第63話 諦めた時にここは終わる

文字数 1,315文字

もう一度教室再生の道を探してみよう。
どんな企業でもこういう状況はあると思わなければならない。
生き残るか倒産するかは経営している責任者の頭の中にしかない。
私が諦めたら明日から廃業する。諦めなければ苦しくても明日も続く。
もう見えない力には頼っていられない。
今までの教室は終了し。考え方をゼロにして時代に合わせたパソコン教室にする。
これからは自分の思いをすべて形にしていく。偶然という見えない力には頼らない。
自分の創意工夫でこの寂しい教室を、活気にあふれた教室に変える。


自分の気持ちを折込チラシの中に凝縮して表現する。
新しい看板も以前よりも大きく目立つようにする。テキストも改善する。
来てくれる人へのメッセージには、自分の熱い気持ちを伝えられるようにする。
生徒との交流で継続の方法を見つけていく。自分にはパソコンの講師しかできない。
“先生”というより、“お世話係”という気持ちで接するようにする。

来年1月からはこのパソコン教室を終わりにし、新しい教室を同じ場所に開校する。

<自己管理方針>を決め初心を忘れないようにする。
新しいことに挑戦し続ける(常に見直しする)
有形無形のお土産を提供し続ける(イラスト・写真・音楽・メンテナンス)
お客様を待たせない工夫を常に実践する(壁紙やプリント、楽しい例題)
感謝の気持ちは、誠実・親切・丁寧な教え方でお返しをする
感謝の気持ちでこちら側から行動する(話題を提供する)
常に自分を反省する(横柄ではないか・集中しているか・清潔か)
お客様は満足しているか不満がないか自問する
改善項目・便利技・面白い情報・気づいたことはすぐにメモをしておく。
無料テキストは不足していないか、取出しやすいか、かすれてないかチェックする。
常に清潔さ、新鮮さ、楽しさを感じられる教室かをチェクしているか。

教室の盛衰は運営する人により変わり、時代と共に変わっていかなければならない。
いつの時代にも通用する運営方法はなさそうだ。
人生の岐路に立った時には必ず見えない力が働いているような気がする。
ある人物を通して、見えない力が進むべき道を示唆してくれる。
今回は見えない力には頼らない。すべて自分のアイデアと決断で行う。

教室開業の時の下田さん。教室継続の時の寺田の声は見えない力の声だった。
人の口を借りて私の進むべき方向を教えてくれた。
見えない力は毎回都合よく援助はしない。怠惰で楽な生活はさせてくれない。
有頂天になると苦しみを与えてくる。
たいした能力もお金もない平凡な自分が失業してからここまで来られた。
今日までこんな生き甲斐のある人生を送ることが出来た。

この危機は当然来るべきものがきたのだ。次のステージへの試練と思えばよい。
苦しみや悲しみを乗り越え、さらに充実した人生を送るための暗示かも知れない。
見えない力からの優しい贈り物かもしれない。

教室の再生が自らの力でできるのか。廃業の運命は変えることはできないのか。
若くはないこの心身が、燃え尽きるまでやって悔いのない人生にしよう。
もうすでに56歳。廃業の不安はいつも頭の中で堂々巡りをしている。
あとは自分との戦いになっていく。

小さな教室 小さな自分 自分があきらめた時にここは終わる。
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