ブルーピーシーズ(略)

文字数 2,570文字

ブルーピーシーズ ~不思議な力が発現し子種や命を狙われ迷いの中で生きた僕の半生と関わる人々の生き方~
弧川ふき 様作

あらすじ引用
 とある少年、大樹はシャー芯を増やせるという不思議な力に目覚めた。
そしてある時、仲良くなった女の子と共に森の奥地にさらわれてしまった!
拉致者の目的は大樹の遺伝情報の利用とその子供世代を自由に操ることだった。そのため子種を狙った。そこへ救助が入り、あれは組織の裏切り者達だと聞かされる。
大樹は、この力でシャー芯を減らすこともできるし、その大きさや硬さの変化、速さの変化(念動)もできると知る。鍛えれば驚異の能力。だから狙われていたのかと思い知ることに。
ただ、大樹はひっそりと暮らしたがっていた。
そんな大樹の元へ、また災難の影が、忍び寄る……。

【簡単なあらすじ】
ジャンル:アクション(文芸)、現代ファンタジー
あることをきっかけに、文字が好きだったことを思い出した主人公は、ある日試験会場でピンチに見舞われていた。筆記試験だというのにシャープペンの芯の予備が無かったのである。残りの芯だけでは心もとないと感じた彼は”シャープペンの芯が増えたらいいのに”と思う。その事がきっかけだったのか、”シャープペンの芯を増やす”能力を手に入れるのだった。誰にも秘密にしようと心に誓い日常生活を送っていたが能力が覚醒した数日後、彼は最近一緒に帰るようになった女子生徒と共に、謎の男女二人組に誘拐されてしまうのだった。果たして、彼らの目的とは?

【物語の始まりは】
ある事件のニュースを聞きながら、漢字能力検定試験へ向けて勉強をしている場面から始まっていく。そして文字が好きな主人公が、文字から離れ再び情熱を取り戻すまでの経緯が語られていく。冒頭の不穏なニュースは伏線なのだろうか? 彼の手に入れた能力がどんな風に活かされていくのだろうか?

【舞台や世界観、方向性】
SFもしくは現代ファンタジー。
誘拐されてから明かされていくが、主人公の持つ力は元はある一族で伝承(遺伝?)されていくものであった。主人公が彼らと、どんな繋がりがあるかはわからないが、詳しいことについては救助され数日たったのちに、この一族の者から教えられていく。
魔法のような不思議な力が使えるが、それはその一族の者と主人公しか使えないようである。

【主人公と登場人物について】
主人公は文字が好きだった。しかしそれをある時から、ぷっつりと忘れていたのだが、中学生となったある日”日本漢字能力検定”があるという教師の言葉を聞き、その事を思い出したのだった。
主人公は慎重派で現実主義な印象。シャープペンの芯を増やせる超能力に目覚めても、人に自慢したりはしない。人体実験される未来などを想像することから、後のことも考えることのできる人物なのではないかと感じた。
初めて話した女子生徒との会話から、真面目で誠実な印象も受ける。

【物語について】
文字への情熱を思い出してから二年後。高校生となった主人公は、漢検二級に向けて勉強をしていた。そして試験当日、主人公は自分のうっかりミスでピンチに見舞われる。シャープペンの芯を忘れてしまったのである。残数0。シャープペンに残された芯も心もとない。”超能力で増えたら……”それは切実な思いだったのかもしれないが、何故か何もないところから芯が増えたのである。動揺しつつ、もなんとか試験を無事終わらせて帰宅する彼。帰宅後、この現象の検証に入るのであった。
どうやらこの増やせる能力は、シャープペンの芯限定のようである。彼はその能力を誰にも話さないと心に誓ったのだった。

学校ではパソコン部に所属している主人公。その日も部活が終わり帰ろうとしたところ、同じクラスの女子生徒とばったり出くわす。一緒に帰ることになったものの、彼女とはそんなに会話をする機会があったわけでなく緊張してしまう。お互いにさぐり合うような会話になってしまったが、主人公は彼女に好感を抱いていた。しかしまたそんな風に一緒に帰ることはないだろうと思っていた。だが翌日も帰りが一緒になる。偶然が重なり、二人の距離が縮まるかと思いきや、学校の門を出たところで男女二人組に”手伝ってほしい”と声をかけられ、荷物運びを手伝おうとしたところ誘拐されてしまうのであった。

【良い点(箇条書き)】
・覚醒した超能力についての検証の場面が細かく、丁寧である。
・主人公が誘拐された時の心情や葛藤、焦りに臨場感がある。
・心情や、状況説明が丁寧であり、分かりやすい。
・二人の関係は急展開にも感じるが、主人公の心情が丁寧であり、想いが募っていくのが伝わって来るので、とてもしっくりくる関係だなと感じた。とてもお似合いの二人である。
・主人公の心理描写と会話などのバランスが良い。
・世界観の設定がとても細かく、驚く部分もあるのだがそれが分かりやすく丁寧に描かれている為、好奇心が刺激される。
・説明部分が多いものの、テンポが良く展開が早い。

【備考(補足)】14ページまで拝読。
【見どころ】
シャープペンの芯が増える能力というと、一見とても地味で何ができるのだろう? という印象を抱くが、この物語で主人公が巻き込まれていく要因については壮大である。超能力としては確かに小さな力かもしんれないが、それがどんな力なのか明かされないまま、ある組織を裏切った者たちに誘拐されてしまうのである。彼らとの会話の中で、主人公の力が恐れるような凄いものだと誤解しているのではないか? という印象を受ける。
好いた相手を助けるために、いろいろと会話を通して試みる主人公だが、自分がどんな能力を持っているのかは明かさない。恐らく、本能的に自分の力について明かすのは危険だと感じたのではないか? とも思う。
主人公は論理的であり、いざとなれば冷静。戦略的な印象も受ける。自分にどんな知識が必要で、それがどんな取引材料になるのか? まで冷静に考えられる部分も持つ。異能力自体は地味ではあるが、彼の思考部分や世界観設定がとても面白い物語であると感じた。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 一度は組織の人間に助けられた主人公ではあるが、まだ安全とは言えない状態。この先どんなことが待ち受けているのか? その目で、是非確かめてみてくださいね。お奨めです。
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