋愛に関する話。はじめはその話題が出たことを、バーにありがちな話題の展開でリアリティを出そうとしているのだろうかと、勘違いしてしまう。
客である彼女たちの話を聞いているうちに、その話題が物語で重要となるであろう、騎士について語られていることに気づく。
この物語の世界の中で、騎士とはどんな人たちなのか。主人公を取り巻く人々は、一体どんな人たちなのか。言動や話題、見た目など、色んな部分から自然に明かされて行く。とても巧い流れだと感じた。

【登場人物・物語の魅力】
主人公は時折寂しそうに感じる部分がある。その理由について、作中で明かされていく。
この物語では、一気に登場人物が増えるということが無い。じっくりと、各人物の魅力や性格や容姿、考え方が分かり、そこに新たな登場人物が加わるという流れだ。

主人公は容姿が優れており、他人から憧れを抱かれるような人間ではあるが、悩みもあるように感じる。しかしどんな優れた人間にも、それなりに悩みは付き物。しかし主人公は、現在の彼の様子からは想像できないほど、辛い過去を抱えていたのである。

一章では主に、主人公とマスターの視点で進む。二人の視点から主人公がどんな人物か明かされていく。
バーに通う人たちもそれぞれ魅力的に描かれており、温かい気持ちになったり優しい気持ちになったり、主人公の魅力にドキドキしたりもする。

【物語のみどころ】
この物語では、魅力的な主人公の心情やそこで働く姿、バーに通う人々が魅力的に描かれており、彼らの会話から舞台がどんなところなのか分かってくる。
主人公と周りの人々との繋がりや、関りを丁寧に描いた物語だと感じた。しかし、一章はまだ物語の始まりに過ぎないのでないのだろうか。

恐らくエルフと出逢ってからがターニングポイントととなり、本当のはじまりなのではないだろうか?(第6節三話まで読了)
この時点では、まだプロローグの意味は分かっていない。もしかしたら明かされているのかも知れないが、はっきりと明確にこれだと言うことは出来ない。なのでこの先、その謎についても明かされていくのではないかと思われる。

あなたもお手に取られてみませんか?
魅力的な主人公やマスターには、まだ明かされていない何かかがあるように感じます。彼らがこの先どうなっていくのか。主人公はエルフと出逢い、どのような運命をたどるのかをその目で是非、確かめてみてくださいね。
お奨めです。
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