第75話 パリで夜遊び
文字数 1,365文字
フランスの冬は本当に寒くて、そして夜が長くて…鬱になる人も多いらしい。
その時は環がうちに来ていて(よく環はレンヌからうちに遊びに来ていた)、「夜遊びしよう」と言うことになった。
夜遊びと言っても男を引っ掛けるとか、踊りに行くとかそういうのでなくて、
「夜にジャズを聴きに行こう」と言う、全く健全な夜遊びだ。
ちょっとおしゃれなことがしたくなるお年頃ってあるでしょう? それです。
環が地元新聞みたいなのから、何軒かジャズバーをピックアップしてくれて、値段とか場所とかを考えて、確かサンジェルマン付近だったかな?(本当に覚えていない)
小さなカフェバーに行くことになった。
二人でわくわくして、おしゃれして出かけたような気がする。しかしフランスの夜は本当に遅いので、確か夜遅くから始まったような気がする。気がするばかりでごめんなさい。
小さなカフェはごくごく普通の昔からあるカフェという感じの店で、それでも一人だったら入るのに躊躇してしまいそうだったが、環はぐんっと扉を押して、中に入っていった。
女主人のような人が笑顔で迎え入れてくれた。ここまでは完璧だ。思い描いていた、夜遊びだ。
薄暗い照明でピアノのおじいさんとウッドベースの若い女の子が二人でジャズを演奏している。おじいさんは往年のジャズピアニストらしくCDも出していた。
お店のお客さんの中で、常連さんなのか、年配のショートカットの女性が一人で来ていて、彼女はシャンパンと生牡蠣を頼んでいた。なぜかそれはしっかり覚えている食いしん坊な私。
それがたまらなくオシャレに見えた。私たちは白ワイン(一番安いもの)とチーズくらいだったと思う。何を食べていたのかは全く記憶にないが、とりあえず、その素敵なマダムが食べていた牡蠣を凝視していたのか、それだけはしっかり覚えている。
ピアニストのおじいさんはジャズ歴何年と言った風格を装い、演奏をしている。対して若い女の子は割と自分の世界に張り込んでいて、この二人は息が合っているのだろうか、と少し思ったが、ジャズに詳しくないから、そこら辺はよく分からない。
全くジャズがなんなのか分からないけれど、ただオシャレなことをパリでしている、ということが、楽しくて、満足できた。しばらくそこで滞在したが、始まるのが遅かったからか、終わった頃にはメトロは無くなっていた。
タクシーに乗ってもパリは安全なのだが、私たちは若くて、無駄に体力があった。
「歩いて帰ろう」
「そうしよう」
パリの街は何というか、歩きたくなる街なのである。しかし結構な真夜中。
環が女二人は危険なので「変な人を装おう」と言った。
ちなみに彼女は私より若くて、可愛くて、某有名私大フランス語学科卒業である。その環が突然、ガニ股になり「うぉぉぉぉぉ」と低い声で雄叫びを上げながら、歩き始めた。
夜中の道でそんな女がいたら、間違いなく警戒される。
私も横で同じようにやってみた。
「うぉぉぉぉぉ」
いや、本当におかしいから。うっかり笑ってしまう。笑いながら、夜中のパリを歩く。
オシャレなことしたかったんじゃなかったの?
最後はやっぱり私達らしいというか…。
小一時間歩いたくらいで小さな部屋まで無事に戻ってこれた。夜の散歩まで楽しめて、最高のおしゃれで楽しいデートができた。
その時は環がうちに来ていて(よく環はレンヌからうちに遊びに来ていた)、「夜遊びしよう」と言うことになった。
夜遊びと言っても男を引っ掛けるとか、踊りに行くとかそういうのでなくて、
「夜にジャズを聴きに行こう」と言う、全く健全な夜遊びだ。
ちょっとおしゃれなことがしたくなるお年頃ってあるでしょう? それです。
環が地元新聞みたいなのから、何軒かジャズバーをピックアップしてくれて、値段とか場所とかを考えて、確かサンジェルマン付近だったかな?(本当に覚えていない)
小さなカフェバーに行くことになった。
二人でわくわくして、おしゃれして出かけたような気がする。しかしフランスの夜は本当に遅いので、確か夜遅くから始まったような気がする。気がするばかりでごめんなさい。
小さなカフェはごくごく普通の昔からあるカフェという感じの店で、それでも一人だったら入るのに躊躇してしまいそうだったが、環はぐんっと扉を押して、中に入っていった。
女主人のような人が笑顔で迎え入れてくれた。ここまでは完璧だ。思い描いていた、夜遊びだ。
薄暗い照明でピアノのおじいさんとウッドベースの若い女の子が二人でジャズを演奏している。おじいさんは往年のジャズピアニストらしくCDも出していた。
お店のお客さんの中で、常連さんなのか、年配のショートカットの女性が一人で来ていて、彼女はシャンパンと生牡蠣を頼んでいた。なぜかそれはしっかり覚えている食いしん坊な私。
それがたまらなくオシャレに見えた。私たちは白ワイン(一番安いもの)とチーズくらいだったと思う。何を食べていたのかは全く記憶にないが、とりあえず、その素敵なマダムが食べていた牡蠣を凝視していたのか、それだけはしっかり覚えている。
ピアニストのおじいさんはジャズ歴何年と言った風格を装い、演奏をしている。対して若い女の子は割と自分の世界に張り込んでいて、この二人は息が合っているのだろうか、と少し思ったが、ジャズに詳しくないから、そこら辺はよく分からない。
全くジャズがなんなのか分からないけれど、ただオシャレなことをパリでしている、ということが、楽しくて、満足できた。しばらくそこで滞在したが、始まるのが遅かったからか、終わった頃にはメトロは無くなっていた。
タクシーに乗ってもパリは安全なのだが、私たちは若くて、無駄に体力があった。
「歩いて帰ろう」
「そうしよう」
パリの街は何というか、歩きたくなる街なのである。しかし結構な真夜中。
環が女二人は危険なので「変な人を装おう」と言った。
ちなみに彼女は私より若くて、可愛くて、某有名私大フランス語学科卒業である。その環が突然、ガニ股になり「うぉぉぉぉぉ」と低い声で雄叫びを上げながら、歩き始めた。
夜中の道でそんな女がいたら、間違いなく警戒される。
私も横で同じようにやってみた。
「うぉぉぉぉぉ」
いや、本当におかしいから。うっかり笑ってしまう。笑いながら、夜中のパリを歩く。
オシャレなことしたかったんじゃなかったの?
最後はやっぱり私達らしいというか…。
小一時間歩いたくらいで小さな部屋まで無事に戻ってこれた。夜の散歩まで楽しめて、最高のおしゃれで楽しいデートができた。