物語終了課 

文字数 2,192文字

lachs ヤケザケ様作

あらすじ引用
ご自宅に未完の物語はございませんか?
エタった物語は時に暴走して、人を飲み込みます。
そのため、『物語終了課』の公務員たちが物語を終わらせるため日夜励んでいる。
そんなコメディです。

三十路の主人公が、 物語を終わらせるために主人公を殺したら転生されたり、 作家の必要性の感じない盛られた設定に苦労されたり、 物語を未完のままにさせるべく活動する女子高生にスト―カーされる話。
未完の物語によってジャンルは様々、ミステリー、VRMMO、ゾンビもの、異世界転生。
色々なあるあるあり。
六章からはラブコメ要素も入って来ています。

【簡単なあらすじ】
ジャンル:現代ファンタジー
未完の物語は時々暴走する。それは一般人には知らされていない真実。それを食い止めるため架空の公務員、『物語終了課』の人々が活躍する物語。主人公は仕事以外にもいろんな難題に直面していく。

【物語の始まりは】
物語終了課がどんなところでどんな仕事をしており、どんなタブーとルールがあるのかが明かされるところから始まっていく。

【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】
簡単に説明すると、未完の作品を強制終了させる仕事が物語終了課。
しかしそれにはルールが存在する。例えば昔話によくある”めでたしめでたし”で終わらせてはいけないなど。
仕事が山積みなのだろう、10ページ以内に終わらせているものがほとんどで、主人公曰く”物語が好きな人はこの課に向かない”ようである。その理由は作中にて。納得の理由である。
ポメラとは……キングジムが製造販売するデジタルメモのことらしい。商標登録されている。この課では4つのアイテムを常時携帯して置かねばならないようだが、その内容が変わっている。
未完作品は時々暴走する。
クラムボンとはなにか?  宮沢賢治の短編童話「やまなし」に登場するもの。何を指すのかは判然としない。(Wikipedia調べ)

【主人公と登場人物について】
物語終了課は架空の課であり公務員のようである。
主人公は文部科学省の下、地方文化局の物語終了課の係長。
物語を強制終了させるお仕事をしているが、人情味があり優しい人でもある。

【物語について】
主人公の所属する課に新人が入り、彼女に仕事を教えるところから展開されていく。彼女は物語が好きらしく、事前にこの課についていろいろ下調べ済みのようだ。だが恐らく、彼女の知らないことは存在する。
主人公が新人への説明の最中に問題が発生。その理由こそがこの課の存在意義であり仕事内容の一つでもあるようだ。つまり何故、未完の物語を終了させる必要があるのか? ということ。

一話での面白いところは、プロットの立て方をミスすると自分の首を絞めるということが改めて学べるところである。コメディではあるが、創作をしている人たちにとっては共感を得ることも多いだろうし、教訓にもなるのではないだろうか? ラストに悩むという人は数多くいると思う。それこそ、何処までいっても終われない、気づけば100万文字。このままでは200万文字も行きそうなど。終れない理由、終わらせるためにはどうするべきだったのか? を学ぶこともできるコメディだなと感じた。その上、かなりの知識がないと書けない物語でもある。全体に笑いながら創作について学べる作品。

【良い点(箇条書き)】
・設定が細かく、縛りがあるのが面白い。
・コメントを見ていると、みんなで頭を使うという方向に行っているのが面白いと感じる。作品を読んでアイデアが湧くというのは、正に物語を書こうとする原点。通常物語というと読者向けだが、作家向けでもあるというのは珍しいと感じた。
・物語の主人公と話すということは、なかなかないと思う。物語の中に入るとはどういうことなのか? が体験できる作品だ。
・創作論も学べる物語である。
・主人公の思考を辿り、一緒になって思案に耽る物語というのは、ミステリーではよく見かけるがコメディを含む物語では珍しいと感じた。
・物語自体の設定が活かされているので、無茶な終わり方ができないというのも面白いと感じた。

【備考(補足)】9話まで拝読
【見どころ】
この物語は、一見物語を終わらせる側主体に感じられるが、とても奥が深く”物語の主人公にとっての幸せとは何か?”を考えさせられる物語である。それはきっと、本当の意味でのハッピーエンドなのだろう。物語とは設定や人物の背景、世界観などによって作者が任意で考えているのとは別に、ナチュラルな人生というのが存在すると思う。
例えば、異世界転移した人物が、そこに居たいのか? それとも戻りたいのか? 性格や境遇によって違うなど。作者というのは、自分の作り上げたシナリオ通りに物語を進めていく。しかしもし、登場人物に自分の意志があったなら、その意思を無視している物語も存在するはずだ。それはすなわち、設定に対して不自然な物語ということ。
物語においてのリアリティとは、舞台や設定に対して作られるものである。違和感が生じたら、不自然さがあるということ。そんなことを改めて考えさせられる作品でもあるし、物語を紡ぐということに責任を持たなければならないということにも改めて気づかされる。笑い、面白さ、感動、驚き、閃き、そして学びの詰まった物語という印象。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? おススメです。
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