第79話 意識開拓は今日から始まる

文字数 2,068文字

入会した人に、入会した動機を書いて頂いた。
頂いたアンケートは期待していたものだった。
そこにはチラシに対する努力の結果が表れていた。

「教室のパソコンは壊してもいい。この言葉で行く気になった。」
「何度聞いても親切に教える。安心できます」
「スタッフ紹介を見て、講師の人柄がよさそうだなと思った」
「年をとると優しく教えてもらわなければできないよ」
「教室のパソコンは壊してもいいから。これで安心した」
「先生の顔と紹介内容を見て、何か安心できそうな感じがした」
「以前父が通っていた。今回のチラシを見て父に進められた」
「先生の感じがよかったら入ってみようかなと思った。」
「チラシ全体に親切そうな感じがした」
「通りの幟旗見て前から気になっていたんだけど、今回のチラシで思い切れた」
「主人に、お前、行って様子見てこいよといわれた」
「やはり教えている人の人柄ですよね。チラシをみれば大体わかりますよ」
「もういい年で手が震えますが、優しく教えてもらえそうだからと思いました」
「中高年が多い教室ですという言葉で安心できた」
「通りがかりで教室を見ていたが入る勇気がなかった。
 今回のチラシで教室の様子がわかり思い切れた」
「4年ぐらい前に一度来たことがあるんですけど、中途半端で終わっていた。
 このチラシをみて思い出し、もう一度やってみようかなと思った」

チラシの言葉に私の思いが込められていたのだ。
言葉には魂がある。魂が人の心に飛んでいく。
見えない力は自分の心の中にある思いなのだ。

この期待に本心から応えていかなければならない。
チラシ通りの教室でなければ入会しない。
誰も期待外れの教室に来る人はない。
主婦や中高年の方にとってパソコンの優先順位は極端に低い。
この評価はたった一カ月もあれば決まってしまう。
チラシに嘘があれば2度とこの教室に来なくなってしまう。
私の本当の意識開拓は今日から始まる。

教室の予約予定表はほぼ来月まで埋まっている。
すべての繁栄と衰退は自分の意識の中にある。
また同じような危機が来てもまた乗り越えられる。

2021年2月10日(水)
あれからさらに15年。現在でもパソコン教室を継続しています。
あの時から始まった「パソコン便り」も160回になりました。
この作品を書いたのが2006年でした。
それからも、廃業の悪魔は手を変え、品を変え何度も襲ってきました。
その都度 時代に合わせた改善や創意工夫で乗り切ってきました。
いつの年代も永遠に安定という事はありませんでした。

次の廃業の危機の悪魔ははもうすでに姿を見せています。
目前の廃業の危機はこのコロナ禍をどう乗り切るかです。
さらに確実に迫っている廃業の危機は自分自身の老齢化です。
すでに72歳。いつ辞めてもおかしくありません。
だんだん受講生が減り、やむなく廃業する事態になるかもしれません。
見えない力から授かった天職のような職業です。まだずっと続けたい。
それでも辞めるときは自分の意思で辞めます。そして幸せな老後の人生を送ります。
幾つもの過去の危機を乗り越えてきた褒美に「幸せ」という退職金を頂けそうです。

教室を継続してきて、大事な事を実感しました。これが人生の原理原則と思います。
「幸せ」は全て人から頂いているという事でした。
自分の幸せを望むなら相手の幸せを望むこと。私が実感した「幸せ」の真理です。

自分がうまいものを食べた時の幸福感より、相手にうまいのをさし上げる。
相手に感謝された時のほうが比較にならないくらいの幸福感があります。
ほめられると幸せに感じます。人をほめて喜ばれるともっと幸せな気分になれます。
人は相手の言葉によって辛くもなり幸せにもなれます。
言葉や文字は相手に幸せを送る愛です。言葉や文字は心の中から出てくる力です。
一つの言葉によって相手の人生を変えてしまうくらいの力があります。
感謝し感謝される言葉のやり取りが、人間社会のあるべき姿のような気がします。

こうして過去の思い出を作品にして投稿するのも楽しい人生を送るための工夫です。
読む人の期待を考えながら書く事もあります。
自分の自慢話を書くこともあります。
ほめてもらおうと書く時もあります。
自分の気持ちを知ってもらいたいというエゴで書く時もあります。
愚痴を聞いてもらいたいという気持ちで書く時もあります。
書いた作品を誰かに読んでもらえることを想像して書いています。

何もしないで漠然と生きるよりは充実感があります。
どんな反応でもいい、けなされても褒められても満足感があります。
話を聞いてもらえると嬉しいものです。幸せな気持ちになります。
偶然の幸せを待っているより自から「幸せを作る」工夫をしています。

自分の書いた作品を何回も読み誤字脱字を修正しながら書き直します。
だんだん作品の完成度が上がっていきます。またそこに喜びや充実感を感じます。
この作品一番が好きな読者は自分だと気付きました。
時間を忘れてやっています。辛いとか幸せとか感じないで時間が過ぎていきます。
究極の幸せとは、幸せなんて考えずに夢中で何かに没頭していることなのでしょう。
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