第68話 グレックとケバブ

文字数 1,119文字

 Mちゃんが「グレック美味しいけど、食べたことある?」と聞いてきた。
「グレックって何?」
「ギリシャ料理」という訳で、早速食べに行った。

 グレックとケバブは似ているのだが、パンが少し違っていた。でも後は回転する棒に肉を巻き付けて、それをくるくる回して焼いてカリッとした肉をパンで挟む。
 そこにはサラダとなぜだかフライドポテトがこんもりはさまれる。

 マクドナルド(ちなみにフランスでは大阪風にマクドと省略形される。ちなみにパリジャンたちはエスカレーターも大阪人と同じ右側に立つ)のポテトの三倍はあろうかという太いポテトがこんもりあって、幸せの食べ物だ。マクドナルドよりも数倍腹持ちがよく、一日、それを食べていたら晩御飯は特に必要ないのではないか、というくらいお腹がいっぱいになる。
 肉、主食(パン)、野菜+ポテト…。一食で全ての栄養素が賄えるドリーム食品だ。

 グレックはギリシャ人がやっているサンドイッチで、ケバブはトルコ人らしい。
 トルコとギリシャは近い国だけあって、仲が悪いらしい。トルコ人はとっても親日家であることは知られている。じゃあ、ギリシャは? と思うことがあった。

 ギリシャ人の知り合いをニースで知り合った恭子さんに紹介されてちょっと話したことがあった。
「ねぇ。日本人はどうして原爆を落とされたことを怒らないの?」
「え? だって…あれは…」
「あんなに酷いことをされて、どうしてアメリカに怒らないの?」
 私たちは『原爆投下されて、戦争が終わった』と歴史で習った。不毛な戦いが二発の原発によって終わらさせられたと…だから怒っていいものではない、そんなふうに捉えていた。

 実際のところ、原爆が落ちなかったらどうなっていたか…なんて分からない。現実には原爆を落された。戦争はその後、終わった。
「戦争をした日本人が悪いんだから、原爆は当然だ」
 怒るという選択がなかった。

「戦争…したから」と私が言うと、青い目の彼女はキッパリと言った。
「でもあんな酷いことは許されないんだよ」
 そんな風に思ってくれる人がいるんだ…と驚いた。彼女は知的な女性だったから、いろんなことを知っているからそう思うのかもしれない。
 でも私は自分の国について、そう思い込んでいる部分が多かったんだと気付かされた。

 トゥールではトルコの女の子がいてその子も賢かったけど、「私たち、同じアジア人だからね」と言ってくれて、嬉しかった。

 どちらの女の子も気持ちのいい女の子で、賢くて…。国同士は仲が悪いのかもしれない。でも人はどちらも本当に魅力的な人だった。
 だから…ギリシャもトルコも私はどちらも素敵な国だと思う。

 みんな仲良くなればいいのに、って色々、思いますよ。本当に。












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