結界魔術師ロイスの憂鬱〜パーティから追放された俺。(略)

文字数 1,868文字

日向はび 様作

【あらすじ引用】
結界魔術師のスペシャリストであるロイス。
魔界への転移魔術を当てにされて勇者一行と共に行動していたが、魔界に入った途端に勇者と喧嘩してパーティから追放されてしまう。
結界魔術なしで魔王に挑むとか無謀だろ。と思いつつ、趣味の遺跡探索をはじめていた。
そんな彼の前に現れたのは一人の金髪の少女。
彼女は言う。
「取引しましょう」
紆余曲折あって、ロイスは彼女の望みを叶えることになるが、以来付きまとわれることに。そんな彼女を煙たがるロイスだったが、突然魔王が襲ってきて──?

魔王から追われ、勇者から恨まれ、指名手配されて人間からも逃げる羽目になったロイス。ともに行くのは何故かつきまとう少女だけ。


これは結界術のスペシャリストと魔王の娘の逃亡劇。そして紡がれる秘密と信頼と友情の物語。

【物語は】
主人公と思われる、ある魔術師が少女から取引きを持ちかけられるところから始まっていく。冒頭の主人公の心情から考えると、不本意な結果になってしまい困っていると感じた。そして、この状況に至ったまでの経緯に想いを巡らせるのであった。一体、彼に何があったというのだろうか?

【彼らの印象】
確かに勇者と主人公は仲が悪く、一見相性が悪いように見えるが、いい方が刺々しいのであって、互いに相手のことを想いやっているように感じた。勇者は、素直過ぎる単純な性格なのではないだろうか?
すなわち、相手の意図を理解することのできないタイプの人間。いうことを全く聞いていないように見えるが、そうではないのでは? と感じた。しかし、タイトルから想像すると、この二人はどうあっても並行線なのだろうと思う。

その後、タイトルの通りパーティを追放されてしまう。この時の彼は、自尊心が傷ついているように見えた。心の何処かで、彼らに必要とされていると思っていたに違いない。自分の中の葛藤と戦いながら、彼は何とか気持ちを切り替える。そして、本来の目的へと方向転換するのである。
ここからが本当の始まりなのかもしれない。
とても面白い作品であると感じた。

【世界観・舞台の魅力】
オリジナル設定の部分が特に面白いなと感じた。
主人公は、はじめの方こそ優秀さよりも性格や個性が際立つ。しかし勇者と別れた後は、単独行動する機会がある。それは彼の能力について分かりやすい場面でもある。物語を読み進めていくと、主人公はかなり優秀な人物であることも分かってくる。
この世界では、魔法の原理が明かされておらず、呪文だけが伝えられているという設定。その中で主人公は独自に研究をし、オリジナルの魔法が使えたりする。それは、魔法の応用ということらしいが、内容が変わっている。
しかし、論理的な部分が非常に面白いのだ。

この物語は、一人称でありモノローグで進んでいく。主人公の心理が手に取るように分かるところや、戦闘描写が非常にカッコいいところも魅力である。

【新たな出会い】
主人公は、勇者のパーティから追い出されたのち、ある少女と出逢うことになる。こちらも一見相性が悪いようにも見えるのだが、似た部分を持っている為、上手くいくのではないか? と思ってしまう。タイトルには振り回されるとあるので、何か事情があって逃れられない運命とも受け取れるが、それは少し物語が先に進むと見えてくる。

【物語の見どころ】
あらすじにもある通り”これは結界術のスペシャリストと魔王の娘の逃亡劇。そして紡がれる秘密と信頼と友情の物語。”主人公が、魔王の娘と信頼や友情を築いていく部分が一番の見どころだと思う。
主人公は、確かに人との接し方は上手くはなかったが、それなりに自分は任務がこなせると思っていたはずだ。しかし、勇者と言い争いになりパーティを追い出される。元々別な目的があったとしても、やはり心の何処かでショックを受けたのではないかと、感じた。

そんな彼は単独行動が性に合っていると思っている。人づきあいは決して得意そうではない。しかし、お人よしではあるのだ。誤解を受けやすくても、今まで庇ってくれる人はいなかったのではないだろうか?
そんな中、魔族の少女と出逢う。初めは世間知らず(これは環境が違うので当たり前だが)の彼女に振り回され、面倒だと感じることもあるだろう。しかし、彼女と行動を共にするうちに、別の想いが産まれていくのではないだろうか? そして、いつしか友情や絆が芽生えるのではないかと想像する。
あなたもお手に取られてみませんか?
彼らがどのようにして、友情や絆を築いて行くのか、是非その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。
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