第91話 フランスの結婚式

文字数 1,519文字

 言葉を習得する近道は「その国の恋人を作ること」と言われている。
 確かにそうだ。
 恋人でなくても、友達でもいいのだろうが、私はフランス人の友達がいなかった。近所のフランス人の人で結構、お腹がいっぱいで、どうしてもフランス人との友達を作りたいんだーという気持ちも少なかった。いたら言葉がもっと伸びたのかもしれない。

 あと、日仏カップルの難しさもある。日本人好きと言って、韓国人、中国人と付き合っているフランス人も多くて、日本人好きって…「日本人だったら誰でもいいのか?」と言う疑問に、「アジア人ならいいです」と言う答えを見せられているような気がして、何とも言えない気持ちになる。
「私を好き」ではなく「日本人だから」と言うところにフランス人のドリームを感じてしまう。
 まぁ、私の外見は日本人っぽくなかったので「日本人好き」な人には当たらないから杞憂なのだけれど。黒髪、ストレート、白肌とは真逆の、天パで色黒だった。

 しかし私がニース留学の途中でエクサンプロバンスで知り合った、女の子はフランス人の彼がいて、私が再びフランスに来て、パリに移動した頃に「彼と結婚する」と言う。

「結婚式に来てくれる?」と言われて、たまたまフランスにいるし…ってことで、参加することになった。
 彼女はKちゃんと言う。彼の実家の近くのお城で結婚式をするという。
「お城で結婚式?」
 そもそも私なんかが参加していいのか分からなかったが、きっと友達もフランスまで呼べないので、私を呼んでくれたのだろう。
 通常、フランスの結婚祝いは「欲しいものリスト」と言うのがあって、そこからプレゼントを選ぶのだが、今回はそれはなくてお金をボックスに寄付するのだった。日本のご祝儀ほどたくさん金額を入れなくていい、とは言われたものの、あまり少ないのもなぁ…(と言うところが日本人)と悩んだ。日本のご祝儀よりは少し少なめに入れた。でも後日「たくさんくれて」と言われたので、フランス的には多かったのかもしれない。
 
 そして彼女の日本人の友達(初対面)と一緒に出かけることになった。
 彼の実家で綺麗なドレスを着ていた新婦に会う。晴れた日だった。青い空に白いドレスがよく生えていた。家から近くの市役所で結婚式をしてくれるという。日本だと、紙を提出するくらいなもんだけれど、市役所でちょっとしたセレモニーがあるのだ。それには驚いた。だからドレス姿とタキシードで市役所に行く。
 そして教会での式がある。神父さんが何やら言っているが、何にも分からない。でもこれは日本での教会式と似ていた。
 披露宴パーティがお城でするとのことだった。そこへ移動するのに、新郎の友達の車に乗せてもらったのだが、その時来ていた服がピンクのラメが付いていたのだけれど、車の中がラメでいっぱいになった。
「ごめん」と謝ったけれど「いいよ。気にしないで」と言ってはくれたが、あれは絶対、後でため息でるやつだ、と心の中でごめんを繰り返す。
 小さなお城だったが、会場は開放感溢れるお庭で、綺麗に飾り付けされている。夕方から始まって、夕暮れ時がまた綺麗だった。ガーデンパーティは美味しい食事とワインと、そしてダンスタイムがあった。みんな楽しそうにダンスをしている。
 こんなパーティだったら結婚式は楽しいだろうな、と思いながら、参加していた。Kちゃんの両親もダンスしていて、なんだかほっこりしていた。
 日本の結婚式の長々と続く祝辞…余興…それに比べると、すごくみんなが楽しめる感じになっていて、本当によかった。
 夜遅くまでダンスをして、帰りに、また新郎の友人の車で送ってもらったけれど、さらにラメをつけることになって本当に申し訳なく思った。






 
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