夢屋

文字数 1,292文字

蝦夷縞りす様作
【作品URL】
https://novelup.plus/story/495403297
https://ncode.syosetu.com/n8000hp/

【あらすじ引用】
 飄々と、どこか人を食ったような雰囲気のその男。
 無精ひげを生やし濃紺の着流しに草履履き。着流しの上、肩から掛けた黒い印半纏。両襟の中ほどに達筆かつ情緒あふれる白文字でこう記されている。

 夢屋、と。

 ありきたりな街でごく普通の日常を繰り返す十七歳の麻衣子。
『夢屋』を名乗る男が売る夢の小瓶に魅せられたことで、麻衣子の日常は崩れていく。

 少し不思議な、夢を売る男と、麻衣子の心の物語。


【物語は】
 いつもの街でいつもと同じような日々を過ごす少女のモノローグから始まっていく。彼女は”変らない毎日”を好んでおり、この日もきっと同じ日常を送るはずだったのだろう。そんな彼女の目に留まったのは”夢屋”の文字だった。
 好奇心の赴くまま男に近づいていくのだが……。

【主人公と街並み】
 ノスタルジックな街並みを思い浮かべてしまう。
 しかし”いつもの”に違和感を覚え始める。
 ジャンルはファンタジーであり、タグには現代ファンタジーとある。現代が舞台であるのだろうと想像するが、読み進めていくと”おや?”と思う会話に遭遇する。
 ”夢”の部分がファンタジーだと思っていたが、もしかしたら違うのかもしれないと。
 主人公の言葉に、夢屋の男は”そうかい”としか言わないので、その違和感は解消されぬまま展開されていく。恐らくどこかでその謎は明かされるのだろうが、とてもミステリアスだ。

【夢屋と真実】
 この不思議な男がどこからやってきて、何処へ向かうのか明らかにはされていない。しかし男の言うことを信じるならば、主人公次第なのだろう。
 文中には、どちらにも取れる言い回しがあるため別の可能性も考えられる。
 夢屋に出逢うまでにも伏線と感じる部分は多いが、あることをきっかけにして、何故主人公がこの街にいるのか? この街はなんなのか? 明かされていく。
 徐々に雰囲気が変わっていく作品である。

【物語の見どころ】
 冒頭の方から、恐らく伏線がちりばめられている。
 ラストはタグにもある通りハッピーエンドとはなるが、彼女の心の変化に焦点があてられた物語だと思う。
 この状況になるまでに何があったのかは後半の方で分かるが、
 彼女が望んだことはなんだったのか?
 どうすれば良かったのか?
 そんなことも考えさせられる。
 この物語を読んで、”自分自身と向き合い、他人と本音で話せば未来が変わっていく”というメッセージを感じた。
 思っていることは伝えて初めて意味がある。自分一人で他人の気持ちを決めつけても、何も伝わらないということ。
 
 主人公は既にそのことに気づき、このままではいけないと思っていたに違いない。
 自分が変わらなければ、何も変わることはないということに改めて気づかされる物語です。あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
 純文学が好きな方にもおすすめしたい物語です。
 あなたならこの物語の先をどう想像するだろうか? 
 お奨めです。
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