時をかけるトロ (短編)

文字数 1,283文字

青海老ハルヤ 様作
【作品URL】
https://kakuyomu.jp/works/16817139557750949701

【あらすじ引用】
とある男子高校生マサトの元に、江戸時代、大正時代とトロがタイムスリップしてくる。
自分勝手で強情のくせして、ちょっぴり面白い。そんなトロにマサトは振り回されていくが……?


【読む前の印象や予想など】

 このあらすじの書き方はとても想像力を掻き立てるものだと感じる。
 時代ごとタイムスリップしてくるのか?
 それともトロが江戸時代と大正時代を越えてきたのか?
 二つの予想がつけられるからである。
 ここで、トロをどんな存在だと想像するかによっても更に想像が広がると思う。
 読者にとって想像力と好奇心を刺激するあらすじだと感じた。
 しかしながら、タイトルは”時をかける”なので時代も一緒にやってくるということはなさそうである。

【物語は(どのように始まっていくのか?)】
 
 出だしからびっくりの展開で、まさかそんなところにトロがいるのか? と吹いた。主人公の元へやってくるとは分かっているが、何処に来るのかは明かされていないのでインパクト大、衝撃的である!
 感じ方は人それぞれだろうとは思うが、自分は十分惹きつけられた。
 主人公の元にやって来たトロ。それは主人公にとっても衝撃的であったようで、現代らしい反応を彼がするのが印象的である。このようにして衝撃の出会いを果たした二人のエピソードは始まっていく。 

【良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど】

 トロの初セリフが好きである。
 時代を越えてきたというだけあって、今の文化を知らないと考えると”過去から来た”ということにリアリティを持たせていると感じた。

 これはコメディなのだろうか?
 トロが全体的に面白くて魅力的である。
 感情移入というか、主人公の立場に立ってトロの話しを聞くことの出来る物語。それは恐らく、年代関係ないと思われる。
 あっけにとられたり、驚いたり、笑ったりと感情を動かされるところも好きである。

 最後まで読むと感動するし、メッセージがたくさん詰まった良作だと気づく。

【作品の感想】

 初めは笑ったりびっくりしたりして読んでいたのだが、何故トロだったのだったのかその理由がわかったところで、凄く感動する。
 4000文字の中に詰まった物語は、凡人で何も持っていないと思っている人々の背中をそっと押すことが出来るだろう。
 トロが主人公の疑問や不安、不満に対して明確な答えを与える。
 主人公の想いは年代を越えて、共感を呼ぶと思う。

【物語の見どころ】
 
 やはりトロが主人公の疑問に分かりやすい例えで説明する部分が一番の見どころだと思う。コメディなのだろうか? と前半は笑いを誘うのにも関わらず後半に感動を呼び、主人公が前向きに自分らしく歩んでいこうとするきっかけを作る。
 短編として構成も巧く、感情を揺さぶる物語だと感じた。
 あなたもお手に取られてみませんか? 
 ある日突然やってきたトロが主人公に残したものが何だったのか、その目でぜひ確かめてみてくださいね。お奨めです。
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