第99話 寒い朝のカトルカール

文字数 1,457文字

 超お久しぶりの更新で、ちょっと更新の仕方を忘れてしまい、戸惑ってしまいました。

なんだかんだとサイト引っ越しをしようと言いつつ、結局、まだ魔法で書いています。でもこのシリーズだけはここが初出し。
 100話で終わらせようと思っていて、悩んでいたのですが、そうしているうちに更新が止まりました。ごめんなさい。

 で、今日はちょっと思い出したことがあるので、書きたいと思います。
 トゥールでホームステイをしていた頃の話です。

 ホームステイと聞くとどんなイメージですか? 温かい家族と心温まる時間、素敵な思い出、でしょうか。そういう家もあるかもしれませんが、ほぼビジネス。ほぼビジネスで+日常での交わりくらいです。
 なので、朝食は日本のお母さんのように優しく朝から温かいご飯が出るわけではありません。
 そもそも朝食を取らないフランス人も多く、取ったとしてもビスケットとコーヒーくらいだそうです。
 トゥールのステイ先にはメキシコ人がいて、メキシコは夜がスープとパンくらいで、朝が豪華だと言っていました。(「お母さん大変ね?」 と言ったら、「? お手伝いさんがするから」と言われました)
 だからメキシコ人二人の少女は朝から冷蔵庫を漁ってたくさん食べていました。ヨーグルトやらシリアルを食べながら「ハムとか食べたい」とちょっとしんみりしてました。
 寒い季節だったので、私はヨーグルトを食べる気分ではなく、そして簡単なものしか自分では用意できないと思って、ティーパックに入った紅茶と戸棚にあるカトルカールというお菓子を切って食べてから学校に向かいました。

 このカトルカールはいわゆるパウンドケーキで、四つの素材をそれぞれ同量に入れて焼くだけというシンプルなお菓子でした。だから名前も四分の四(カトルカール)です。卵、バター、小麦、砂糖をそれぞれ同量に入れて、焼くだけだそうです。やったことないけど。パウンドケーキはイギリスの国のものらしいですが、それぞれ一パウンド入れて焼くケーキだそうです。

 このシンプルなお菓子がスーパーで普通に売られているのですが、あるメーカーがものすごく信じられないくらい美味しくて、一切れで終わろうと思っても、うっかりまたお代わりしたくなるくらい美味しいのです。メーカーによってはそんなでもなくて、たまに違うと一切れで十分な気持ちで学校に出かけます。

 そしてメーカー製なのに、めっちゃ焦げてる時があって(でも美味しい)、さすがフランスと思いましたが。美味しい時は本当に半分いってしまいそうなくらいでした。

 トゥールの寒い朝に火傷しそうなほどの熱い紅茶と、カトルカールの朝食が懐かしくて、たまに食べたいなぁと思います。私はコーヒーが好きだったのですが、その家でコーヒーをどうやって淹れたらいいのか分からず、簡単な紅茶を選択していましたが、パリで毎日紅茶を飲んだのはその時限り…。

 でもお腹を温かくして、甘いお菓子を食べて、通学したのが懐かしい思い出です。ちょっとお腹に温かいものを入れて、寒い道を歩いて、その温かさが消える頃に学校に着く毎日でした。

 メキシコ人と一緒に通学するのは同じタイミングで家を出る時くらいでしたが、たまに一緒になると明るい彼女たちと歌を歌いながら通ったのも楽しい思い出でした。

 もうすぐノエル。その頃にはパリに移動して、日本式に友達とお祝いしたと思うんですけど、フランスでは夜中に教会に行き、家族でお祝いするそうです。お正月みたいに。だからクリスマスツリーも過ぎても飾られていました。











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