第27話 パソコン教室設立計画

文字数 1,339文字

2001年5月下旬
鴻巣のパソコン教室で教え方のノウハウを身につけた。
25歳年下の先輩。下田さんの協力が得られることとなった。
一人娘のヨーコにうまく取り入って設立資金も確保できた。
運命のような成り行きで教室となる店舗も見つかった。
これからはパソコン教室設立計画の作成だ。

いよいよ本番。これをいい加減にするとすぐにつぶれる。
つぶれるとかっこ悪い。それ見たことかと笑われる。
絶対に笑われたくない人が3人いる。
一人は前の会社の上司「脅しの大前田常務」
「早川、飲み会でだいぶ俺の悪口を言ってたんだって」
「なんで、知ってんの!」
「そりゃあ、わかるよ。俺は地獄耳だよ」
「あ、あの金野だな」
「誰だっていいよ!」
「上司の悪口が飲んでて一番盛り上がるのっ!」
「そらあ、わかるけど、少しは俺のことも考えろよ。」
「なんで俺を部長にしないの!」
「お前は、協調性がないからだよ」
リストラで会社を辞める時も、かっこうのいいことを言ってしまった。
「自分の人生ですから、最後は自分で選びます」
いつもため口をたたいていた。私が万年部長候補だったのもこの辺が原因だ。
この人には絶対笑われたくない。

二人目は金を貸してくれなかった「半業農家のプータロー、ヒロシ」
たった1歳先輩だけなのに結構えらそうにお説教をしてくる。
飲み会ではいつもこのヒロシのストレス解消役になってしまう。
「何かあれば、俺に相談しろよ」
先輩面して飲んでたくせに。その何かあればが、今なんだよ。
畑を少し売れば100万くらい簡単にできるのに、貸してくれなかった。
このヒロシには絶対に笑われたくない。

三人目は私のことを信用していない「女房のケーコ」
いつもは自分に関心がなさそうだが、お金の事となると目つきが変わる。
根掘り葉掘り聞いてくる。これで諦めた事も多かった。
望遠鏡はとうとう買ってもらえなかった。
ある日、パチンコで高額な望遠鏡を取ってきたら馬鹿にされたことがあった。
自宅はマンションの3階だ。


「こんなもんで人のうち覗いちゃだめよ」
「ほ、星を見てただけだよぉぉ!」
私は妻に信用がない。それはいいが「パソコン」と「パチンコ」は似ている。
「パソコン教室」「パチンコ教室」チラシを作るとき気をつけないとやばいな。

携帯電話もいまだに持たせてもらえない。
「携帯電話を持っていないのは、日本で俺一人だよ!」
「でも、使わないでしょ!」
「使うよ。友達が一人いるよ!」
「一人だけでしょ!」
まあいっか。はっきりいって困っていない。たまに困るのはその友達だけだからな。
大前田常務とヒロシとケーコ。この3人には絶対に笑われたくない。

これから1ヶ月間パソコン教室設立計画に入っていく。
ライバル情報の分析、運営方法、広告宣伝、学習内容、テキスト作成。
パソコンと周辺機器の購入。教室什器とレイアウト、各種書類の作成
細分化すると相当な項目になる。
ここでも断食道場で鍛えた忍耐力を使用する。やれば必ずできる。
できるまで続ける。この不屈の忍耐力で事業化構想を具体化していく。

今年で51歳になる。これで失敗すればあとがない。
まだ燃え盛る闘志があるうちに、潰れないパソコン教室の基礎作りをしておきたい。
これから1日に12時間。計画書の作成に入っていく。
もう止められない。見えない力が動き出す。
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